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鳴動する、古代の超弩級戦艦

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鳴動する、古代の超弩級戦艦

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5章 「獣の咆哮」


 〜古代兵器・上空〜


 変貌し、激しくなった古代兵器の対空砲火に追われる機体が一機。
 サイオニック柳川 英輝(やながわ・ひでき)とサイオニックの強化人間マナ・アルテラ(まな・あるてら)の駆る、
 CHP008【プラヴァー(デフォルト)】プラヴァー(デフォルト)であった。

 変貌前は武装への攻撃などで複数の箇所を破壊していたのだが、変貌し、変則的になった砲火に苦戦し
 防戦一方となってしまっている。

「これだけ砲火が激しいと……攻撃する暇が……ない、か」

 マナから送られてくる回避ルートを取るのが精いっぱいで、その回避ルートからも
 いつはずれるかわからないほどに精神力を消耗していた。

「英輝、シールドを前面に構えて距離を詰めましょう!」
「距離を詰める!? そんなことしたら敵の砲火に……」
「対空火器の弱点は至近距離です。どんな砲台も至近距離に寄られてしまえば無力化できます」

 マナの言葉を聞き、レーダーを見て突撃タイミングを計る英輝。

「今だッ! 突撃するぞッ!!」

 機体を急旋回させ、シールドを前面に構えて甲板目掛けて降下していくプラヴァー(デフォルト)。
 マナの表示する回避ルートを通り、砲火を擦れ擦れで躱していく。
 シールドの端に砲火が当り、シールドの上半分が弾け飛ぶ。多少よろめいたが、すぐに体勢を立て直し
 降下姿勢を崩さないようにする英輝。

 甲板に着地し、銃剣付きビームアサルトライフルを至近距離から砲台へと叩き込む。
 着弾点から火の手が上がり、砲台は爆発する。

「よし、この調子で次を……」
「英輝、いけません! 砲台から目を離しては!!」
「……え?」

 即座に修復された砲台の砲撃を至近距離で受けたプラヴァー(デフォルト)は、きりもみ回転をしながら
 古代兵器の甲板から落下する。

 右腕部が千切れ飛び、左脚部も弾け飛んだプラヴァー(デフォルト)は体勢を整えられないまま地面に
 叩きつけられる。
 鈍器で強く殴られたような衝撃が操縦席の二人を襲った。

「ぐっ……あ、あんな早く修復するなんて反則だろ……」

 頭を振り、損傷部位を確認する英輝とマナ。

「頭部カメラは70%の機能低下、推力は68%の低下……これ以上の戦闘行動は無理でしょうね」
「仕方ない……生きてる推進器を駆使して、テメレーアまで帰還する……」

 現状を冷静に考えた英輝とマナはテメレーアへと帰還していった。


 〜古代兵器・側面〜


 古代兵器から射出される空戦型の魔物に
 苦戦しているCHP009【ジェファルコン】ジェファルコン特務仕様を駆るのは、
 トレーダー笠置 生駒(かさぎ・いこま)とグラップラーの英霊ジョージ・ピテクス(じょーじ・ぴてくす)

 ジェファルコン特務仕様は既に対空火器との戦闘で左腕部を失っており、残った射撃兵装はショルダーキャノンのみ。
 今は魔物にショルダーキャノンを撃ち込み、怯んだ所を新式ビームサーベルで引き裂くという戦法を取っていた。

「テメレーアからの情報通りなら……突入部隊がもうすぐ中枢に着くんだよね?」

 モニターとレーダーに目を走らせながら生駒がジョージに聞く。

「そうじゃな……わしらはできる限りの空戦型の魔物を叩くようにとのことだ。
 ただ、被害が重度になる前に帰還せよ、とも言われておる」
「左腕がやられただけだから大丈夫だよ、まだまだ戦える」

 ショルダーキャノンを撃ち込み、急速に魔物に接近すると、新式ビームサーベルで両断するジェファルコン特務仕様。
 その滑らかな動きは、左腕部を損傷しているとは思えないほどであった。

「まずいッ! 上から来るぞッ!!」

 生駒はジョージの声に反応し、頭上の敵に対応する。
 照準を胴体に合わせ、ショルダーキャノンを撃ち込む。加速し、新式ビームサーベルで引き裂く。

「えっ!? 後ろにもう一体ッ!?」

 魔物の後ろに隠れていた魔物が右腕部に喰いつき、そのままショルダーキャノンごと引き千切る。

「このッ! 腕が無くたって!!」

 ジェファルコン特務仕様は右膝を魔物の胴体に打ち込み、怯んだ魔物の頭部をそのまま両足で挟み込む。
 勢いよく右回転を掛け、魔物の頭部を鈍い音と共にへし折る。

「まさか、足を使うとは思わんかった……」
「だって、逃げれば追撃されるし、使えるものは使わないとね。
 それに、こういう時の為に脚部には改造が……」
「何……何か聞こえた気がするのじゃが……」
「き、気のせいだよ……きっと、うん」

 これ以上の戦闘行動は無理と判断した二人は、そんな会話を交わしながらテメレーアへと帰還していった。