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リアクション
鍾乳洞の調査2
「洞窟探検は楽しいのであります」
そう言ってマッピングしながらどんどんと鍾乳洞を奥に進んでいくのは葛城 吹雪(かつらぎ・ふぶき)だ。
「待って吹雪。……このあたりで取れる鉱石も珪石が中心のようね」
吹雪を止まってもらい、取れる資源を調査しているのはコルセア・レキシントン(こるせあ・れきしんとん)だ。吹雪がマッピングを担当しているのに対してコルセアは資源や動物の調査を行なっていた。
「どんどん行くのであります」
「気をつけてよ。吸血コウモリや大蜘蛛くらいしかモンスターはいないけど」
洞窟用の装備はしているし、モンスターも手ごわい相手はいないが、だからといって油断すれば痛い目を見る可能性はある。抑え役のコルセアとしては注意するのは当然だった。
「分かっているであります」
コルセアの言うことに頷きながら吹雪は奥に進んでいく。
「……ここも行き止まりでありますな」
今いる地点のマッピングを終え、吹雪はそう言う。
「ということは、奥まで調査が終わったってこと?」
「おそらくそうであります」
コルセアの質問に吹雪はそう答えた。
「ありますが――」
「セレン、あんまりかべを棒で叩いて歩かないの。子どもみたいよ」
探検中のガキ大将といった体で調査にあたっているパートナーにセレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)はそう言う。
「えーっ……なんか壁を棒で叩いて歩いてると楽しくならない?」
そうわがままを言い、物見遊山な雰囲気しかないセレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)が、いざ戦いとなったときや、調査はしっかりとこなしているのだから不思議なものだとセレアナは思う。
そういった点がセレンの魅力的な部分だともセレアナは思っているのだが。
「ふーん、ふふふ〜ん♪」
鼻歌まで歌い出したセレンにセレアナはため息をつく。近くに他の契約者がいなくてよかったと思う。
(……いても一緒か)
いつものことだと、セレアナはため息をもう一つついた。
「って、あれ? もしかしてここで行き止まり?」
セレンの言葉にセレアナはマッピングデータを確認する。
「そうみたいね。分岐は全部潰してるわよ」
迷路のような鍾乳洞だったが、それをひとまず制覇したことにセレアナは安堵の息をつく。
「? あれ?」
かつんかつんと、セレンは行き止まりの壁を棒で叩く。
「どうしたの? セレン」
パートナーの行動に疑問を浮かべてセレアナは聞く。
「行き止まりだけど――」
「「――この先に何かある気がするわ(のであります)」」
吹雪とセレンの二人は、何かがあると感じたが、時間が遅いということで一度帰還することになった。そして鍾乳洞の調査結果や、二人が感じた違和感は和輝のもとに集まり、前村長に伝えることになった。
「っと、おしまいっと」
急所をつき大蜘蛛を仕留めたローザマリア・クライツァール(ろーざまりあ・くらいつぁーる)は光学迷彩とベルフラマントをとき姿を現す。
「倒すこと自体は簡単だけどあんまり戦いたくないわね」
主に後始末的な意味でとローザマリアは言う。
「ふゅゅん……くらいところ、なにかでてきそう、なの……」
ローザマリアの背中に隠れるようにして歩き、エリシュカ・ルツィア・ニーナ・ハシェコヴァ(えりしゅかるつぃあ・にーなはしぇこう゛ぁ)はそう言う。
「ふむ……ほいっと」
いたずらごころを刺激されローザマリアは光学迷彩とベルフラマントをまたつかい気配と姿を消す。
「はわ……でも、アテナがいてくれるから、エリーはへーき、なの!」
そう言って森の調査から鍾乳洞の調査に移動してきたアテナの手をエリシュカは握る。
「大丈夫だよエリー。二人でがんばろう」
「うゅ……アテナといっしょうれしい、なの」
「本当に仲いいわね。二人は」
負けたという感じでローザマリアは姿を現す。
「二人じゃなくて三人でさっさと調査を終わらるわよ。瑛菜が待ちくたびれないうちにね」
そうして三人は順調に調査を進めていった。
「そういえばアテナ。どうして瑛菜と別れてまで調査に参加したの?」
「うゅ……エリーもきになる、なの」
ローザマリアとエリシュカにそう聞かれ、アテナは一瞬だけ考え、すぐに話すことにする。
「ミナホちゃんと約束したんだ。村が大きくなったらまた村で瑛菜おねーちゃんにライブをやってもらうって」
「ライブって、村祭りの時みたいな?」
「うん。でも、それよりももっともっと大きなライブにきっとなるよ」
自分が舞台を大きくするのだからと。
「あのライブを超えるライブか……経験がないわけじゃないけど……やりがいがありそうだね」
ローザマリアとしてもライブと聞けば燃えないわけにはいけない。
「うゅ……アテナががんばるなら……エリーも、がんばる、なの」
アテナと仲良しのエリシュカもアテナを支えたいと思う。
「あ、このことは瑛菜おねーちゃん内緒だよ。その時が来たらびっくりさせたいから」
「えらく気の長いドッキリね」
アテナの瑛菜への想いにローザマリアは温かい気持ちになった。
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