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リアクション
仮想とリアルの子供同士の邂逅という不思議な光景は、別の場所でも行われていた
塔を眼前に臨む街の一角
そこから【三騎士】攻略の2ルートを選択するべき地点でも、二組の家族の戦闘が【メカフリューネ】と繰り広げられている
「正面から敵来ます!識別は陸戦タイプ!」
「了解ですぅ悠里ちゃん!悠里ちゃんはAIでも優秀なのですよぅ!」
【我が子】である【佐野 悠里】からのナビを受け
佐野 ルーシェリア(さの・るーしぇりあ)が【レンジェンダリーソード】を手に正面の【メカフリューネ】に切り込んでいく中
佐野 和輝(さの・かずき)が死角からの襲撃を手元の二丁の銃で迎撃していく
お互い背後をカバーしながら、回転するように入れ替わり立ち代わりする全方位型の連携攻撃スタイルは、見るも鮮やかで
数メートル先で戦闘中のも思わず戦闘を忘れ、レティシア・ブルーウォーター(れてぃしあ・ぶるーうぉーたー)も見入ってしまいそうになる
もっとも、そんな事続けてると愛しいパートナーに怒られるわけで……
傍らのリアトリス・ブルーウォーター(りあとりす・ぶるーうぉーたー)が怒ったように口を尖らせ、レティシアに抗議をしはじめた
「そんな羨ましそうな顔しないの!僕達だって負けてないんだから……切り込むよ!レティ!」
「はいはい、とりあえず一曲ノッてみますか♪」
【霞斬り】で【メカフリューネ】の攻撃を薙ぎ払いながら
レティシアが、いつの間にやら用意した携帯型音楽プレイヤーのスイッチをオンにする
途端、アンプ出力最大限の大音量で流れる【フラメンコギター】の音色が戦場に響き渡った
「ユウキ!とユウキ!出番だよ」
「「は〜い!!」」
軽快なフラメンコの名曲【La Barrosa】に乗ってリアトリスだけでなく
娘のユウキ・ブルーウォーター(ゆうき・ぶるーうぉーたー)と【我が子・ユウキ】……二人のユウキが軽快にパルマ(手拍子)を打つ
「Vamos a alla!!(さぁ、行くぞっ!)」
ハレオ(掛け声)と共に自由に動き出す3人だが、その動きはフラメンコのコンパス(リズム)に乗った華麗な演舞
情熱的に動き回りながら、しなやかなパソ(ステップ)が【メカフリューネ】を翻弄していく
リアトリスの大柄な【スイートピースライサー】がフラメンコの小道具【Abanico(扇)】の様に優雅に舞い
吸い込まれるように機兵に【レジェンドストライク】を叩き込む
ユウキの情熱的な舞いが【楽士のポンチョ】を華麗にはためかせ、そこから縫う様に現れる【バスタードソード】が
ジプシーの篝火のような激しさで【爆炎破】を幾つも炸裂させる
戦闘能力の無い【AI・ユウキ】も攻撃を掻い潜りながら、詠う様に情報を親達に伝えていく
特に二人のユウキは存在こそ違うものの、その舞いは時に対極であり、時に合わせ鏡のようなユニゾンで
親のレティシアだけでなく、応戦していた和輝やルーシェリア達まで魅了する
「ユウキちゃんたち……綺麗だぁ」
そんな声とともに、うっとりと魅入るアニス・パラス(あにす・ぱらす)と悠里の背後に数機の新たな敵影が迫る
すかさずルーシェリアが間に入り、剣戟で無数のドリルを瞬時に捌く
だが度重なる戦闘で疲労した【レジェンダリーソード】が耐久限界に達したらしく、乾いた音を立て四散してしまった
「あれ?」
電脳用にスキャンされた武装なので、壊れても実物が損なわれるわけではないから彼女の動揺は少ない
しかし武器がなくなったの現実なので、メカ達のドリルが容赦なく襲い掛かる
「mira!!(それっ!!)」
だがそこに軽快なハレオと共にユウキの【ソニックブレード】と、飛来した無数の瓦礫が炸裂した
ユウキが瓦礫の飛んだ方を見ると、リアトリスが【サイドワインダー】で蹴り飛ばしたものらしく、彼女のウィンクが見えた
そんな二人の一瞬生んだ隙を、パートナーの和輝が見逃すはずも無く
