校長室
学生たちの休日10
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★ ★ ★ 「どうだ、ルイも一緒に飲まぬか?」 ひょっこりと厨房をのぞき込んだ深澄桜華が、ルイ・フリードに言いました。 「いえ、私は今料理と戦っているのです。この戦いを放棄するわけには参りません!」 きっぱりと、ルイ・フリードが言いました。 「そうか。仕方ない。頑固な奴じゃのう」 そう言うと、ちゃっかり新たな一升瓶を両手にかかえて、深澄桜華が宴会場の方へと戻っていきました。 ★ ★ ★ 「やはり、この時期は鍋だよねえ」 永井 託(ながい・たく)が、美味しそうに水炊きをつつきながら言いました。 「誠一さんたちは、今年はどんな感じだったんだい?」 永井託が、アキラ・セイルーンと一緒にいた八神誠一に聞きました。 「まあ、いろいろと忙しかったかねえ」 「ニルヴァーナの開拓とか、大変だったからな。うんうん」 八神誠一の言葉に、アキラ・セイルーンがうなずきます。 「そっちはどうだったんだ?」 八神誠一が聞き返しました。 「そうだなあ。恋人とかできたんで、大変だったけど……。まあ、いいことも悪いこともいろいろあったけれど、そろそろ今年は終わりだねぇ〜。はてさて、来年はどうなるのかなぁ〜。みんなにとっていい年になるといいけれどなぁ」 「なんだって……。爆発しろ」 その言葉に過剰反応して、アキラ・セイルーンと八神誠一が言いました。 「ははは、作れ」 「そう言うのはこの口かあ!」 その返事に、八神誠一とアキラ・セイルーンが、永井託の口に熱い鍋を流し込みました。 「先生、熱い鍋追加お願いだよ!」 八神誠一が大声で言いました。 ★ ★ ★ 「ほれ、鍋の追加じゃ」 八神誠一に頼まれて、伊東一刀斎が湯豆腐の入った鍋を新たに持ってきました。 「うん、この鍋、美味しいよ」 リアトリス・ブルーウォーターが、真っ先にそれを受け取って言いました。 「わんわんさんは猫舌じゃないの?」 リアトリス・ブルーウォーターたちと一緒に湯豆腐を食べているスプリングロンド・ヨシュアを見て、宇和島凛が聞きました。 「俺は、そんなことはないのだよ。見ろ、イルカでさえ、熱い鍋を平気で食べている。それから、俺は犬じゃない、狼だ!」 そう言って、スプリングロンド・ヨシュアが、サフラン・ポインセチアを指さしました。 ええと、やっぱり、この二人変です。 「ごはん炊けたよ。雑炊にしたい人は、どんどん入れてくれ」 飛鳥桜の持ってきた米を炊きあげたごはんを盛ってきて、緋王輝夜が言いました。ついでに、スライム状のゼリーと、パンプティングも持ってきています。 「さあ、ピヨもどんどん食べてね。遠慮しなくていいのよ」 セレスティア・レインが、庭にいるジャイアント・ピヨにお鍋を持っていきながら食べさせてあげました。 それにしても、パラミタの生物、熱い物が平気すぎます。 ネームレス・ミストの瘴龍も、緋王輝夜が持ってきてくれた鍋を美味しそうに食べています。実は、アキラ・セイルーンの持ってきた具材から作られた闇鍋なのですが、瘴龍たちにとってはこちらの方が口に合っているようでした。 「にぎやかだな、ところで、今年どうだったのだ? GOH(ゴッド・オーバー・ヘタレ)から少しは脱却できたのかな〜?」 オフィーリア・ペトレイアスが、アルフ・グラディオスに訊ねました。 「俺か? まあ、いろいろあったな。主に桜のことだが、やっと恋人同士になったし。とはいえ、まあ、むしろろここからかもしれねえけどな。来年も、あいつと過ごせたらいいけど。それに、もうヘタレじゃねーぞ?」 「そうか? ふ〜む、ほほ〜う。では、宴会の余興に、ちゅーの一つでもして見せてほしいものなのだよ? ククク……」 「そうだ、そうだ、ちゅーだー!」 酔っ払ったアキラ・セイルーンが、オフィーリア・ペトレイアスの尻馬に乗ります。 「いや、それは……」 さすがに、拒絶するアルフ・グラディオスでした。 「はいはいはい、お客様に迷惑をかけない〜」 なおも詰め寄ろうとするオフィーリア・ペトレイアスの首根っこをつかんで、八神誠一が引きずって行きました。 「とうっ!」 アキラ・セイルーンの方は、華麗にフライングクロスチョップを決めたルシェイメア・フローズンが引きずって行きました。 ★ ★ ★ 「やはり気になる……」 そうつぶやくと、ノール・ガジェットは、意を決して禁断の地下室の探検を敢行することにしました。 「一応……」 そうつぶやくと、辞世の句……いえ、書き置きを残していきます。 『探さないでくださ……いや、我が輩はこれから地下室へ赴く……。忘年会楽しんでくれであるよ。追伸。……この戦闘が終わったら美少女写真集を年明けまでながめるんだ』 「さあ、ミサイルよし、キャノンの準備よし、防御バリアよし! 準備は整ったであります」 装備を再確認すると、ノール・ガジェットは地下室へと下りていきました。 「あ、これ、そこに入ってはいけないと言われて……」 あわてて、アーマード・レッドが後を追おうとしましたが、大きさ的に中には入れないので、仕方なく外で大型アサルトライフルを構えて待つことにしました。 「うむ、酒が足りなくなりそうじゃな。おーい、ガジェット、酒を買ってくるのだあ」 そう言って、深澄桜華が庭に出て来ましたが、ノール・ガジェットの姿はどこにもありませんでした。 ただ、地下室への扉が開けっ放しになっていて、風にゆっくりとゆれているだけでした。