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【EATER×EATER】進撃! キメラーメン!

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【EATER×EATER】進撃! キメラーメン!

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第十三章:鳴神 裁

「ただうまみを取り込んだだけのラーメンなんざ病みラーメンだ」
 海京の一角、路地裏で鳴神 裁(なるかみ・さい)はキメラーメンの群れに向けて言い放った。
 前方には行き止まりの路地に、背後には押し寄せるキメラーメンの群れ。傍目には、追い詰められているのが裁であることは明らかだ。だが、彼女は些かも焦った様子を見せずに、キメラーメンの群れへと向き直る。
「美味しいもの混ぜたからって更においしくなるとは限らないのに。おしることコンソメスープとコーンスープ混ぜてもおいしくないでしょ。前に高級食材縛りでやった闇鍋はもったいなかったなー」
 麺を伸ばし、一歩一歩距離を詰めてくるキメラーメンに向けて、裁はなおも口火を切る。
「ま、それはそれとして」
 そこで一拍置くと、彼女はキメラーメンの群れに正対する。
「健全で健康的な生活の基本はバランスの取れた食から始まる。ラーメンだけの偏った食生活など認めるわけにはいかぬ。健康促進戦隊ソレンジャイ出動だ☆」
 その言葉とともに彼女は青いスライム状の何かを取り出し、それをキメラーメンに向けて投げつける。
「さぁ、ボクの特製の蒼汁(アジュール)で健康になろうぜ☆」
 蒼汁とは、謎料理で企業秘密のスープに栄養価の高い物を適当にぶち込んで汁気がなくなるまで煮詰めた、蒼いスライムジュースである。その味は……魂が抜けそうなほどに不味い。
「美味いもの取り込んで強化されるなら、不味いものを取り込んだら弱体化するのかな?ま、試せばわかるよね☆」
 楽しそうに笑う裁の眼前で、蒼汁を取り込んでしまったキメラーメンたちが一斉に悶えだす。
 それを見逃さず、裁は更に蒼汁を取り出すと、キメラーメンに取り込ませていく。これぞ、彼女の得意とする戦法――格闘グルメである。
 ――格闘グルメ。いかに自分に与えられた料理を『片付け』空の皿を積み上げるかを競う勝負である。ただの大食いと思った時点でその者の負けは確定している。なぜならば、そう、この競技には『いかに自分の分の料理を相手に食わせるか』という攻撃技が存在し、その攻撃をいかに防ぐかが重要だからである。
 結果、蒼汁を取り込まされて前後不覚となったキメラーメンが、その攻撃に抗うことができようはずもなく、一方的に大量の蒼汁を取り込まされ、ほどなくして勝負は決していた。