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年忘れ恋活祭2022 ~絆~

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年忘れ恋活祭2022 ~絆~
年忘れ恋活祭2022 ~絆~ 年忘れ恋活祭2022 ~絆~

リアクション

 中央広場。

「……あれは」
 祭りを聞きつけて仲間とやって来たアルクラント・ジェニアス(あるくらんと・じぇにあす)フレンディス・ティラ(ふれんでぃす・てぃら)ベルク・ウェルナート(べるく・うぇるなーと)忍野 ポチの助(おしの・ぽちのすけ)の三人組を発見。
「相変わらずみたいねぇ」
 シルフィア・レーン(しるふぃあ・れーん)も気付く。
 そんな二人の横で完全魔動人形 ペトラ(ぱーふぇくとえれめんとらべじゃー・ぺとら)は賑やかな祭りの雰囲気に浮かれてくるくると動き回っていた。
「お祭り! お祭り! あっ、ベルだ。あの銀のベルいいな−、欲しいなー」
 ふとカップル用の金銀ベルの配布現場を目撃し、きらきら光る銀のベルがとても魅力的に感じているペトラ。欲しくて欲しくてたまらない。
「マスター、銀のベル一緒に貰いに行こう!」
 ペトラは隣にいるアルクラントにおねだり。
「……ペトラすまないが。私も銀のベルが欲しいんだよ。だから、ほらポチの助を誘ったらどうだい?」
 アルクラントは申し訳なさそうに断りつつ近くを通るフレンディス達を指さした。
「あーー、ポチさんだ! ポチさん、お久しぶり! 元気だった?」
 アルクラントに教えられるなりペトラは手を振って元気にポチの助に声をかけた後、ポチの助の元に駆け出した。
「む、ペトラちゃん」
 獣人化しているポチの助はペトラに気付くも手を振り返さないが、尻尾は再会に喜んでいた。
「ねぇ、ねぇ、ポチさん、僕銀のベルが欲しいんだけど、金のベル欲しくなーい?」
 ポチの助の所に来るなりペトラは早速、ポチの助に可愛くお願い。
「……金のベルですか」
 ポチの助はちらりと金銀ベル配布している様子をちらり。そして、理解する。
「駄目?」
 なかなか返事が返って来ない事にしゅんとしながらペトラがもう一度誘いをかける。
「……解りましたよ。ペアを組みましょう。言っておきますが僕はその……別に欲しくないですからね……」
 ポチの助はツンデレ気味ではあるが親友の無邪気な誘いは断らなかった。
「ポチさん、ありがとー! じゃ、急ごう! 早く行かないとなくなっちゃう」
 本当に嬉しそうに礼を言うなりペトラはポチの助の腕を掴んで係員の所へ猛ダッシュ。
「ご、ご主人様」
 ポチの助はフレンディスの方に振り向いた。今日、ポチの助がこの祭りに参加したのはエロ吸血鬼ことベルクからフレンディスを守るためなのだ。今自分が離れたらどうなるか心配だったり本当は少しだけベルクを認めていたりと少し複雑だったりする。
「ポチ、楽しんで来て下さいね」
 フレンディスは微笑ましいそうに手を振って可愛いカップルを見送っていた。
「……」
 ベルクも止める事はせず静かに見送っていた。何せせっかくの二人っきりだ。
「むっ、エロ吸血鬼、この優秀なハイテク忍犬の僕がいないからと言ってご主人様を手籠めにしたら……」
 ポチの助はベルクをにらみながら遠吠えを残して去った。

 ベルを貰った後、
「ポチさん、どんな音が出るか一緒に鳴らしてみよう」
「……仕方が無いですね」
 渋々口調の割には気になるらしくポチの助の尻尾は興味で振れている。
 そして、共鳴するベルは不思議で美しい澄んだ音を周囲に響かせた。
「綺麗だねー」
「こんなの大した事無いです」
 それなりに感動するペトラとポチの助。
 この後すぐにベルを狙われるもペトラの加速ブースターで走って切り抜けた。しかし、それぞれの仲間から離れてしまい、遊びながら合流を目指す事にした。
「ポチさん、クレープ食べよう! 別々の頼んで交換したりしよう!」
「……僕は食べたくないですけど、保護者として一緒に行ってあげるですよ」
 真っ先にクレープ屋『天使の羽』で長時間並んだ末、ポチの助はガレットにペトラはプチロールクレープ詰めを手に入れた。
 無事クレープを買えた時、
「このベルもポチさんとお揃いです!」
「仕方無いですから貰ってあげるですよ」
 『天使の羽』オリジナルベルを貰ってペトラは大喜び、ポチの助はそんなペトラを見て内心嬉しかったり。散々遊んだ後、祭りの終わりの方で仲間達と無事に合流する事が出来た。

 時間は少し遡ってペトラがポチの助と行った後。
「……ふふ、あっちはこれでよし」
 アルクラントはペトラがポチの助を連れて行ったのを確認し、心の中でガッツポーズ。
「そうね。ペトラはポチ君と仲良しだものね」
 アルクラントの計画を最初から分かっていたシルフィアも同じ気持ちだった。

