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大嵐を起こすために顔を洗う妖怪猫又

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大嵐を起こすために顔を洗う妖怪猫又

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第12章 朝まで宴会

 すっかり天気が晴れ、お社の周りで宴会を始める。
「にゃーは…にゃーは、お供え物をもらえないことも怒ってたけどにゃ。忘れられるのもいやにゃのにゃー。にゃぅにゃぅーっ」
 ままたび酒で酔っ払った猫又が、昶にグチをこぼす。
「そーだよな。ご利益ばかりあげて、そんな扱いはないよなっ」
「うにゃぅ〜…」
「ご飯を忘れるのも存在を忘れれるのも、酷すぎるにゃ」
 話を聞きながら御影もうんうんと頷く。
「なにかあったら、私たちに言ってね」
「そんなことされたら、誰だっておくりますよー」
 サンドラと酔っ払ったサクラコも猫又を慰める。
「これさ。北都の実家が米と酒の有名なところでさ、いい酒があるんだ」
「飲みたいにゃ」
「私も欲しいです!」
「皆で飲もうぜ!」
 昶は皆の分もコップに注いでやり乾杯する。
「陽太様に連絡しておきましょう。(皆と宴会をするので、明日帰ります…。今日の夕飯はいりません…っと)」
 帰りが遅くなることを伝えようと、舞花は御神楽 陽太(みかぐら・ようた)にメールで連絡する。
「(…返事が返ってきました)」
 携帯のメールを開いて読んでみる。

 了解です。
 できれば、女の子と一緒に帰ってきてくださいね。
 今日のご飯は、こっちも和食です。
 夕飯後に、妻がデザートを作ろうと、アイス作りにチャレンジします。
 抹茶のアイスです。
 帰ってきたら、皆で一緒に食べましょうね。
 
 …と、メールに書かれている。
「(抹茶アイス…楽しみですね)」
「舞花さんもどうぞ」
「ありがとうございます」
 刺身や寿司を盛った皿を、ベアトリーチェからもらう。
「陽太さんからのメールですか?」
「はい。帰ったら皆で抹茶アイスを食べるんです」
「仲いいんですね」
「えぇ、まぁ…。ん…お寿司美味しいです」
 たまには皆と朝まで騒ぐのもよいだろうと許され、料理を口へ運ぶ。



「座敷童や猫又みたいな御利益とかを与えてくれてる妖怪が他にいないか」
 これ以上、長屋騒動が起きないように、陣が住人たちに聞く。
「おらんなぁ」
「んーいないと思うべさ」
「思う…じゃ困るんや……」
 どんだけのんびりしてるんや、と突っ込みたくなる。
「羽純くん、虹色クッキー食べて♪」
 あまった材料で作ったクッキーを歌菜が渡す。
「ありがとう。帰ったらゆっくり食べるか」
「えー、今食べて」
「こんなに料理を食べた後にな」
 作ってもらったクッキーを大事にとっておき、別腹のデザートとして食べる気だ。
「んー…。ご飯の後のデザートってことね」
 ―…食事もお菓子もちゃんと食べてもらえればいいかな。



「俺もかなり食べるぞ。どうだ、食べ比べしてみないか?」
 淵が猫又とクラマに勝負を挑む。
「にゃーは負けないにゃ」
「オイラだった負けないっ」
「はりきりすぎて、料理をいきなり食べつくすなよクマラ…」
「エースは参加しないんだ?」
「そういうのは、ちょっとな…。猫又ちゃん、俺の膝の上においで」
「ルカのお膝にきてきてー♪にゃーんにゃーん」
「む…?」
 2人がシートの上に正座しているのに、猫又は予期せぬ相手の膝の上に座ってしまう。
「透玻様のお膝に…。(なんとも羨ましい…)」
「ふむ…このまま正座しているか」
 猫の姿になった猫又の頭を撫でる。
「リン、羨ましいよ。俺んとこにもこないかな?」
 マスコット的なかわいいもの好きなセルマが、猫又に視線を送ってアピールする。
「傍にいって触らせてって言えばいいんじゃないですか?」
「うん……。ねぇ、ちょっと触らせてほしいんだけど」
「頭と背中だけならいいにゃ」
「ありがとう。わぁ…毛がさらさらしてる。ふわふわで可愛いー」
 透玻の膝にいる猫又を優しく撫でる。
「ルカに抱っこさせて!」
「ん…いってみるか?猫又」
「にゃん」
「わーい♪ふかふかもふもふー」
「ねぇ、こっちにもう1回来て。ちっちゃくって軽いね。ずっと仔猫サイズなのかな?」
 見た目と実際の年は違うのだろうけど、これ以上成長しないのだろうか?とセルマが猫又に聞く。
「にゃーはこれ以上、大きくならないにゃ」
「ずっとこのままなんだね?」
「俺にも抱っこさせてくれよ」
「皆、抱っこしたいのかな」
 エースに渡しながら、周りの様子を見る。
「そうだな。小さくってこんなに可愛いんだし」 
「むー、お腹は触っちゃいけないからね、エース」
「そんなことしないって」
「これはいつまでたっても、食べ比べを始められないな」
 抱っこされている猫又の様子を見て、これは無理そうだ…と淵が苦笑した。
 座敷わらしの方を見ると、美羽やコレットたちに囲まれている。
「わらしちゃん、あーんして」
「あーん」
「美味しい…?」
「うん、おいしーよ」
「今日は夜明けまで宴会してるからね。それまで一緒にいられるよ」
「ほんとー?コレットお姉ちゃんたち、朝までいるんだね」
「そうよ。…ぁ、そろそろ、神楽舞を見せたほうがいいかな。本当は夜神楽の前に。贄にした猪の象徴の獅子を伴う山神が出た後、能面をつけた舞いをやらなきゃいけないんだけどね」
 コレットはブルーシートから立ち上がり、料理を食べている者たちに舞いを見せる。
 夜神楽は15番・袖花・16番・本花と…続いていく。
 収穫の感謝、来年の豊作を祈願する。

担当マスターより

▼担当マスター

按条境一

▼マスターコメント

こんばんは、皆様お疲れ様でした。

作っていただいた料理は、ほとんど猫又がいただきました。

一部の方に称号をお送りさせていただきました。
それではまた次回、別のシナリオでお会いできる日を楽しみにお待ちしております。