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【ぷりかる】出会いこそが願い?

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【ぷりかる】出会いこそが願い?

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第一章 願うは救いの手


 石専門店『ストッツ』、前。

「……お父様、閉店みたいですわ」
 ミリィ・フォレスト(みりぃ・ふぉれすと)はノブに掛けられた『閉店』と書かれてあるプレートを確認してから隣にいる涼介・フォレスト(りょうすけ・ふぉれすと)に言った。
「この時間から閉店とは珍しいね」
 涼介は、まだ明るい空と営業日が書かれている掲示板スタンドを確認しながらどうしたものかと考え込んでいた。

「ワタシ達みたいに石を買いに来たんでしょうか」
 ホリイ・パワーズ(ほりい・ぱわーず)が店前に立つ涼介達を発見した。
「……それにしては妙じゃ」
 草薙 羽純(くさなぎ・はすみ)が入店する様子が無い涼介達を不思議に思った。
「そうですね。店に何かあったのでしょうか」
 ブリジット・コイル(ぶりじっと・こいる)も羽純と同じく不思議に思っていた。
「本当だな。聞いてみるか」
 夜刀神 甚五郎(やとがみ・じんごろう)も同じようにおかしいと思い、事情を聞くために涼介達に近付いた。

「何かあったのか?」
 甚五郎が涼介に聞いた。
「授業で使う魔法の媒体用の石を買いに来たんだけど」
 涼介は事情を話すなり、閉店プレートを示した。
「……閉店? 今日は休みの日だったか?」
 甚五郎はプレートを確認した。
「おかしいですよ。今日は定休日じゃないみたいです」
 営業日が書かれている掲示板ボードで確認したホリイが甚五郎の疑問に即座に答えた。
「やはり何か事情があるのでしょう」
 ブリジットが言葉を終えた時、
「……ここか」
 酒杜 陽一(さかもり・よういち)が現れた。
「あ、酒杜さん」
「あなたも石を買いに?」
 一番に気付いたミリィが言葉をかけ、涼介が訊ねた。自分も甚五郎達も買い物で来ているのでもしかしたらと思ったのだ。
「いや、俺は石処理の依頼を受けて来たんだ」
 陽一は買い物ではなく、ホシカが出した依頼を知ってやって来たのだ。
 陽一はドアをノックした。
「あ、はい」
 ホシカはすぐにドアを開けた。
「石処理に来た者だが」
「……はぁ、良かった」
 陽一が目的を話すなりホシカは心底ほっとした顔になった。
「……あなたが店主か? 石処理の話を聞いたが、事情を聞かせてくれないか。出来れば手を貸したい」
 甚五郎が詳細を聞こうとホシカに訊ねた。
「私達も力を貸しますよ。いいかな? ミリィ」
「もちろんですよ、お父様」
 涼介達も協力を決めた。
「ありがとうございます。どうぞ中へ」
 ホシカは石や行方不明の二人について話すため協力者達を店内に招き入れた。

 話そうとした時、
「ここが依頼を出していた店だね」
 ルカルカ・ルー(るかるか・るー)は買い物先でホシカが石処理の依頼を出している事を知り、駆けつけたのだ。
「……あれは舞花?」
 ルカルカはノックをしようとする手を止め、やって来る人物を待つ事にした。

「確か、この辺りでしたね」
御神楽 陽太(みかぐら・ようた)の子孫である御神楽 舞花(みかぐら・まいか)は、ホシカが出した依頼を受け、店に向かっていた。
「……あれは」
 舞花は店の前に立つルカルカを発見し、声をかけに行った。

「もしかして舞花も依頼を知って来たの?」
 ルカルカはやって来た舞花に訊ねた。
「はい。石処理の依頼を受けて何か手助けが出来ないかと思いまして」
 舞花はうなずいた。
「うん、ルカも何か出来ないかと思って」
 ルカルカはそう言って店のドアをノックした。
「あ、はい」
 ホシカが出て来た。二人はやって来た理由を話してから店の中に入った。

