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リアクション
{bold第6章 1時間目・実技タイム
「佐々木 弥十郎さん、水神 樹さん、東 朱鷺 さん、3人の中で、パートナーがいる方は一緒に連れてきてください〜」
「何人か纏めて受けるながれかな?」
名前を呼ばれた弥十郎は階段を下りる。
「階段式の座席だから気をつけてね」
「私をなんだと思っているの…」
「ぇ?怪我しないように言ったのに、怒らないでよ」
「他の方の手順をちゃーんと見ていれば、だいたい分かってもらえたと思いますので〜。さっそく行っていますぅ〜」
「アークソウルの反応を試してみようかな♪」
魔道書がどこにいるか、当ててみようと目隠しをして挑む。
「―…わあ!?」
ペンダントの中の宝石は、琥珀のような飴色の強い光を放つ。
いきなりピンポントで探し当てるのは難しかったらしく、魔女や悪魔の探知してしまい、大量の気配を感じてしまう。
「近くにいるのは魔道書かな…」
自信なさげに小さな声音で言う弥十郎に、斉民が…。
「他に魔道書の者が呼ばれていたっけ?あ、そういえば私も魔道書だった」
―…と、思い出すように言う。
「ぇーぇえ!?」
「そ、そんなに驚かなくてもっ」
「もたもたしていると、実技時間が終わっちゃうから。他のことも試してみよう♪」
年の功だと思ったのを悟られると面倒なことになりそうだからと、弥十郎が実技という逃げ場を作る。
「ぅーん。光学迷彩とかで、姿を隠せるゆる族とかは参加していないのかな?」
「発見したら見破れるものであれば、かなり有効的ですが〜。姿が見えない相手の位置が分かっても、アークソウルでは見えませんよぉ〜」
「フラワシ以外なら私のエアロソウルの力があれば見えますよ。ただし、効力の対象は所有者だけですが」
朱鷺は宝石をペンダントに入れたまま弥十郎に見せる。
「教室の中にある人形に、魔性が憑いているかも見破れるんです」
「生物以外にも適用するのな?」
「もししないのなら先生方が教えてくれるはずですが…」
「へぇー…興味深いね♪」
人形だろうと機械だろうと、たとえハンガーだろうとも、魔性が憑いているか見破ることが可能なようだ。
「アークソウルは生物限定の探知なんでしょうか?」
「えぇ、その通りですよぉ、樹さん。生きているものなら、魚や鳥でも判別出来ますぅ〜。気配の絞込みは〜、修練を積みませんとねぇ」
「確かに、人形とかには反応がないね」
「地球人以外の者に反応するものですからね」
弥十郎にそう言いつつ、ペンダントを斉民に向ける。
「光の反応がありますね…」
「魔道書だからね。判断の早さとかは、精神力によって左右されるのかな?」
「反応が鈍くなったりしちゃうこともありますぅ〜」
「扱う者を道具が選んでいるみたいだね」
「選ばれる側に立ってみるもの斬新だとおもいますよ」
「うん、上手く扱えるように頑張ろうね♪樹」
「あまり時間が残っていないので〜。次に呼んだ人たちが実技を終えたら、授業を終了しますねぇ」
実技を終えた4人は席に戻ると、1時間目の授業もそろそろ終わりの時刻を向かえそうなため、次に呼ぶ生徒がラストだ。
「高峰 結和さんと、九条 ジェライザ・ローズさん。パートナーの方がいらっしゃいましたら、一緒に連れてきてくれていいですよぉ」
「(いってらっしゃーい♪)」
結和の緊張を解そうと、にこにこと笑顔を向ける。
「あ、あんなに大勢が見ている前で行うんですね…」
人という字を手の平に書きまくって飲み込む。
観察対象として注目され、大量の視線を浴びる。
「効果は同じでも、表現は一定というわけじゃないみたいですし…。イメージが大事なんでしたよね…」
魔性に精神を蝕まれ、よたよたと足元をふらつかせるリスにペンダントを向ける。
「(苦しみ、穢れた精神を浄化し…、生命を救済します……)」
ホーリーソウルが淡く輝き、黒々と淀み痛んだ気を宝石の中へ吸収する。
穢れを祓い、宝石とペンダントの中から、清浄化した気を吐き出す。
「もう動けるようになるなんて…。術の効力でしょうか?」
「なるべく早く普段どおりに戻れるようにする役目も担いますからねぇ」
「ほとんどの人は成功しているんだし。私もチャレンジしなきゃ!」
ローズは結和の手順を参考に、精神を蝕む元を取り除こうと、ホーリーソウルの力を使う。
「ぅー…治れー、治れー、治れー。元気になれーっ」
「ぜんぜん動かないね、たぬき」
「―…治れー早くよくなぁれ〜。―…動いた!」
まだ気分が良好ではなさそうだが、たぬきが耳をピクピクと動かしている。
「アークソウルの使用法って、今日のところは探知のみ?」
「石化されたものなどをここまで連れてくるのは、時間的に厳しいんですよぉ、学人さん」
「誰かのところにいって試してみるかな」
みことやエクスにペンダントの宝石が反応を見せるか試す。
「これで邪悪かどうかは分からないんだよね…。あ、ベルが鳴っちゃった!?」
「1時間目の授業、終了ですぅ〜。忘れ物をしないように、気をつけてください〜♪」
授業が終了した頃…。
「唯斗殿、きっちり目を覚めるように手伝ってやりますよーっ」
「全力で遠慮するっ」
2人のデスレースはまだ続いている。
「―…唯斗さん、戻ってきてください……」
授業が終わってしまい、昴はしくしくと涙を零した。
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