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リアクション
柊 恭也(ひいらぎ・きょうや)の屠龍対ミーシャ、サーシャのラードゥガ。
『よろしくお願いしますね。恭也さん』
『……よろしく、です』
『おう、こちらこそよろしくな』
戦闘開始の合図。
「こっちから行かせてもらうとするかな……!」
先に動いたのは屠龍。レーザーマシンをラードゥガ向けて乱射。
「牽制ですね……」
「……シールド、展開」
それをウィンドシールドを展開し、防ぐ。
「……反撃」
「了解だよ」
弾幕の合間を縫って、ラードゥガが銃剣付きビームアサルトライフルで応戦。
「そのぐらいじゃこいつには当たらないぜ!」
小型の機体を活かした機動でライフルを回避していく。
「そらっ!」
流れるように試作型カットアウトグレネードをラードゥガに投擲。ラードゥガ付近に特殊な磁場干渉波を発生。
「……レーダー機能停止」
「エンジンは……なんとか使えそうですね」
「そこだ!」
その隙に屠龍が接近、雷皇剣を振るう。
「……!」
だが、BMI機能を持つラードゥガは即座に反応。銃剣で防いで見せた。
「……武器損傷」
「これはもう使えませんね……」
強力な電撃を浴びたライフルは使い物にならなくなっていた。
「……レーダー復帰」
「武装を一つ失いはしましたが、まだまだ行けそうですね」
「もう一度!」
屠龍が再度、試作型カットアウトグレネードを投擲。
「……もう、当たりません」
すぐさま後退してグレネードを回避。
「本命は……こっちだ!」
放ったのはウィッチクラフトキャノン。
「なんだって!?」
「……シールド」
砲撃に巻き込まれるラードゥガ。しかし、それを耐え切って見せた。
「こっちは小型機だし、一撃で倒せる訳ないか……」
「姉さん、損傷状況は?」
「……シールド破壊。機動力、低下。でも、戦闘に、支障なし」
「了解です」
ウィンドシールドを捨てるラードゥガ。
「もう、もちませんからね。一気に行かせていただきます!」
レーザーマシンガンを乱射し突撃するラードゥガ。屠龍も迎撃にとレーザーマシンガンで応戦。
「そこです!」
すぐさま、ランスへ持ち替えて、鋭い突きを繰り出す。
「おっと!」
屠龍は雷皇剣でそれを受け流す。その瞬間にラードゥガは高速で後退。先ほどまでいた場所にはコロージョン・グレネード。
「なに……!?」
もちろん、屠龍に避けられるはずもなく。グレネードが炸裂。黒い腐食性の粘液が屠龍に降りかかる。
『隠し玉として、残しておいたんですけどね……』
機能障害を起こし機動力が落ちた、屠龍に向けてランスを突きつけるラードゥガ。
『まさか、初戦から使う事になるとは思いませんでした』
『……参った。降参だよ』
恭也が降参とばかりに両手を挙げた。
トーマス・ハミルトンのフリーダム対狭霧 和眞(さぎり・かずま)&ルーチェ・オブライエン(るーちぇ・おぶらいえん)のトニトルス・テンペスタス。
『また、お前らと戦う事になるなんてな』
『模擬戦の時は負けたけれど今回は勝たせてもらうッスよ!』
『悪いが今回も勝たせてもらうぜ!』
戦闘開始の合図と同時に突撃するのはトニトルス。それを分かっていたとばかりにフリーダムは逆に距離を置く。
「近接仕様なのは模擬戦のときに見せてもらった。悪いが、負けてられないんでね!」
距離を取りながら銃剣付きビームアサルトライフルを乱射するフリーダム。
「やっぱり、手の内は読まれているッスね……!」
弾幕を敷くフリーダムと中々距離が詰められないトニトルス。
「でも、分かりきっていた事ッスよ!」
ショットガンと20ミリレーザーバルカンでフリーダムの退路をふさぐように射撃。
「はっ! その程度で止められると思うなよ!」
フリーダムは高い機動力を活かし、トニトルスの射撃を抜けていく。
「そこだ!」
小回りの利かないトニトルスの背後に素早く回りこんで、ライフルによる射撃。
「うわっ!」
「損傷軽微。まだ各機能には問題ありません」
「了解ッス!」
「やはり、この程度じゃダメか……。だが、繰り返せば問題ない!」
うまく、動き回り。少しずつダメージを与えるフリーダム。
「さすが、フリーダムッス。精確に射撃をすり抜けていくッスね……!」
トニトルスもうまく退路を潰しているはずなのに、中々フリーダムを捉える事ができない。
「兄さん、そろそろまずいかも知れません」
「……そうッスね。ここまで受けたらもう関係ないッス! 一気に攻めるッスよ!」
退路を潰す事をやめ、一気に間合いを詰めるトニトルス。
「真正面からの特攻か! だが!」
フリーダムがまっすぐ突っ込んでくるトニトルス向けてライフルを乱射。トニトルスは最小限の弾を回避し、被弾しながらもフリーダムへ突撃する。
「なに!? なるほど、被弾覚悟か!」
「いくッスよ!」
新式ビームサーベルを構える。
「いいだろう! かかってこい!」
フリーダムもビームサーベルを構え、迎え撃つ。二、三度打ち合ったところで、トニトルスが少し間合いを取る。そして、サーベルの柄にワイアクローを括りつける。
「こちらから行くぞ!」
今度はフリーダムが突撃する。
「兄さん、今です!」
「喰らえッス!」
トニトルスはあろう事かサーベルをフリーダムの右肩を狙い投擲。
「なに!?」
咄嗟に機体をそらして回避するフリーダム。そこに迫るのはトニトルス。
「しまった……! サーベルはブラフか!?」
トニトルスの左手がフリーダムの額を掴み、脇腹にショットガンを構える。
「喰らえ必殺! シャイニング――!」
「兄さん。アウトです」
言わせないとばかりにルーチェがとめる。
「……ショット!!」
とりあえずとばかりに叫び、ショットガンをフリーダムの脇腹向けて乱射。さすがのフリーダムも大量の弾丸を受け、立っていられるわけもなくその場に崩れ落ちた。
「……勝ったッス!」
「はい。やりましたね、兄さん!」
喜ぶ二人。
「また、負けた……のか? この俺が……?」
対照的にトーマスは、しばらく一人で呆然としていたのだった。