空京大学へ

天御柱学院

校長室

蒼空学園へ

花咲けお花見☆

リアクション公開中!

花咲けお花見☆

リアクション



花見そして告白の行方

 白梅の下で繰り広げられるのは、ホワイトデー。
 少年は少女にクッキーを渡す。
「サニーさん、この間はチョコありがとう。これ、お返しに……」
「わあ、ありがとう」
 気まぐれに駆け回るサニーに、三月はやっとクッキーを渡す。
 サニーは、ひとしきり気まぐれてやっと落ち着いたのか大人しくそれを受け取った。
 そして、意を決した様子で三月に切り出す。 
「あ、あの、それでね。この間の話なんだけど……」
 顔を赤らめ、おずおずと三月に切り出すサニー。
「この間の話?」
 首を傾げる三月。
 その様子を見たサニーの態度が急変する。
「……いい」
「えっ」
「もういい! やっぱ止める!」
「え、えっ、サニーさん……?」
 頬膨らませ突然走り出すサニーを、三月は茫然と見送った。
「あれー、どうしたのサニー?」
「別になんでもないっ!」
 ルカルカが心配してサニーに声をかけるが、サニーは止まらなかった。

 そんなサニーを見送るもう一つの瞳。
 フレンディスのそれは、悲しげな色を湛えていた。
(分かりました。ほわいとでーとは、殿方が女性に対して贈り物をする日なんですね。しかも、特別な意味を込めて……)
 いつもの天然な彼女からは考えられない慧眼。
 花のせいで通常よりはるかに感受性豊かになった彼女は、周囲の状況からホワイトデーというものを理解しつつあった。
 そして、ベルクを見る。
(あー、フレイは可愛いなぁ。幸せだなー)
 ぼーっと幸福に浸るベルク。
 それを見ていると、自分も訳もなく幸せな気持ちになってくる反面、沈む。
(マスターは、マスターからは、貰えないんですね……)
 次第にフレンディスの頭の花は萎れ、枯れてくる。
 しかし、しょんぼりの心だけはそこに残っていた。

   ◇◇◇

「ところで、キミ達は将来についてどう考えているのかな?」
 アーヴィンの言葉に、ムティルとムシミスは暫し考え込む。
「俺は、ジャウ家を継ぐ……継ぎたいと、思っているのだが」
 若干、語尾が自信なさげに応えるムティル。
「ああ、ムティルは長男だから色々あるだろうが、まあたとえ話で。ムシミスはどうだ?」
「僕は……兄さんと一緒にいられれば、それで」
「お前はどうなんだ、アーヴィン?」
 いつもの様にムシミスの兄さん兄さんが始まろうとした所を遮り、ムティルが問う。
「俺様は絵の仕事につきたくてな」
 胸に確固たる物を秘めた者特有の自信を持って、アーヴィンは語る。
「漫画家やイラストレーターのように、自分の描いた絵で楽しんでもらえたらと思っているのだ。なかなか現実的には難しいものだが……幸いこのパラミタではネタに困らなそうだから、ひたすら己を磨いてゆくつもりなのだよ」
「ほう」
「そうなんですか。アーヴィンさんならきっとなれますよ」
 祈る様な敬虔な言葉に、ムティルとムシミスは静かに頷く。
 しかしアーヴィンの次の言葉に、僅かに驚く。
「その為に……実は空大へ行こうと思っている」
「そうか……」
「ええっ、折角一緒の薔薇学になれたのに……」
 ムシミスの残念そうな声に、アーヴィンは苦笑して答える。
「いや、まだ実力が足りんからしばらくは薔薇学で学力を鍛えねばならんがな。どうだ、試しに一緒に勉強してみるか?」
「お勉強、ですか」
 アーヴィンの誘いにムシミスは少し考え込む様子を見せる。
「ムシミスがいずれどの道を行くにしても、学は邪魔にはならない。むしろキミを助ける」
「そうですね……。一緒にがんばりたいと思います」
 ムシミスは笑顔で誘いを受ける。
 ムティルはそんな二人を見て、僅かに安堵の息を漏らした。

   ◇◇◇

 花が、枯れていく。
 人々の頭の花が。
 正気に戻る人、あまり変わらない人、様々な反応を見せる。
 しかしそれにも挫けない、むしろその時を待っていた人物もいた。
「もう一度言う。アゾート。オレはあんたが好きだ」
「えっ……」
 花を咲かせていた時と同じ、心の炎燃やして。
 ヴァイスはアゾートに改めて告白した。
 アゾートはといえば、花咲く頃とは全く違う、かなり驚いた様子。
 もじもじした様子もなければ、移り気な様子もない。
 それでも一生懸命言われた言葉を受け止めようとする。
「ええと……ボク、そんなふうに言われても、まだよく分からないから、じゃあ、友達から」
 そう言うと、ヴァイスに右手を差し出した。
「ああ……改めて、よろしくな」
 握手。

   ◇◇◇

 サニーを(主に周囲を)悩ませていた気まぐれの花が枯れた。
 それと同時に押し寄せる後悔。
 あああああ、あたしったらなんて皆に迷惑かけちゃったんだろう!
 それに、三月さんのことも……勝手に誤解して怒っちゃって。
 この間は皆おかしくなってたんだから、告白なんて真に受けちゃ駄目じゃない私ったらもう!

 ぴたりと、走っていた足を止める。
 そして今まで走ってきた方角に、再び走り出す。

「ごめんなさいね! 勝手にいなくなっちゃって。さあ梅見の続きをしましょう」
 サニーの笑顔が帰ってきた。
 梅見にホワイトデーにピクニック。
 主催者として皆に楽しんでもらう為に。
 同じ笑顔を皆に向ける。
 ルカルカにも、柚にも、そして三月にも。
「あれ、サニーさん、頭の花は?」
 未だ頭に花を咲かせているエースがサニーに声をかける。
「ああ、すぐ散っちゃったわね」
 むしろ晴れ晴れとした様子で答えるサニーに、エースは微笑む。
「そう。少し残念だけど……梅は綺麗だし桜はもう蕾が膨らんでるよ。春も花も、まだまだこれからさ」

担当マスターより

▼担当マスター

こみか

▼マスターコメント

 こんにちは、お世話になっております。
 花咲けお花見☆を担当させていただきました、お花見はまだまだ……な、こみか、と申します。
 お花を見たり咲かせたりしに来てくださって、どうもありがとうございました。
 梅見のひと時を楽しもうとする皆様のアクション、どれもとても楽しそうで、見ていて、そして書いていてこちらまでとても楽しくなってきました。
 その気持ちを共有できれば、少しでも楽しくなっていただければ幸いです。

 何故かエロOKとも書いていないのにえろい方々が…… エロOKか否かはアクションが全てです(ぐっ)。
 それからアクションの中で、「花言葉」だけ書いていて「行動」を書いていない方が若干いらっしゃいました。
 リアクションは『行動』の結果勝ち取るものであると考えておりますので、行動がない場合、結果は出ても成果は得られないものとお考えください。

 頭の花は枯れましたが、誕生花と花言葉が存在するのは事実。
 心の花を時々は思い出してあげてください。
 それでは、梅見のひと時のお付き合い、どうもありがとうございました。
 またどこかでお会いできましたら、とても嬉しいです。