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ハードコアアンダーグラウンド

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ハードコアアンダーグラウンド
ハードコアアンダーグラウンド ハードコアアンダーグラウンド

リアクション

『全ての選手の入場が終了し、残る選手は3名! この戦いはどのような決着を着けるのでしょうか! 私は華麗にリングを舞うお嬢さm……スワン・ザレインボー選手が有力と見ています!』
『貴方は先程からあの選手を贔屓し過ぎですわよ! さゆみが勝つと私は思いますわ!』
 実況席。【実況マスク】ことサーは麗、アデリーヌはさゆみ、とお互い身内が参加している為、身内びいきの実況が繰り広げられている。
「ちょっとそこ! 贔屓が過ぎるわよ!」
 それにたまらないとアスカのセコンド、オルベールが口を挟む。
「それに勝つのはベルの妹、アスカに決まってるじゃない!」
 どいつもこいつも似たり寄ったりであった。

 さて、一方で佳境を迎えたリング上。生き残りのさゆみ、アスカ、麗の三つ巴が展開されている。
「さあ、飛びますわよ!」
 麗がロープへ飛び乗りスワンダイブ式ミサイルキックでさゆみとアスカを纏めて蹴り飛ばす。
 現在、場を支配していたのは麗であった。最後の入場者、という事でありさゆみとアスカと比べてスタミナは十分に残っている状態である麗。自身に【軽身功】をかけ、身軽な動きで両選手を翻弄していた。その動きに、両選手がついていくのはやっとである。
「行きますわよ!」
 先に立ち上がったさゆみへ麗は走ると飛びつき、頭を脇に抱え勢いをつけスイングDDTで叩きつける。
「おしまいですわ!」
 そのままコーナーへと駆け上り、再度両手を広げスワン・ダイブ・ボムを狙う。
「そうはいかないわよ〜!」
 その麗の顔面に、アスカが飛び上がりながらアッパー気味の掌底を叩きこむ。
 脳を揺らされ、麗がコーナーに座ると今度はアスカが上る。そして対面状態でアスカが飛び上がると、足で麗の頭を挟みフランケンシュタイナーで投げた。
「あうッ!」
 背中から叩き落とされる麗。起き上がろうと力を籠めると、腰に痛みが走った。
「捕まえたわよ!」
 起き上がるのに時間がかかった麗を、さゆみは捕らえるとパワーボムで高く抱え上げた、と思った直後にマットに叩きつける。
「うぐッ!」
 呻き声を上げる麗。そのままフォール、と思いきや、さゆみは麗の足を絡めながら抱えステップオーバー。反転すると、思い切り絞り上げた。

『さゆみの必殺テキサスクローバーホールド! リング上に咲いた四葉は幸運ではなく苦痛をプレゼントしますわ!』
『お嬢さ――スワン・ザレインボー選手立ち上がれません! 苦痛の表情を浮かべています!』

「ああああああッ!」
 腰を絞り上げられ、麗の口から悲鳴が漏れる。ロープは遠く、手を伸ばしても届かない。
 それでも諦めず、麗はさゆみを引き摺りつつロープへと近づく。
 だが、さゆみは少し腰を上げると麗をリング中央へと引き戻し、深く腰を落とした。
「あぐぅ……ッ!」
 痛めた腰に襲い掛かる激痛。
「ギブアップ!?」
 ルファンの問いに麗は一度躊躇うが、悔しそうにリングを3度叩いた。直後、ゴングが鳴り響く。

『――健闘も空しく、スワン・ザレインボー選手ギブアップとなりました!』
『これで残る選手は2名ですわ!』

 麗が退場し、リング上に残るのはさゆみとアスカの2名。
 お互いを見据えると、ほぼ同時にぶつかり合う。
 2名とも入場のタイミングは僅かにさゆみが先だがほぼ同時期。スタミナもほぼ互角である。
 だが、
「はあぁぁぁッ!」
咆哮し、さゆみが攻め時と見たのか、全力で挑みかかる。二発、三発とアスカの顔面に肘を叩きこみ、ロープへと振る。
「せぇいッ!」
 戻ってきたアスカに、飛び上がり打点の高いドロップキックを叩きこんだ。
「はうッ!」
 仰向けに倒れるアスカを、さゆみは逃がさない。そのまま足を掴み、再度必殺のテキサスクローバーホールドへと持ち込もうとしていた。
 足を絡め、後はステップオーバーして腰を下ろせば完成。耐えるアスカの身体が反転しそうになった、時であった。
「もう我慢できないわ! ベルの妹に何するのよぉーッ!」
 リングサイドで試合を見守っていたオルベールがリングへ上がるや否や、ドロップキックをさゆみに見舞う。
「あうッ!?」
 技を仕掛けようとしていた為、無防備なさゆみはオルベールのドロップキックを受け、技を解いてしまう。
「アスカ! 今よ!」
 さゆみを抑えるオルベールを見て、アスカが構える。
「行くわよ〜……! ポンド・ゴースペシャル!」
 アスカが放った【レジェンドストライク】で強化された胴回し回転蹴りが、さゆみの頭を、意識を刈り取る。
 直立したさゆみの身体がゆらり、と揺れるとそのまま仰向けに倒れ込む。
 そのままアスカがさゆみに覆いかぶさる。
「カウント! 1……2……3!」
 さゆみは抵抗できず、3カウント、そして試合終了のゴングが鳴り響く。
 同時に、観客席から歓声が沸いた。
「いやっほぉ〜う! てめぇらぁ〜盛り上がったかーー!?」
 その歓声を浴び、両手を上げてアスカが叫んだ。それに、歓声で観客は応える。

『カウント3! さゆみ選手敗北! この瞬間、ランブル戦の勝者が決まりました! 総勢10名の強豪の中、最後まで生き残ったのは師王アスカ選手です!』
『さゆみ……よく頑張りましたわ……! 貴女は間違いなく輝いていましたわよ!』
『白熱としたランブル戦が終了しましたが、試合はまだまだ続きます! この後はリング上が地獄となる金網戦! 最後まで見逃さないように! 一時休憩です!』