銃撃で牽制しながらルーシェリアの背後に戻ると軽快に上に二丁の銃【シュヴァルツ&ヴァイス】を投げ上げる
その意図を察した彼女が高くジャンプして銃を手に取り、下のほうに照準を向けると
周囲を新たに取り囲む【メカフリューネ】に【超人的肉体】で強化された和輝の【レガース】を装備した蹴り技が
カポエイラのごとき旋風の勢いで炸裂し、円状に吹き飛んでいるのが見えた
「しっくりくる重さと扱いやすさですぅ、それ!」
初めての感触にもかかわらず勢い良く打ち出された銃撃が、和輝の攻撃でダメージを受けた機兵の止めとなり
無数のポリゴン片が霧の様に舞いながらエネミーを消滅させた
……もちろん、これで終わる和輝達の攻撃ではない
圧倒的火力で攻撃を受けたため、完全にターゲット扱いされた和輝とルーシェリアに、残りの敵が集中する
先程の数を遥かに越えた数の【メカフリューネ】が、銃を手放した和輝に押し寄せようとする中
華麗にハンドスピンから起き上がった彼の足が、足元の一角を蹴り上げる
刹那、土煙をあげ彼の前に【荒野の棺桶】が聳え立ち、すかさず内部のトリガーを握る……照準は改めて合わせるまでも無い
さらに、ただでさえ広範囲な攻撃範囲を全方位にするべく周囲をアニスの【機晶妖精】が包囲する
「突入する奴等の邪魔になるから、とことん減らしておかないとな」
「ちゅどどど〜ん!落雷注意だよ〜♪」
満を持した二人の叫びと共に、和輝の【面制圧射撃】とアニスの【稲妻の札】が派手に炸裂
射撃による爆発に【聖霊の力】による無尽蔵の魔力に、雷神の【神降ろし】が上乗せされたアニスの雷撃が降り注ぐのだから
威力は筆舌に尽くしがたく、和輝達を中心に輪を広げるように誘爆が起こり、束の間の焦土が広がった
あまりの威力に、爆撃の只中にいたレティシアが煙にげほげほと咳き込みながら、思わず文句を言う
「ちょっと!アニスちゃん!雷注意ですよ〜!」
「ふえ?誤射?大丈夫だよ
【精神感応】で和輝と連絡を取り合ってるから、レティお姉ちゃんたちにも当たる事はないのだ♪」
「何でもやりすぎは毒なんですよぅ!悠里ちゃんもAIのユウキちゃんも高圧の電子負荷は毒なんですから!」
「あ、そか……大丈夫?二人とも」
我にかえって身を案じるアニスに悠里とAIユウキがニッコリと微笑む
「雷は苦手だけどアニスお姉ちゃんのなら大丈夫だもん、ね?ユウキちゃん」
「うん、それにおかげでエリア内の悪いのは制圧できたから、元の数に再生するには時間が必要なはずだよ
おかげで他の人が安全に通れるようになったもん、ほら」
AIユウキが指差す方を見ると、塔に向けて疾走していく見慣れた影が見える
「【アダム】とパフューム達一行か……確か【モエフリューネ】攻略組だったな、俺達も合流するか」
「なら、あちき達一家は予定通り【キレフリューネ】ルートの方に移動しますかねぇ」
お互い頷きあう和輝とレティシア、それにあわせてそれぞれの【家族】が予定のルートを選択して移動を開始する
目標の塔は眼前……目視距離300メートル先に大きくそびえている
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「目標到達まであと250メートル!先行した人達で数を減らしてくれたみたい、敵再生率40パーセントだよ!」
「確認したよ!和輝達に感謝だね……向こうもすぐそこにいるみたい!」
【アダム】の報告にウィンドウのマップを展開し、プレイヤー位置を確認していた小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)が返答する
見れば予定通り、周囲から多くのプレイヤーがルートに合流しつつあるようだ
目指すは眼前の塔の北西入り口……そこから美羽達は【モエフリューネ】の攻略に入る予定だ
塔内の分岐で、やや遠回りになるが敵の手薄なルートが【キレフリューネ】に繋がっているので
アダムとパフューム達数組はそちらから死角に廻り込み、正面からの【キレフリューネ】攻略組と挟撃する手筈になっている
