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リアクション
第八章 真相
「それでは今から、真相をお話しよう」
「ええーっ!?」
男の言葉に、リリ・スノーウォーカーと笹野 朔夜、そしてルカルカ・ルーは驚きとも抗議ともつかない声を上げた。
そして、気付く。
自分たちが、チョコレートの塊であることに。
本来なら、話もできない、動くこともできない存在であることに。
彼らは知覚できなかったが、人間の形だったら、あるいは気付いたかもしれない。
ここが、地球上に存在しない場所であることに。
円盤型飛空艇の中であることに。
「真相って……これは、これまでのことは、全部あなたのせいなの?」
言葉を発することもできないはずなのに、それでも、ルカルカは聞かずにはいられなかった。
「そうだ」
男は何もおかしい事はないかのように、平然と頷く。
「何故、こんな酷い事をしたのだ」
リリ・スノーウォーカーが苦しそうに呟く。
「知りたかったからだ。愛とは何かを」
「知りたかったって……そんな、そんな事の為にあんな酷い事をしたんですか!?」
耐え切れず、朔夜が鋭い声を出す。
「問題ない。朝には全て元通り……この島での出来事は、存在しなかった事になる。いつも通りの『今日』が始まる」
淡々と、男は語る。
「ま……待つのだ」
話が終わりそうになったので、慌ててリリと朔夜は疑問を口にする。
「どうして、リリ達にそんな事を教えてくれるのだ」
「君達が、知りたがっていたから。そして、危害を加える意志がなかったから」
「そもそも、あなたは誰なんですか?」
「私は、ポータラカ人」
「ポータラカ人……」
「では、話を終わろう」
「待って!」
ポータラカ人と名乗ったその人物に、ルカルカは思わず声をかける。
「何だ」
「それで……分かったの? 愛とは何なのか。ためらわないこと? くやまないこと?」
「愛は、狂気だ」
ポータラカ人は迷わず告げる。
「そう、認識していた。今までは」
「今は?」
「愛とは、ただひたすらに相手を想う事らしい。たとえ全てを、自分自身を破壊しようとも――」
「……」
リリが、朔夜が、ルカルカの記憶はそこで途切れた。
ルカルカには何故か、ポータラカ人の最後の台詞にどこか羨ましそうな響きが含まれているように感じた。
それは、彼女の気の迷いだったのか……
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