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第2章 英雄・ナポレオン

「この先は行かせないですぞ?」
 アキレウスが他の人と闘っている間にひっそりと先を進んでいたアゾートの目の前に、一人の男が赤いマントを翻し立ちふさがった。
 その後ろにはアキレウスよりも大量の兵士達が並んでいる。
「キミは、ナポレオン……」
「勝機は我らにある! 有望な兵士達よ進め!」
 ナポレオンは強くうしろの兵士達に言い放った。
 それと共に、兵士達が声を上げながらこちらへ、勢いよく向かって来た。
「危ないっ!」
 アゾートが身構えようとしたとき声と共にアゾート達の目の前へ、女性が飛び込んできた。
「ダリル!」
「わかっている」
 ルカルカ・ルー(るかるか・るー)の呼びかけにダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)は、光条兵器による機関銃を兵士達に向けた。
「アゾート達は先へ!」
「行かせませんぞ!」
 ルカルカの誘導に、ナポレオンは兵士達をアゾート達の前へ移動させる。
 だが、ダリルはそれを機関銃で撃ち払った。
「ありがとう……」
 アゾートはお礼を上げながら、先へとゆっくり進んでいった。
 かなりの数の兵士達が、気がつけばルカルカ達の前へ迫ってきていた。
「こちらもそれなりの数の戦力がいれば良いんだけれど……」
「戦力なら十分こちらにある!」
 そう言って、現れたのはナポレオンと同じような格好をしたホレーショ・ネルソン(ほれーしょ・ねるそん)だった。
「ネルソン伯爵だと!?」
「おやおや。何処の誰かと思えば、歯牙にもかけない弱小海軍国家フランスの皇帝陛下ではないか?」
 ナポレオンが驚いた声を上げた。それにダリルは、一瞥し、冷たく笑った。
 さらに驚く事に、ネルソンの後ろにはリブロ・グランチェスター(りぶろ・ぐらんちぇすたー)を筆頭にして、ジョージ・パットン大将と大戦車軍団、エルヴィン・ロンメル元帥とドイツアフリカ軍団が並んでいた。
「彼のナポレオン皇帝に降参されることを望む!」
 リブロは大声あげ、ナポレオンに提案する。
「今の私に降参する意味は無い!」
「そんなのだから、いつまでも私の足下にも及ばぬのだよ。いい加減に気づき給え」
「ぐぬぬ! 前線部隊、後衛部隊前進!」
 ナポレオンはネルソンの煽りを受け、兵士達をリブロ達の前へと前進させてきた。
 大戦車軍団とドイツアフリカ軍団が、戦車などを構え、ナポレオン軍団に放った。
 それをナポレオン軍団達も打ち返すように、大砲を撃つ。
「今だ!」
 ダリルが煙幕の中を進み、ルカルカもそれに続いた。
 剣を構えた兵士達にルカルカは剣を一気に斬りかかっていく。
 ダリルは後方から機関銃で援護する。
 さらに空からレノア・レヴィスペンサー(れのあ・れう゛ぃすぺんさー)、山本五十六元帥と連合艦隊が現れた。
 連合艦隊は図書館の天井ぎりぎりを浮上していた。
「魚雷、ってー!」
 レノアのかけ声と共に、爆弾がナポレオン軍の上空へと降ってくる。
「第1前線軍は左へ! 第2前線軍は右へ!」
 ナポレオンはその爆弾を巧みによけていた。
「流石、皇帝まで上り詰めた英雄……」
 レノアは少し笑みを浮かべながら、さらに艦隊の兵士達に命令を告げていく。
 その間に、鉄砲を持ったナポレオンの後衛軍兵士達は次々と体勢が崩されていった。