 他人の世話が終わったところでアルクラントはシルフィアの方に向き直り、
「さて、シルフィア。私は銀のベルが欲しかったりするんだが、君は金のベルが欲しかったりしないかな?」
 金銀ベル入手のために訊ねる。
「あら、ペトラをあっちに向かわせる方便じゃなかったの?」
 シルフィアは意外そうな顔をして質問で答えた。ベルはペトラを追い出すためだと思っていたから。
「で、どうだい?」
 聞き方がわざとらしかったかと思い始めているためシルフィアの質問には答えなかった。答えている間に誘う事に心が折れてしまいそうなので。シルフィアが断らないと分かっていても。
「はいはい。私は金のベルが欲しいわ」
 答えを求めていてはアルクラントの心が折れると察したシルフィアがこの場を収めた。
「では、行こうか」
 アルクラントは記念品の金銀ベルを貰うべく歩き出した。
「……いつもはぐらかす態度ばっかりなのに時々きっちり攻めてくるんだから」
 シルフィアはその後ろ姿を見つめながら小さくつぶやいた。いつもはもう一歩踏み込みが足りないのにと。

 金銀ベルを貰った後、
「これが記念のベルなのね。というかこれって何気にカップルの証なのよね」
 シルフィアは金のベルを見つめ、アルクラントには聞こえないように小さな声で改めてベルの意味を確認。
「シルフィア、せっかくだから共鳴させてみないかい?」
「そうね。せっかくですものね」
 二人は対になるベルを同時に鳴らし、共鳴させた。
 不思議で美しい澄んだ音が生まれ、
「なかなか」
「そうね」
 二人を感動させた。
「そう言えば、これ狙われるのよね。絶対に守り抜かないと」
 ベルの音を確認した後、シルフィアは大事な事を思い出し、ぎゅっと力強くベルを握り締めた。
「そうらしいね……ん? そう言えば、ベルを取りに行ったペトラ達はどこに行った?」
 アルクラントは、シルフィアと話していた時、可愛らしいカップルがどこにもいない事に気付いた。
「あら、どこにもいないわね。仲良くお祭りを楽しんでいるのかしら」
 アルクラントに言われてシルフィアも初めて気付いた。周囲を見回すもどこにもいない。
 シルフィアはお祭りに大はしゃぎだったペトラの様子を思い出し、行方の見当を付ける。
「それならいずれ合流するだろう。二人共小さな子供ではないし。行こうか、シルフィア」
「そうね。いつまでもここで突っ立てても仕方無いものね」
 二人の心配は終わりにしてアルクラントとシルフィアも祭りを楽しむべく動き出した。
 当然、ベルを狙われるが、アルクラントは警戒を担当し、ガードを守護天使シルフィアに任せた。『プロボーク』で狙いを自分に向け、『護りの翼』で攻撃を防いで炎天戈セプテントリオンの炎で退けたという。この後、フレンディス達に遭遇し、フレンディスはベルを物欲しそうに見ていた。そのためベルを手に入れてからクレープ屋『天使の羽』で落ち合う約束をした。

 ペトラと行くポチの助を見送った後、
「マスター、ポチもペトラさんと楽しんでいる事ですし、私達もとんかつ祭を思いっきり楽しみましょう。私、早くクレープ食べたいです! しかし、去年も思ったんですが、どこにもとんかつが見当たりませんね?」
 去年と同じくとんかつ祭と勘違いしているフレンディスはきょろりととんかつを探す。
「……そりゃ、無いわな」
 ベルクは気苦労のため息と共に小さくぼやいた。
 そこにベルを手に入れ終わったアルクラントとシルフィアが登場。
「せっかくだから二人も恋人に配布している記念ベルを貰ったらどうかな?」
「二つ同時に鳴らせば共鳴して素敵な音が出るわよ。ただ、狙われる可能性はあるけど」
 フレンディス達に自分達のベルを見せながら素敵情報を教えた。
「素敵ですね。マスター! 私、銀のベルが欲しいです。貰いに行きましょう!」
 フレンディスは好奇心に耳と尻尾をピコピコと動かしている。ベルの意味は深く考えてはいない様子。
「あぁ」
 ベルクはため息。自分達は恋人のはずなのに恋人に反応していないフレンディスに少し寂しかったり。
 フレンディス達はアルクラント達とクレープ屋『天使の羽』で合流の約束をしてからベルを貰いに行った。

 フレンディスとベルクはベルを手に入れるなり共鳴させた。
「素敵な音ですね。そう言えば、もう一年が経つんですね」
 フレンディスは耳と尻尾を感動に動かしながらこれまでの事を思い起こしていた。
「そうだな。短いようで長かったな」
 ベルクが脳裏に浮かべるのはフレンディスが起因の苦労ばかり。
 フレンディス達はアルクラント達と合流するためにクレープ屋『天使の羽』へ急いだ。