 その後すぐに
「……閉店みたいだねぇ」
清泉 北都(いずみ・ほくと)はたまたまたホシカの店に来たものの店が閉店していて立ち往生。
「騒がしいな。人はいるみたいだぜ」
 白銀 アキラ(しろがね・あきら)は店内から人がいると思われる気配や声を聞く。
「……さてどうしようか」
 北都が次の行動を考えていた時、
「……仕事の依頼を出した店はここだね」
 ホシカの依頼を受けた春夏秋冬 真菜華(ひととせ・まなか)が登場。
「依頼って何かあったのか?」
「あったよ。れっつらごー!」
 白銀が事情を訊ねるも真菜華は詳しくは答えず、元気なかけ声と共にドアをノックした。
 するとホシカが現れ、真菜華と共に北都達も一緒に店内に招き入れた。

 石専門店『ストッツ』、売り場。

 真菜華と北都達よりも先に来た人達が集まっていた。
 ホシカは落ち着いたところで事情を説明した。
 二名の行方不明者や消えた石について本日職人の親族と話し合いをしたものの何も知らず、盗まれたという話も聞いていない事。もしかたらこの街にあるかもしれないが、探す事が出来ないでいる事。

「それは大変! 石の処理は真菜華にお任せだよ!」
 真菜華は元気に店内にある石処理に回った。

「キーアちゃんが行方不明かぁ、僕達は彼女を捜しに行こうか」
 北都はキーアの事が気になっていた。何度かキーアが通っている幼稚園と交流をして顔見知りなので余計に気がかりである。
「キーアが残していった持ち物はあるんだよな?」
 白銀はキーアの持ち物を求めた。
「あ、はい」
 ホシカはキーアがよく持ち歩いているリュックを出した。
「よし」
 狼に獣化した白銀はリュックに残っているキーアの匂いを記憶し、『超感覚』も使い、キーア捜しに出発した。
「……急ごう」
 北都もその後ろを急いだ。
「見つけたらルカの方に知らせてね。後で写真送るからね」
 ルカルカはそう言いながら捜索に出る二人を見送った。
「ルカはここに残るから何か分かったら連絡お願い。ルカが他の人に伝えるから」
 ルカルカは店でみんなから送られる情報を総括し、拡散する事にした。ここを探索本部とするのだ。ルカルカはすっかりその準備を整えていた。
「私はグィネヴィア様の捜索にご協力します」
 舞花は話を聞いた末、グィネヴィア捜索に行く事にした。石の方は人手がいるので問題無いだろうと判断したのだ。
「写真、送ろうか?」
 ルカルカは捜索に必要と思われるグィネヴィアの写真を籠手型HC弐式経由でパソコンをネットに繋げ、写真を手に入れていた。“プリンセスカルテット”として有名なためかすぐに発見出来た。キーアの写真はホシカに用意して貰い、それを写メして入手。
「お願いします」
 舞花はルカルカから自分の籠手型HC弐式に二人の写真を送付して貰ってから捜索に出発した。ルカルカは北都の銃型HCに行方不明者二名の写真を送った。

「……それで石はどのように扱えばよいか教えてくれんかのぅ? 心を無にする事と直接触らぬ他に扱い方は無いのかのぅ」
 羽純は石について訊ねた。情報があればあるほど安全に処理が出来るから。
「……無いと思う。そもそも本当にどこかに転がっているかも分からなくてただ、盗まれたという話を耳にしなかったからというだけで」
 ホシカは困ったように言った。ただの消去法で石の居場所を予想しただけなのだ。
「……そうですか。もし見つけたらとても注意して探さないといけないですね。うっかり踏んだり手で触ったりしないよう」
 ホリイは少し心配になりながら言った。
「そうじゃな」
 羽純もうなずいた。見落としの心配だけではなくうっかり触ってしまう恐れもあるのだ。
「では、わしらは消えた石を探しに行くか」
 この話の流れから甚五郎は石処理に街へ出る事に決めた。
「行きましょう。被害が出る前に」
 ブリジットは被害者が出る前にと皆を急かした。無いなら無いで問題は無いが、転がっていれば大いに問題があるから。
 甚五郎達は店を出た。