リアクション
ツァンダにて 「あー、あー、犯人に告ぐ。お金ならあるから、まず、子供たちを開放しなさい」 高天原 鈿女(たかまがはら・うずめ)が、郊外に停車した幼稚園バスにむかってメガホンで話しかけた。 「先に、金だ。それから、食事とおやつも要求する」 バスジャック犯である悪の組織ドアクデスの女幹部プリンセスダークローズが言い返した。 「おやつは300円までよ」 交渉を長引かせようと、高天原鈿女が言った。 「あんなこと言ってますが、どうします?」 プリンセスダークローズが、ワル・モーン将軍に通信でおうかがいを立てた。 『だめだ、400円以上はもぎ取れとデス・ジャーク大首領がおっしゃっている。少し、我らの力を見せつけて脅してやれ』 「はいはーい。ゆけ、ドクトル・イービルの今週の最高傑作、ロボット戦士ギルティアスよ!」 プリンセスダークローズの命令で、ごついロボットがバスから降りてきた。どのくらいごついかというと、バスの昇降口をくぐれるほどのごつさだ。 「ついに本性を現したわね。行きなさい、ハーティオン。ちょっと捻ってきなさい」 「えっ、おひねりは出さないんじゃなかったのか?」 渡す振りをして、お金は渡さないはずではと、コア・ハーティオン(こあ・はーてぃおん)が高天原鈿女に聞き返した。 「違うわよ、ひねり潰すの」 「了解した」 言うなり、コア・ハーティオンがギルティアスに突っ込んでいった。がっぷり四つに両者が組み合って動かなくなる。そのパワーは拮抗しているのだろうか。 「何をやってるの。やっておしまい」 興奮したプリンセスダークローズが、バスから降りてきてギルティアスに命令した。 「今のうち〜。この隙にぃ〜♪」 ラブ・リトル(らぶ・りとる)が、その隙にこっそりとバスに近づいていった。コンコンっとガラス窓を叩き、中にいる戦闘員たちの注意を引く。 目が合った。 すかさずヒプノシスで、全身タイツの男たちを全て眠らせた。 「よいしょ、よいしょっと」 窓からバスの中に入ると、ラブ・リトルがバスのドアを閉めた。 「えっ!? ちょっと待ってよ、中に入れなさいよ!」 やっと状況を理解したプリンセスダークローズがバスの中に戻ろうとしたが、ドアが開かない。 「ギルティアス!」 配下の怪人を呼ぶが、コア・ハーティオンと戦っていて動くことができない。 『ガオォォォォォン!!(出番はいつなのぉぉぉ!!)』 「暴れドラゴランダーよ!」 高天原鈿女が叫んだ。 『ガオォォォォォン!!!!』 ぷちっ。 龍心機 ドラゴランダー(りゅうじんき・どらごらんだー)にギルティアスが踏みつぶされる。 「ああっ、怪人が……。こうなったら私が……」 プリンセスダークローズがひらりとバスの上に飛び乗って、自ら戦おうとした。 「待て、これ以上の悪事は、このハーティオンが許さぬ」 プリンセスダークローズをがんがんに睨みつけて、コア・ハーティオンが言った。 そこへ、頭上に突如魔方陣が現れて、そこから何かが降ってきた。 「どおおおおぉぉぉ。パンツ性拳奥義その捌命綱パンツ!!」 地面に激突する前に、南鮪がかろうじて何かにつかまる。 「こ、これは……。ふっ、さすがは俺。こんな窮地にあっても、パンツを手に入れて助かるとは」 プリンセスダークローズのパンツにつかまって九死に一生を得た南鮪が自画自賛した。当然、パンツはズリ下ろされている。 「きっ、きゃー!」 パンツと南鮪を残して、プリンセスダークローズが脱兎のごとく逃げだした。わずかに遅れて、南鮪が戦利品と共に姿を消す。 「ハーティオン、追うのよ。ハー……?」 すかさず止めを刺させようとした高天原鈿女だったが、コア・ハーティオンが動かない。 「フリーズしてるみたい……」 バスから降りてきたラブ・リトルが、ツンツンとコア・ハーティオンをつついて言った。 |
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