……もっとも、敵はメインシステムなのでそういう移動も全て把握してる可能性は否定できないが
とにかく対抗策を向こうが打つ前に、強襲→制圧……と攻略するのが考えられる手段なのである
「マップ確認!入り口に新たに【メカフリューネ】大量出現……っていうか、これ」
「……どうしたの、アダムくん?」
状況を伝達していたアダムが急に黙り込んだのを不思議に思ってパフューム・ディオニウス(ぱふゅーむ・でぃおにうす)が顔を覗き込む
彼女の問いに無言な彼がそのまま前方を指差したのを見て、パフュームもその理由を理解した
「え〜と、なんかどこかで見たことある光景だよこれ?なんだっけ……中国のお墓の……」
「兵馬俑でしょ?あの大量に王族のお墓を守るように置かれた土人形」
「そうそう、それ!良く知ってるね春美さん」
自分の疑問に即答してくれた騎沙良 詩穂(きさら・しほ)を褒め称えるパフューム
だが結局、目の前の相手が間違いなく【ものすごくウジャウジャいる】のを認めた事になっただけである
入り口と思しき重厚な扉の前に、スクラム編成を組んだ【メカフリューネ】が何層にも重なって守りにつく様は
堅牢な壁の連なりのごとくで、そこを突破するには相当な火力戦力を必要とするのは明白だった
あまりの光景に呆れを通り越して笑ってしまうコハク・ソーロッド(こはく・そーろっど)と霧島 春美(きりしま・はるみ)
「まいったね、流石にこれは【無理ゲー】の領域だなぁ……どう思う春美さん」
「同意……って言いたいんだけど、本当に理不尽さで叩き潰す作りとは思えないのよね
それなら態々【三騎士】なんて用意しないもの……作り出した以上、彼女達と戦う事を望んでるはず
正面突破にこれだけストレスをかけるなら、何か突破口があるのよ……そこを見つけないと」
「考えたいのは山々だけど、向こうも守ってるだけじゃないみたい……タゲられた!来るよ!!」
美羽の言葉と同時に、一番手前を守る隊列から順に雪崩の様に【メカフリューネ軍団】が押し寄せてくる
さながら向こうは合戦という勢いを見据え、月美 あゆみ(つきみ・あゆみ)が春美に呼びかける
「とにかく、来るのなら迎え撃つまでだ!
はるみん、愛とはるみんは、この身を盾にしてでも守るからかならず事件解決してね!」
「ちょっと、覚悟持ちすぎよ、あゆ……」
大げさに【死亡フラグ】でも立ちそうな台詞に返答しようとした春美だが、口をつむぐ
何故なら、敵影を見つめる彼女の目が、がかつて無く真剣な色を称えていたからだ
「……こんなこと言うのもなんだけど、先にあゆみがリタイヤしたら愛に伝えて……生涯、あなたを愛してるって…」
「………多分わかった、って言うのが筋なんでしょうけど悪かったわね
探偵は生きてるものにはとことん足掻くのよ、事件なんて事後ばっかり追いかけるのはお断りなの
それに、そんな覚悟するのはもうちょっと回りを見てからいう事ね」
春美の言葉と共に、あゆみ達の眼前を勢い良く通り過ぎる影が近づく【メカフリューネ】数体を火柱に変えていくのが見えた
「随分といっぱいいるじゃねぇか!暴れがいがあるぜ!なぁ!」
先陣を切り込んだ影……フェイミィ・オルトリンデ(ふぇいみぃ・おるとりんで)が威勢よく啖呵を切る中
続いてヘイリー・ウェイク(へいりー・うぇいく)とユーベル・キャリバーン(ゆーべる・きゃりばーん)が続いていく
新たな援軍は彼女たちだけではない
リネン・エルフト(りねん・えるふと)に守られ、アダムの傍に辿り着いた【清泉月(ルナ)】が元気良く彼に声をかける
「やっとついた!アダムくん、気づいたんだけど……周りのこわれたおうちとか、なんだかのぼれそうだよ」
「月ちゃん!?本当だ……これって」
「……なる程ね、裏ルートがちゃんと用意されてる可能性があるという事か」
続いて月の傍に辿り着いた清泉 北都(いずみ・ほくと)が言葉と共に周囲の瓦礫を一望する
「アダムくん、他の御友達と協力して瓦礫の配置を組み込んだルートを割り出して貰えないか?
