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対決、狂気かるた!

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対決、狂気かるた!

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「8回戦、海京かるた会 鮎川 望美(あゆかわ・のぞみ)さん対イルミンスールかるた会 ヤジロ アイリ(やじろ・あいり)さん。前に出て下さい」

アニメの影響で発狂に対して全く危機感がない望美。それどころか、発狂ってどんなモノか、幻覚で何が見えるのか、楽しみでウズウズしている。

「邪神ってのがどんなんだろうな」

 望美とはまた違った意味で楽しみなヤジロは望美の向かいに座る。

「ゆらのとを わたるふ」

―――パシ

 野生の勘でそれらしい札に目星を付けたヤジロは、歴戦の立ち回りで獣の様な素早さをもって札を取った。

「ゆくえもしらぬ こいのみちかな。……ちぎりきな かたみにそで」

 下の句を見つけたヤジロは札を取りに行く。

―――パシ

「すえのまつやま なみこさじとわ」
「おしっ……て、あれ?」

 自分の掴んだ札を見て驚くヤジロ。
 取ったと思った札とは違う札を手にしていたのだ。

「ふふっ」

 実はヤジロが取りに行った札は望美がサイコキネシスで札をずらしていたのだった。
 これを機にミラージュで分身・攪乱したり、自分のすぐ近くにある札をわざと遅れて取るようにして胸をかすらせる。

「あ、悪い」
「んっ大丈夫よ」

 恥じらいながら首を振る望美。
 ヤジロは全く気にしてはおらず、次の札に構えていた。

「む……」

 お色気作戦は諦めサイコキネシスとミラージュだけで攻めることにする望美。
 競技終了後、ヤジロは持ち堪え、望美は発狂してしまった。

「ん、ここは……?」
「鮎川隊員、何を突っ立っている!」

 望美が座っているのはロボットの操縦席。
 スピーカーから望美を呼ぶ音声が聴こえている。

「ど、どうしたの?」
「どうしたの? じゃない! ここは戦場なんだぞ」
「え?」

 画面には宇宙人があちこちから迫って来ている。

「きゃっ」
「早くその銃で倒せ! 数が多すぎて手が回らん!!」
「わ、わかりました!!」

 望美はロボットの銃に繋がっているトリガーを握って宇宙人を撃退していく。

「宇宙人たち、ここで滅びよ!」

 そう言って現世ではシングルアクションアーミーをあちこちにぶっ放していく望美。



◇          ◇          ◇




「気を取り直して9回戦、海京かるた会 エース・ラグランツ(えーす・らぐらんつ)さん対イルミンスールかるた会 バン・セテス(ばん・せてす)さん。前に出て下さい」

 外国人の考える日本的札取り感覚で参加したエースと、危険大好きなバンが向かい合って礼をする。

「(ひらがなの文……ぎりぎり意味は分かる、か?)」
「(危険狂気ばっちこい! えーと、確か……)」

 変体かな使いの札ではなかったことに少々安心するエース。
 対してバンは事前に覚えてきた詩を博識で思い返している。

「なげきつつ」

―――パシッ

 札を見つけたバンは封印解凍で素早くその札を取る。

「負けらんないじゃん、やっぱ?」
「いかにひさしき ものとかわしる」

 次々に札を奪っていくバン。
 徐々に蓄積されていく身体へのダメージ。

「くぅ〜やっぱコレはキツイじゃねーか」

 反動の文はヒールを使い、負荷を減らしていく。

「……めぐりあい」

―――パシンッ

「あっ」
「ようやく俺でも札を取れたか」

 反動の負荷をヒールで癒している隙を縫うようにエースは札を奪った。
 そこからエースの反撃が始まる。

「な、なんだとー!?」

 始めのうちはバンの独壇場であったのだが、『めぐり逢ひて』の札からエースはコツを掴んだのか着実に札を集め、終いにはバンの陣より早く自分の陣を零にしたのだった。

「ちくしょー!」

 悔しさと一緒にサイコロをふるバン。

―――コロリ

「じゅ、10だとぉ!? 俺、『女の子の体のヒミツ』を借りるじゃん。そしたら敗者復活出来るらしいしぃ」

 『女の子の体のヒミツ』で発狂を防ぎ、敗者復活にバンは賭けた。

「では俺も。……6か」
「バンさん、エースさん共に正常! よってエースさんは第二試合、バンさんは敗者復活へコマを進めます」