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【第五話】森の中の防衛戦

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【第五話】森の中の防衛戦

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 同時刻 イルミンスールの森 某所
 
 ビッグバンブラストの爆心地より離れた場所。
 そこには漆黒のイコンが一機で佇んでいた。
 その両腕には長大な銃身を持つ火器が抱えられており、銃口からは今も硝煙がなびいている。
「ったく……とんだネジ飛び野郎がいたモンだぜ。あんなトンデモ兵器を躊躇なく使いやがるたぁ、どっちがテロリストだ」
 呆れたように言いつつ、“蛇”は“ヴルカーン”bisのコクピットで息を吐いた。
 
『流石ね。そんな距離と視界状況で精密射撃を成功させるなんて。恐れ入ったわ』
 すかさずモニターにウィンドウが出現する。
 狙撃状態でズーム仕様になっていたモニター上の風景の一部に重なるようにして、彩羽の顔が映し出される。
「おう、助かったぜ。あン時にテメェが応急処置をしてくれなかったら、ここまで速く後退できなかったかもしれねェ」
 飛都と月視が用意した試作品によって異常が出た際、すぐさま対応したのは彩羽だった。
 味方機の状態を“シュピンネ”ですべてモニタリングしていた彩羽は、即座に“ヴルカーン”bisへと電子的に侵入。
 先程、敵機を機体を操ったのを応用し、機体を内部から調整したのだ。
 その応急処置のおかげで“ヴルカーン”bisは危ない所で十分なパフォーマンスを取り戻した。
 結果的に十分に安全な距離まで後退した“ヴルカーン”bisは、ビッグバンブラストの被害を免れたというわけだ。
 
 その後、“ヴルカーン”bisは巻き起こった粉塵に身を隠しつつ狙撃体勢に移行。
 携行する150mmライフルによる長距離狙撃でアサルトヴィクセンの両脚を撃ち抜いたのだった。
『どうする? 念の為に撤退する?』
「ああ。機体としちゃ“シュピンネ”のおかげでもう何ともねェが……オレの率いてた“シルト”は四機ともあのテロリスト野郎に木端微塵にされちまったからな。ここは仕方な――」
 その時だった。
 突如として“ヴルカーン”bisのコクピットが揺れ、モニターにアラートメッセージが表示される。
『どうしたの……!?』
 戦術機として味方機をモニタリングしている以上、“シュピンネ”にもその異常は伝わったようだ。
「クソッ! 伏兵からの狙撃だ! 被弾個所は背部のフライトユニット……やってくれやがったぜ!」