そこから突入が成功したら【メカフリューネ】の防衛行動も変わるはずだよ
薄くなったとこから、別ルート組みは分かれて他のプレイヤーと合流しよう、アダムくんもそっちに行ってくれ」」
「あたしも手伝う、アダムくん、ちゃんと守るね!」
【禁猟区】を施したリボンを手渡しながら月がアダムに微笑んで言った言葉
それを新たに現れたもう一人……クナイ・アヤシ(くない・あやし)が聞きつけ、北都に抗議する
「事態を終息させたいのはやまやまですが、月を巻き込むのは……何かあったらどうするのですか、北都!?」」
「まぁまぁ、可愛い子には旅をさせろって言うじゃない?大事な仕事だけれど、月は出来るよね?」
「うん!」
「そんな、北都は心配じゃないんですか?」
「子供を信じてあげるのも親の仕事だよ」
「うるさくいうおとーさんキライ」
ついには愛娘から止めを刺され、逆に敵よりダメージを喰らうクナイパパ
見れば美羽や詩穂だけでなく、一緒にここまで来た黄泉耶 大姫(よみや・おおひめ)やパフュームも応戦を開始している
その様子にはぁぁ〜と深い溜息をついた後、クナイはアダムの方を向いた
「アダムくんでしたっけ……娘を頼みます
こうなったら全力で行きますよ!ええ、そりゃもう……娘には指一本も触れさせませんから!」
激昂一番、戦闘のあおりを受けて飛んできた瓦礫を【風術】で受け流し【シーリングランス】を持って飛び込んでいく
【歴戦の立ち回り】を駆使し、獅子奮迅の勢いの彼、そして周りを見てあゆみも気持ちを切り替えたようだ
「しめっぽいのもうおしまい
いくよ2人とも!3枚のレンズで増幅された光は銀河の隅々、因果地平までとどく愛の光!」
彼女のいつもの元気に愛も春美も笑って顔を見合わせ、お互いがそれぞれの【レンズ】を触れ合わせる
それを眩しそうにに見つめた後、元気良くあゆみの声が戦場に響き渡った
「はるみん、愛、行くよ……クリア・エーテル! レンズよ愛を導けっ!!」
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さて、この先の経過を話す前に少しだけ時間が巻き戻る
現在激戦中の塔入り口から少し離れた場所で【我が子・イーダ】のコンバートを終了し
ミュリエル・クロンティリス(みゅりえる・くろんてぃりす)が嬉々として自分の外見年齢と差が無い彼女と抱擁を交わしていた
「おとーさん、おかーさん…また会えた、ね…」
「わぁぁ、また会えるなんて思ってなかったですよー!ね、お兄ちゃん?」
「ん?……お、おう、久しぶり、だな」
ミュリエルの言葉にぎごちない笑顔で答える【おとーさん】ことエヴァルト・マルトリッツ(えう゛ぁると・まるとりっつ)
実はコンバート条件があるにもかかわらず、二人はすっかりその事を忘れたままゲームにログインしていたのである
「こりゃロスヴァイセさんでゲシュタルト崩壊起こしかねないな」
などと余裕の姿で状況を見ていたエヴァルトの前に
突然【ナビAIのコンバートを行いますか?】とメッセージウィンドが出た驚きたるや、発端のゲームトラブルの比ではない
そんな偶然も【我が子・イーダ】との出会いとデジャヴ丸出しのまま
それでも全く同じパニックだけはするまいと【おとーさん】は抱きつく娘を頑張って受け止めていた
「今日も、おとーさんが頑張るんだよね…?
