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「クケケケ」
 地下で複数の不気味な声に、生徒達は悩まされていた。
 その声は紛れもなくうわさで聞いていたサタン達の仕業であった。
 だが、その姿はまったく見えないで居た。
 そんな不気味な中で突然、G線上のアリアが流れ始める。
 広い地下室の隅っこでローデリヒ・エーヴェルブルグ(ろーでりひ・えーう゛ぇるぶるぐ)が指揮棒を上下左右と優雅に振っていた。
 その周りを囲むように音楽家のバッハ、モーツァルト、ハイドン、ベートーヴェン、シューベルト、ショパンがピアノを演奏している。
 まったくずれのない綺麗な連奏に生徒達は聞き入ってしまう。
「グギャアアアアアア!?」
 だが、数匹だけ聞き入れられない物が居た。
 サタンは、その苦しさに姿をあらわにしていった。
「今だ!」
 武崎 幸祐(たけざき・ゆきひろ)は、ヒルデガルド・ブリュンヒルデ(ひるでがるど・ぶりゅんひるで)蘇 妲己(そ・だっき)に向かって叫んだ。
「イエス マイ マスター」
 ヒルデガルドは単調に答えた。だがその背後では、萌え兵器辞典から呼び寄せた可愛い女の子達が並んでいた。
 そして、ローデリヒによる音楽はG戦場のアリアから、革命のエチュードが強く、激しく流れ始めていた。
「任務執行します……」
 萌え兵器辞典の90式戦車が、冷たい声を放つ。
 それと同時に、彼女の後ろにある戦車が動き始めた。
 戦車の砲撃は、すべてうろたえるサタン達に次々と命中させていく。
「敵、排除開始します」
 ヒルデガイドは砲撃の煙へと飛び込み、残ったサタン達に次々ととどめを刺していく。
 一方で殷王朝を滅ぼした妲己の宿敵の一人である武王に絡んでいっている妲己に、幸祐は頭を悩ませていた。
「相変わらずがさつね。だから、女の子に持てないのよ武王ちゃん♪」
「ほう、言ってくれますね。私の戦略ががさつだと」
「言ってないだろ……それよりも妲己!」
 幸祐は怪訝そうな表情を浮かべながら、妲己の方へと歩み寄った。
「なによ、幸祐までそんな顔して。そんなのだからもてないのよ」
「……何かってに問題ごと増やしてるんだ」
 幸祐は、すでに兵士達を呼び寄せ戦闘準備に入っている武王を見ながらため息をつく。
 だが、妲己はそんなことは知らないと言ったように、武王に向かいバルバードを構えた。
「何って、大丈夫よ幸祐も居るなら簡単に勝てるわ!」
「そう言う問題じゃ――はあ。わかった」
 幸祐は妲己の隣に並びカーマインの銃口を武王の兵士達に向けた。
 この二人の戦いは事件の発端が片付くまで引き分けのままで続いていたという……。