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今日はハロウィン2023

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今日はハロウィン2023
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リアクション

 ホラーなオープンカフェ。

「ハロウィン、サイコー」
 セレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)は何も考えず立ち寄ったここでハロウィン版のデカ盛りパフェに出会い、歓喜を上げながら食べていた。
「……見てるだけで胸焼けがしそう」
 セレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)は不気味な色合いをした紅茶を飲みながらセレンフィリティの食べっぷりを眺めていた。
「他にハロウィン限定は無いの? あ、あとこれもう一つ追加ね」
 パフェを食べ終わるなり食いしん坊のセレンフィリティは追加の注文をした。
「……セレン、まだ食べるの?」
 セレアナはいつものように呆れしかなかった。
「当然よ。それにしてもハロウィンってお菓子食べ放題でいいわね」
 セレンフィリティは追加の料理が運ばれるなり次々と食べ進めた。一向に速度が落ちる様子は無い。
「……サブレを使った人が多いけど今回は何も異常は無さそうね」
 セレンフィリティの台詞をさらりと流したセレアナはモンスターな人達に目を向けた。作製者を知るだけに平和である事に本当に胸を撫で下ろしていた。
「良かったらどうぞ」
 セレアナの話を耳にしたユルナが二人分のハロウィンサブレを持って来た。
「美味しそうなサブレね」
 セレンフィリティはためらいもなく食した。
 途端、
「ん〜、美味しいわね。しかも魔女に変身……って、まぁ、いいか。楽しけりゃ」
 カボチャをあしらった魔女の衣装に早変わりした。性格故、深くは考えず途中だったパイを食べ始めた。
「セレアナもサブレを食べたら。美味しいしハロウィンなんだから」
 食べながらハロウィンサブレを勧めるセレンフィリティ。
「はいはい……本当に脳天気なんだから」
 早変わりなど歯牙にもかけず腹に物を詰め込むセレンフィリティを一瞥した後、セレアナもハロウィンサブレを食べた。
 そして、
「吸血鬼ね。一応、ハロウィンって感じかしら」
 吸血鬼に変身。しかも容姿の良さから美人が付くという素晴らしさ。
「なかなか似合ってるじゃない。よし、行くわよ」
 いつの間にやら全て食し終わったセレンフィリティは椅子から立ち上がった。
 自分を呼ぶ美味しい食べ物に出会うために。
「はいはい」
 セレアナは溜息を吐きながらも付き合うのだった。

 ホラーカフェを出てからあちこち露店を巡ったりハロウィンの合い言葉で行き交う人からお菓子を貰ったりしながらセレンフィリティ達は街をぶらついていた。
 それにより理沙達に遭遇した。
「へぇ、サツマイモねぇ」
 チェルシーにサツマイモパイを貰いまじまじと確認するセレンフィリティ。
「今日はハロウィンでカボチャが溢れていますので別の味もいかがと思いまして」
 チェルシーはオレンジで溢れる通りをちらりと見た。
「いいんじゃない。何より美味しそうだし」
 セレンフィリティはサツマイモだろうがカボチャだろうが気にしない。おいしけりゃいいので。
「それに賑やかで楽しいし、どうぞ」
 セレンフィリティの言葉に付け加えながら理沙はセレアナに持参したお菓子をあげた。
「ありがとう。こちらも渡さないとね」
 セレアナは適当なお菓子を理沙に渡した。
「ありがとう……何よりハロウィンはこうしてお菓子交換を通して誰かと交流出来るのがいいよね」
 理沙は貰ったお菓子をお菓子入れに入れながら楽しそうに言った。
「美味しい食べ物もたっぷりだしね。好きなの選んでいいわよ」
 セレンフィリティはそう言いながらチェルシーにお菓子入れを見せて選ばせた。
「これを頂きますわ」
 チェルシーは適当なお菓子を選び取った。
「私もあげるわね。本当にハロウィンね、あちこちで悪戯を受けた人の悲鳴が聞こえたりしたわ」
 雅羅はここに来るまでに耳にした悲鳴の事を話題にした後、拳銃を取り出してセレンフィリティ達の手に平にお菓子を転がした。
「……拳銃からお菓子ねぇ……なかなか美味しいわね」
 セレンフィリティは手の平のチョコを確認した後、適当に口に放り込んで楽しんだ。
「……悪戯ね。ハロウィンだから仕方が無いわね」
 セレアナは小さく言葉を洩らした。双子があちこちで騒いでいると。まさに大正解。
「何かすごく歩いていても賑やかで楽しいわ。ここまで悪戯する事はあまりなかったけど。確かチェルシーが……」
 理沙はふと幾度も繰り返したお菓子交換を思い出しながら話をチェルシーに向けた。
「しましたわ。軽くですけど」
 チェルシーは笑顔で答えた。実行した悪戯は、『驚きの歌』を使った物であった。
 その後、お菓子交換を終えて少しだけ雑談をしてから
「ハッピーハロウィン」
 互いに挨拶を交わして散開。

