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「ピーターの奴、やせ我慢してるが、あきらかにウェンディを見て動揺してるな」
 フック船長がピーターを見ながら思います。
 そして、ほくそ笑みました。
「よーし、いい手を思いついたぞ」
 フックは銃を手にウェンディに忍び寄ると、後ろから羽交い締めにしました。そして、ウェンディの頭に銃口をあてて叫びました。
「やい! ピーター!」
 ピーターが振り返ります。
「このガキを殺されたくなきゃ、おとなしく投降しやがれ!」
「な……」
 ピーターの顔が真っ青になります。
 ピーターを攻撃していた面々も、思わず動きを止めます。
「卑怯だよ! フック船長!」
 アゾートが非難しました。
「なんだと? てめえ、どっちの味方なんだ?」
「キミこそ、味方のウェンディさんを人質にして……どういうつもりだよ!」
「うるせえ! つべこべ抜かすと、てめえも撃つぞ!」
 フックはアゾートに銃を向けました。
 その時……

  バシュ!

 フックの足元を熱の塊が撃ち抜きます。

「だ……誰だ!」

 フックはうろたえて辺りを見回しました。

 すると

「銀河パトロール隊のピンクレンズマン、あゆみにお任せよ☆ クリアエーテル!!」

と、ピンク色のツインテールの少女が銃を持ってポーズを決めました。月美 あゆみ(つきみ・あゆみ)です!

「さあ、フック船長。ウェンディさんを離してあげて! 離せば許してあげるよ☆」
「て……てめえ、どっちの味方なんだよ」
「レンズマンは、正義の味方。パラミタの人だけじゃなく、いつでも正しい方に味方するよ☆」
「お……俺様が正しいに決まってんだろ」
「そうかな? あゆみ、ピーター・パンが本当はなにがしたいのか観察してたよ。ただの遊びなら倒すべく努力するつもりだったけれど、彼にはなにか訳があるみたい。できれば、それを聞いて解決してあげたい」
「つまり裏切るってことだな、上等じゃねえか」
 フック船長は左手でウエンディを捕まえたまま、右手の銃をあゆみに向けました。

 バーン!

 鉄砲が火を噴きます。あゆみはアクセルギアを使いました。あゆみの体感時間が30倍まで延び、超高速で動くことが出来るようになります。あゆみは超高速で銃弾を避けると、フックに向かって言いました。
「フック船長! あなたってかなずちだよね☆」
「な……なに?」
「おまけに髪はカツラで、子供の頃は毎日おねしょしてママに毎日叱られていて、高一の時に好きな女の子に告白したら、既に親友の彼女で……」
「うわーー! やめろーー!!」
 自分の秘密を次々に言い当てられてフックは大いに動揺します。あゆみは、自分の眼鏡を指差し、
「このピンクレンズは未来や遠くの出来事がわかる神秘のレンズなんだよ☆ だから、あゆみは何でもお見通し☆」
「し……神秘のレンズ?」
「そのレンズのお告げによると、ウェンディさんを離さないと、あなた、とーってもひどいことになっちゃうんだよ☆……」
「ふざけるな! インチキだ!」
 フックは叫ぶと、再び銃を向けてやみくもに発砲しました。あゆみは超高速で全ての弾を避け、フックの背後に回ると真空波を撃ちました。
「うぎゃ!」
 フックが白目を剥いてその場に倒れます。
 そのフックに銃でとどめをさし、
「ね、言った通りでしょ?」
 と、あゆみはフックの体を縛り邪魔にならないところに転がしておきました。

レンズよ、あゆみを導け! 銀河に平和を クリア・エーテル

補足:あゆみがフックの秘密を言い当てたのは、レンズの力ではなくサイコメトリで調べたのでした☆

 ウェンディが無事に救出されたのを見届けると、ピーターは再び猛攻を始めました。
 ウェンディは少女の姿のまま、それを不安げに見守っています。

「ウェンディくんは、ピーターの事がとても心配なようですね」
 月詠 司(つくよみ・つかさ)がウェンディを見て言いました。
「しかし、今のところ、怪しいそぶりはないです。パラケ……いや、フィリップくんは、彼女を怪しんでしたようですが……」
「だね」
 シオン・エヴァンジェリウス(しおん・えう゛ぁんじぇりうす)がうなずきます。
「ピーター・パンを必死で止めようとしているし……少なくとも、この事件の首謀者のようには見えないわ」
「とはいえ、演技という事もあります。油断はできません」
「どっちにしろ、ピーター・パンを倒ない限り次にはすすめなさそうね」
「そうですね。しかし、どうやって倒しましょうか?」
「いい手があるわ★」
 そういうと、シオンは司になにか耳打ちしました。
「わかりました」
 司はうなずきました。

 それから、シオンは戦闘の様子をじっと見つめると、タイミングを見計らって、煙幕ファンデーションを投げつけました。

「うわ なんだ?」

 ピーターは叫びました。あたりが煙幕で真っ白になり、視界が利かなくなります。シオンは、そこへ、さらに司を投げ込みました。

「うわわわわー! 投げ込み禁止-!

 悲鳴を上げながら司が煙幕の中に消えていきます。悲鳴を上げながらも、司は変身の実でピーター・パンし、更に勇士の薬を飲みます。こうして、煙幕が晴れた後は二人のピーターが登場していました。
 ピーターに化けた司が叫びました。

「何だ、お前は!」

 ピーターが面食らって叫びます。

「それは俺のセリフだろう?」

「うるせえ! 死ね、偽物!」

 そう叫ぶと、司は火術を撃ちました。ピーターは間一髪でそれを避け、ファイア・ストームを撃ってきました。勇者の薬ですばやさの上がっている司はそれをかわし、氷術を撃ちます。
 見守る一同は、どっちらに加勢していいか分からず、ぼう然としていました。
 そこへ、

「もう、やめて!」

 少女の姿のウェンディが、二人のピーターに割って入っていきました。

「バカ! 危ない!」

 本物のピーターが叫びます。

「そっちが本物ね!」

 シオンは叫ぶと、十七分割でカットする勢いで、さざれ石の短刀でピーターを斬り付け捲りました。

「ちょっと! 私は偽物……!」

 ……なぜか、司まで斬られているようです。

 さざれ石の短刀の力で、ピーターは(なぜか司も)石化して地上に落ちていきました。