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ハイナのお茶会 in 明倫館

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ハイナのお茶会 in 明倫館

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 耀助が皿やカップを重ねると、ガシャンと音がした。それを見て、那由多が顔をしかめる。
「割れたら大変でしょ。もっと丁寧に扱って」
「はいはい。しかし何で、片付けまで……」
 お茶会は無事終了し、客は土産の団子を持って皆帰って行ったが、耀助ら水とハーブを集めた生徒たちはその片付けを命じられていた。
「いいじゃない。色んな人とお友達になれたし、大変だったけどあたしは楽しかったわよ」
「お前はいいよなー。オレは結局、誰とも……」
 声を掛けた女の子に悉くフラれた耀助は、くっくと声を押し殺して泣いた。
「でも、お茶会が失敗しなくてよかった」
「それは大丈夫だろ」
「え?」
 耀助は、ケースにしまうため同じ絵柄の皿とカップを探していて、那由多の問いを聞いていなかった。
「耀助?」
「何?」
「何が大丈夫なの?」
「あ、それか。いやほら、考えてもみろよ。仮にも総奉行主催のお茶会だぞ。オレたち新入生の双肩にかかってます、なんていくら何でも重荷だろ。ちゃーんと前以て、必要最低限の準備はしてあったさ」
 そうでしょ、と声を掛けられ、真田 佐保、丹羽 匡壱、ゲイル・フォードが物陰から現れた。
「気付いていたでござるか」
「もちろん」
 紫月 唯斗が前日飛び回っていたのは、そのためだ。ちなみに今は、客を見送るために駆り出されている。
「ま、もっとも、失敗しないとしても、盛況の内に終わるかどうかは別問題だけどな」
「でもそれは、オレらのせいじゃないでしょ」
 それを聞いて、ゲイルが片眉を上げた。
「失敗しようがない――貴殿に緊張感がなかったのは、それが分かっていたからですかな?」
「緊張はしてましたよ、ずっと見られてたんだから」
「え!?」
 那由多が唖然となる。「み、見られていたの?」
「何だ、知らなかったのか?」
 ほう、とゲイルは感心した。
「貴殿らの実力を測る試験も兼ねていたことまで、気付いていたとは。なかなか、やりますな」
「いやそれは、知らなかった」
 皿を手にしたまま、耀助は目を瞬かせた。
「しかしそなた、今、気付いていたと」
「見られていたのは分かってたけど。でも、てっきりオレのイケメンっぷりを観察するためかと」
 冗談とは思えぬほど大真面目な口調だ。おそらく、真剣にそう思ったのだろう。もしかしたら、そのためにナンパを繰り返したのかもしれない。
 匡壱は深々と嘆息した。
 勘はいい。身体能力も高い。だが、戦闘能力に関しては測定できなかった。任務に対する責任感は低く、面倒事を避ける一方、パートナーや仲間を見捨てることはない模様。
 仁科 耀助に関する評価は、今のところ、そういった感じだ。最終評価を下すのは早いかもしれない。
 匡壱は報告書をそうまとめることにしたのだが。
「ところで佐保さん」
「何でござる?」
「約束通り任務を果たしました! オレとデートしてください!!」
 佐保のことを名前で呼び、皿を放り出して両手を力いっぱい握り締める耀助を見た瞬間、「仕事に対する責任感皆無。欲望最優先」と書き直すことを決めた。

担当マスターより

▼担当マスター

泉 楽

▼マスターコメント

泉 楽です。この度は「ハイナのお茶会 in 明倫館」にご参加いただきありがとうございます。
人数の都合上、お茶会は一つの席ではなく、いくつかに分けることにしました。それぞれ、冷たい緑茶、紅茶、野点と別れていますので参加者は自分がどの席にいるかご確認ください。話や行動の内容、和洋どちらにするか総合的に判断し、席を割り振りました。

自分で蒔いた種とはいえ、ハーブの種類やら和菓子やら刀剣やら水着やら着物やら、今回ほど色々検索したことはありません! といって専門的な話ではないので、全て軽く触れる程度というのが妙に悔しかったりします。

思ったより妨害参加者が多く、ゲイルたちNPCが活躍するシーンを書けませんでした。

耀助と那由多はこれから色々な冒険に出ます。どうぞその時には、よろしくお付き合いください。

それではまた、次のシナリオでお会いしましょう。