 その後、街をぶらぶらしていた時、
「あれ、セレンお姉ちゃん」
「どうしたの?」
 お揃いの魔法使いの格好をした絵音とスノハに遭遇した。
「あぁ、絵音にスノハ。あおぞら幼稚園も来てたのね。しかもお揃いじゃない」
 セレンフィリティは他の園児達と絵音達のお揃いの衣装に気付いた。
「かわいいでしょー」
「いいでしょー」
 自慢げな小さな魔法使い。
「いいわね。そっちは真っ赤ね」
 絵音達の次に目を引いたのは肌以外赤色づくしのお姫様だった。
「赤のお姫様なの」
 赤好きのキリスは幸せそうにくるりと回転して自分の姿を見せる。
 そこへ
「へぇ、結構お菓子持ってるな。でも俺の方が多いぞ」
 五人組の戦隊物スカイレンジャーのスカイレッドに変身した少年ウルトがひょっこりとセレンフィリティのお菓子入れを覗き見た。
「それじゃ、見せて貰おうじゃないの。どれだけ多いか勝負よ……と、その前にトリック・オア・トリートよ」
 負けず嫌いのセレンフィリティはすっかり勝負をする気だ。もちろんお菓子交換は忘れない。
 お菓子交換が終了したところで
「さぁ、勝負だ」
「えぇ、正々堂々に」
 ウルトとセレンフィリティの勝負が始まった。戦利品の数やレア度を話したりと互いに一歩も譲らない様子。

「……階級持ちの軍人の大人とは思えないはしゃぎぶりね。本当に自分に素直というか」
 セレアナは少し離れた所でセレンフィリティ達のやり取りを眺めていた。本人が幸せそうだからいいかと思ったり自分には出来ない振る舞いに少し羨ましかったり。
「楽しくていいと思うよ」
 横から聡明な少年の声。
「少しはお姉ちゃんらしくして欲しいけどね。そういうシュウヤは楽しんでるの?」
 セレアナは振り向き、軽く微笑んだ。
「楽しんでるよ。本が好きな博士ゾンビ」
 読書好きのシュウヤは分厚い本を見せながら答えた。
「随分厚い本ね」
 セレアナは子供が読むには分厚く難しそうな本に感心した。
「面白いんだよ。そうだ、お菓子あげる」
 シュウヤは思い出したようにお菓子を差し出した。
「ありがとう。それじゃ、私もあげるわね」
 セレアナはお返しにとお菓子をあげた。

 その時、
「シュウヤ」
「セレアナ」
 自分達を呼ぶ声。
「あらあら、お呼びみたいね」
「だね」
 セレアナとシュウヤは軽く互いの顔を見合わせた後、一緒に二人の所に行った。
「どうしたの?」
「お菓子を集めに行くわよ。子供に負けるなんて」
 セレアナの問いかけにセレンフィリティは足早に歩きながら答えた。
「……はぁ、お菓子ぐらいでムキになって」
 呆れつつも仕方無く付き合うのだった。
 その後、店や行き交う人、妖怪からお菓子をゲットして二戦目の勝負は見事に汚名を返上したという。