校長室
今日はハロウィン2023
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「すごいにぎわってるな」 「わくわくするね」 シャウラ・エピゼシー(しゃうら・えぴぜしー)と金元 ななな(かねもと・ななな)は恋人になって初めてのハロウィンを楽しみ歩いていた。 「……こんなに楽しそうならなななとゼーさんの家族も一緒だったら良かったね」 なななは賑やかな様子にふと残念そうな言葉を洩らした。 実は最近、シャウラとなななは互いの家族に互いを紹介し合い、すっかり家族にも気に入られた公認のカップルとなっていた。 「そうだな。ならハロウィン限定の土産でも買うか」 なななの優しさに嬉しくなったシャウラは最高の提案をした。 「うん。さすが、ゼーさん。早速、探しに行こう!」 なななは手を叩いて称賛するなりシャウラの腕を引っ張って土産探しをするのだった。 土産がなかなか決まらない中、ななながハロウィンサブレに興味を持ち体験する事となった。 「わぁ、なななはハロウィンな赤ずきんちゃんだ」 なななはハロウィンカラーを基調とした赤ずきんちゃんになった。 「ななな、すげー可愛いぜ」 シャウラは愛らしさが半端無い恋人に嬉しくてたまらない。 「ありがとー、ゼーさんも早く変身、変身」 褒められて頬を染めたなななはシャウラもハロウィンサブレを食べるよう急かした。 「おう。さて、俺は何になるかなー」 早速シャウラもハロウィンサブレを食べる。 すると 「……狼男、か(これはつまり男は狼って意味か?)」 狼男になり胸中にて意味を探るシャウラ。 「ゼーさん、格好いいよ。まるで昔話の赤ずきんちゃんみたいだね」 シャウラの胸中を知らぬなななは笑顔で変身した姿を褒める。ついでにあの童話にそっくりである事を口にしたり。 「確かに……なら早速襲うとするか」 シャウラはそう言うなり 「がおー」 赤ずきんを襲う狼を演じる。童話では襲ったりはしないが、そこは気にしない。 「きゃー、狼さんが来るよー、猟師さん」 なななもノリ良く狼から逃げる赤ずきん、いやなななずきんを演じる。 少し逃げ回った末、 「捕まえたぞー、喰ってやるー」 狼は見事に赤ずきんを捕まえた。 「ゼーさん、ずるいよ。途中で隠れてなななが困って捜している時に出て来るんだもん」 なななは可愛らしく口を尖らせ自分を背後から抱き締めるシャウラを見上げた。なななが逃げる途中、シャウラは驚かせようと近くに隠れたのだ。気付いたななななが周囲を捜し回っている時に背後から登場という経緯。 「悪かったって。ちょっとなななを驚かせたかっただけで」 怒るなななも可愛いと思ったり。 途端、 「それならトリックだね」 尖っていたなななの口はゆるみ、笑顔になった。 「ん? あぁ、ハロウィンの」 シャウラは今日がハロウィンである事を思い出した。 「そうだよ。なななは今ゼーさんからトリックを貰ったから次はトリートを頂戴。なななが満足する物じゃないと許さないからね」 なななは笑顔でトリートをおねだり。 「トリート、か。しかもなななが満足する物って(トリートとか言って唇を頂いちゃうのはベタすぎかなぁ)」 シャウラは腕の中のなななをじっと見つめて胸の中でどきどき。 「ゼーさん、トリート」 シャウラを見つめるなななの目の奥には何かを待っている光がちろりと横切る。 「……」 じっとなななを見つめた後、 「……トリートはクリスマスでもいいか? その時に大切な話……トリートを」 シャウラは改まった口調で答えた。なななが欲しがるトリートが何なのか見当が付き、自分も応えたいと思ったが、大切な事は改まってからと。 「クリスマスだとクリスマスプレゼントになってトリートじゃないよ。今欲しいの」 なななはぷぅと頬を膨らませてシャウラの複雑な色が浮かぶ顔を見上げた。 「今か……」 なななを見つめ返した後、シャウラはぱっと反射的になななから離れた。 そして、 「……」 シャウラは今まで以上に真剣な表情で向かいに立ち、世界で一番愛おしい存在を真っ直ぐに見つめる。 意を決したシャウラの口がゆっくりと動き 「ななな……、金元奈緒美さん! 俺と結婚してください!!」 トリート、いやプロポーズの言葉を紡いだ。 待っていた言葉になななは 「……はい。なななを宇宙一幸せな花嫁さんにして下さい!!」 満面な笑みを浮かべ、シャウラの言葉に答えた。 そして、 「ゼーさん、大好き!」 シャウラに駆け寄って抱き付き、 「ななな!?」 背伸びをしてキスをした。 キスが終わり二人の顔が離れると 「あっ、ゼーさん、ごめんね」 シャウラを見上げながら両手を合わせてごめんなさいをするななな。 「何が?」 シャウラはなななの突然の行動に思わず聞き返した。何も謝られるような事はされていないはずだと。 「ななな、トリートを二つも貰っちゃったから。ゼーさんにまだ何もあげてないのに」 なななは頬を染めながら欲張りな自分を反省。 「だったら……」 シャウラはそう言うなり少し屈み、なななの唇に自分の唇を重ねた。 「!!」 びっくりするもなななはそのまま唇を重ねていた。 その後、二人は 「ゼーさん、お土産どうしようか」 「もう十分な土産を持っている気はするが」 互いの家族への土産選びに戻った。そもそもプロポーズをした事を報告するだけでも十分な土産なのだが。来た時よりも二人のずっと幸せ度が上がっていた。 途中、双子に悪戯菓子を貰ったりするも笑顔で受け取ったり行き交う人とお菓子交換をしたりと賑やかに過ごしたという。 今日は、シャウラとなななにとって素敵な日となった。