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【ぷりかる】出会いこそが願い?

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【ぷりかる】出会いこそが願い?

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 グィネヴィアと石の青年を連れて捜索者達が去った後、残ったのは舞花と加夜だけ。
 ここから石を盗み出したという魔術師について調査をするためだ。

「……どうですか? 何か読み取れましたか?」
 舞花が加夜に訊ねた。
「……職人の願いで戸惑っている様子や親族が片付けをする姿ばかりです」
 加夜は、『サイコメトリ』で作業部屋のめぼしい場所を読み取っていた。
 息を引き取る前に口にした職人の願いを受け入れ姿を得た石、石に教えてくれるはずの主が死、戸惑う青年。その戸惑いは死と言うものを知ってではなく、動かなくなった事に対してのようだった。その他には職人の親族の片付けぐらいだった。
「……そうですか」
 舞花はうなずき、青年の事を考えしんみりしていた。舞花は目に見える痕跡を探していたのだ。収穫は当然ゼロ。
 最後に目撃情報があった店の裏口へ向かった。

 亡き職人の店、裏口。

「目撃したという場所を読み取ってみますね」
 加夜は裏口のドアに触れ、『サイコメトリ』を使う。
「……」
 残っていたのは、出入りする職人の親族と真夜中の風景ばかり。
「……片付けをする親族と夜の風景しか見えません。暗過ぎて人がいるかどうか判別がつきません」
 加夜が困ったように言った。もう少し何か分かるかと思いきや塵一つ痕跡が出て来ない。
「……そうですか。本当に怪しいですね。ここから盗み出したのなら残っているはずですよね」
 舞花は考え込みながら裏口周辺を見回した。当然不審人物はいない。
「普通はそうだと思いますけど、何か読み取られないようにしているのかもしれません。石から読み取れたのは普通の石ではなかったからだと思います」
 加夜は、今の状況から結論を導き出した。
「……そうかもしれませんね。石の方にも痕跡は無かったそうですし。報告しておきますね」
 舞花はルカルカに連絡を入れた。
 ちなみに街の石捜索組は、最後の石問い合わせ後に舞花に知らせた情報と共に店に引き上げていた。

 連絡を終えて
「……魔術師について何も分からないままですね」
 舞花は憂いの顔で言った。
「そうですね。このまま放っておく事は出来ませんが、何も出来ないのが現実ですね」
 加夜はため息混じりに言った。ここまで手慣れていて巧妙で痕跡が無いのが不気味で今回が終わりでない事を予感させる。
「そうですね。でも、石は全て回収して犠牲者が増える前に解決する事が出来ました。何より石をばらまいた犯人が判明したのですから良しとしましょう。ただ、目的は分からないままですが」
 舞花は今の状況を良い方向へと考えようとした。全てが全て悪い状況ではない。石をばらまいた犯人が判明し多くの犠牲者が出なかった。それだけでも優秀なはずだ。
「行方不明になっていた二人も無事でしたしね。戻りましょうか」
 真剣な表情をゆるめて加夜は言った。今、喜べることは喜ばなければ。ただ、警戒は忘れずに。
「そうしましょう。ここで考えていても進展はありませんし」
 舞花もうなずき、笑んだ。
 加夜と舞花は、ホシカの店に向かった。