わたし、今日はおとーさんと一緒に、フリューネさんって人を助けに行きたいの…ダメ、かな…?」
「……このトラブルの事はわかってるのか、まぁ、いいが…」
どの道、この子がいようといなかろうと、自分の行動は単純なのは変わりない
当初の予定【モエフリューネ攻略ルートを目指し、仲間と合流&共同戦線を張る】という目的を果たそうと
イーダを抱き上げた……何か自然に【お姫様だっこ】になったのは偶然にちがいない
(また会えて嫌なことはないが、あのシミュレータの事知ってる人ならまだしも、知らない人に見られたらマズイな
だ、大丈夫……みんな戦闘区域に移動中だし、誰もこの子とミュリエルを見て【ペド】……いやいや
百歩譲って【ロリコン】とも思わないはず、大丈夫大丈夫)
そう自分の内に言い聞かせていたエヴァルトだが、不意にそこの角から声が聞こえ不覚にも硬直する
「ねーまだ行けないの?こっちは折角名乗りも万全なのに
メカ軍団そしてそれを率いてるボスっぽい奴!……こんな格好のシチュエーション、正義の魔法少女の出番でしょ!?」
「落ち着け八重、どうせ戦いたいのは【三騎士】だろう?今AIのネットワークを通じてルートをだな」
……そんな話し声と共に角から現れたのは
ブラック ゴースト(ぶらっく・ごーすと)に跨りながら喧々囂々と会話をしている永倉 八重(ながくら・やえ)だった
そんな彼女と【バイク型機晶姫】が、不意にエヴァルトの姿を見つけて『……ん?』と彼等のほうを向く
一方のエヴァルトさんは6歳の娘を抱きかかえ、それを愛おしく見つめる【外見9歳】のパートナーが傍にいる絵である
「!?!?!?」
「あ、ちょっと待ってよ!!こら!」
名状しがたい表情と声にならない叫びをあげ、翼の靴&ゴッドスピードで空中に飛び出し逃げるエヴァルト
思わず追いかけてしまう八重達が猛スピードで消えた後、一人残されたミュリエルがくねくねしながら呟いていた
「こんにちは!この子ですか?えへへ…私とお兄ちゃんの娘です!
あ、と言っても、シミュレータの中の、ですけどね……あれ?あっ、また飛んでいっちゃいました?」
そんなわけで、図らずも猛チェイスを行っていた二組がアダム達の戦場に乱入し
彼が【詩音・シュヴァーラ】と【月美 愛】【千里】【清泉月(ルナ)】と協力し割り出した裏ルートを誰よりも早く疾走し
一番乗りで【モエフリューネ】が待つ部屋に突入……もとい乱入してしまったのも無理は無い話である
扉をぶち破り、そのまま横倒しで無理矢理ブレーキをかけ突っ込んだ相棒に文句を言う八重
「いたたた、突っ込むのはわかってたけど、雑魚を軒並みひき潰すってどんだけよ!」
「いいだろう?言いたい台詞は山ほどあったのだがそれを犠牲にして走り抜けたんだ!
おかげで一番乗りだぞ、ありがたく思え!」
そんな二人のやり取りだが、不意に聞こえた声に中断し、戦闘態勢を整える
『……ふふ、どうやら命知らずが来たようアルネ?』
そこにはどういうシステム権限が働いたのか両手に二丁の【星輝銃】というありえない武装で佇むチャイナ服姿が一人
足は編みこみのショートのアーミーブーツ、髪をうなじで束ねて編み込み、肩から下げているが
明らかに姿は【フリューネ・ロスヴァイゼ】その人である
「ふむ……銃にチャイナか……【ギャップ萌え】に戦闘意欲をそそる【燃え】のツーアイテム
データー照合は不要、誰がどう見ても間違えるはずが無い……奴が【モエフリューネ】という事か」
「しかも『アルヨ』をつけるあたり、マニアックよね」
どうやら一緒に突入したエヴァルトもモードを変えて戦闘態勢に入ったらしい
【サンダーブラスト】彼を追ってきたミュリエルだけでなく、他の攻略メンバーも追いついてきたらしい
一呼吸入れた八重は、一番手を名乗るべく愛刀【紅桜】を【モエフリューネ】に突きつけ、名乗りを上げる
邪魔もせず、しっかり名乗りを待つ辺り敵も【燃え】を心得ているといった所か
「闇あるところに光あり!悪あるところに正義あり!紅の魔法少女参上!!モエフリューネは私が倒す!」
かくして【三騎士】が一角との戦闘は火蓋を切って落とされた
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