First Previous |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
Next Last
リアクション
パラミタ内のどこか。
「……妙な所ね。空京かと思いきやヒラプニラで、そうかと思いきやイルミンスールみたいだし」
「平行世界に存在するものがこちらで歪に繋がってここを別の姿に変えているわね」
水原 ゆかり(みずはら・ゆかり)とマリエッタ・シュヴァール(まりえった・しゅばーる)は妙としか言いようがない場所に立っていた。
「これだと既存の地図も役に立ちそうにないわね。天変地異のせいかあちこち建物が倒壊しているから」
目的を同じくする女性の声が二人の会話に加わってきた。
「……この声」
ゆかりはよく知る声に背後を振り向いた。
そこにいたのは
「初めまして、こちらの世界の私」
ゆかりの予想通りの人物、空京大学医学部の大学院生の平行世界の自分だった。
「えぇ、初めまして平行世界の私」
ゆかりは軽く笑みを浮かべ挨拶を返した。
そして、
「……おかしな感じね」
「えぇ、本当に。でも悪くは無いわ」
ゆかりと大学院生ゆかりは同時に感想を洩らし重なった。さすが自分と言うべきか。
「その通りね。出来ればいろいろ話したかったけど、そうも行かないわね」
ゆかりは少々残念そうにしながらも目の前に広がる惨状に目を向けた。本当であれば、幼い頃の夢に向かって進む彼女の話を聞きたい所なのだが。
「互いの世界を潰すわけにはいかないものね。せっかく、会えたのに残念だけど」
大学院生ゆかりも同じ気持ちであった。
一方、マリエッタ。
「……あれはあたし」
マリエッタはゆかり達が出会いを楽しんでいる間、離れた場所で同じくこの場所の有様を見ているスタイル抜群の女性を発見して声をかけるべき歩んだ。
そして、近付くなり
「初めまして」
マリエッタは笑顔で眼前の女性グラビアアイドルのマリエッタに声をかけた。
「……あぁ、初めまして」
声をかけられた平行世界のマリエッタは振り向き、相手を確認するなり笑顔で迎えた。
「酷い場所だと聞いて来てみれば、予想以上に酷いわね。空も嫌な感じ」
改めて話しかける平行世界マリエッタ。
「えぇ(……うぁ、服の上からでも分かるナイスバディぶりなんて……)」
うなずくマリエッタ。胸中は完璧なプロポーションの平行世界の自分に溜息。
「この世界の自分に会えるなんて思わなかったわ」
この出会いを嬉しく思う平行世界マリエッタ。
「えぇ(はぁ、同じ自分なのに相手はグラビアアイドルでこっちのあたしは中学生体型……はぁ)」
マリエッタは自分の体型と見比べ絶望的な現実の落差にしょげかえり深い溜息を吐いていた。
そこへ
「マリー、もうそろそろ始めましょう」
ゆかりが大学院生ゆかりを引き連れやって来た。
「そうね。いつまでもここで見ているわけにはいかないものね」
しょんぼりから我に返ったマリエッタすぐさま街をにらんだ。
「だからこれに乗って町中を巡回して発見した魔物を片っ端から片付けて行く」
ゆかりは用意した装輪装甲通信車のドアを叩きながらこれからの作戦を説明する。
「それなら安全に移動が出来るわね」
と大学院生ゆかり。
「何より人数がいるから、二人より助かるわね」
マリエッタは二人ではなく四人で魔物狩りに挑める事に安堵していた。何せ話では同化現象を止めない限り異変はおさまらないというので。
すぐに四人は装輪装甲通信車に乗り込み、巡回を始めた。
巡回開始からすぐ後。
「カーリー!」
『殺気看破』で警戒していたマリエッタは魔物の接近を知らせた。
「了解」
ゆかりはすぐさま通信車備え付けの機関銃で狙撃し、ダメージをまんべなく与えていく。
ゆかりの攻撃が終了すると同時に
「……気を引き締めて行きましょう」
「えぇ」
二人のマリエッタが車外に出て『フォースフィールド』で魔物からの攻撃を防ぐ力場を作り自分達の守りを固めた。
「指示を頼むわね」
大学院生ゆかりは対化物用の二丁の拳銃【シュヴァルツ】【ヴァイス】を手に外へ。
「任せて」
ゆかりはすぐさま『防衛計画』で敵の攻め方や攻撃ルートを推測し皆に伝える。
それからすぐに戦闘は始まった。
「本当に多いわね」
大学院生ゆかりは二丁の銃による射撃や『放電実験』で広範囲に電気を発射し帯電させたりと次々と撃ち倒していた。
ゆかりは装輪装甲通信車の銃座で
「……今ね」
大学院生ゆかりを狙う魔物を『エイミング』で急所を的確に射貫いていた。つまり皆の援護として行動していた。
一方、マリエッタ達。
「まずは……」
マリエッタはゆかりの初撃を受けながらも怯まず襲い来る魔物の前に立ち、『光術』で目眩ましを行い、魔物の足をほんの少し止める。
「好機は逃さない」
平行世界マリエッタはマリエッタが足止めをした近距離の魔物をヘビーマシンピストルの連射で一掃し
「残りはあたしが」
マリエッタが強力な念力『カタクリズム』で辺り一面をサイコキネシスで荒れ狂わせ中距離から遠距離までの魔物を一掃した。何の打ち合わせをしていないにも関わらず、以心伝心で途切れる事無く攻撃をし続ける二人。
時には、
「危ない!」
マリエッタを背後から狙う魔物を平行世界マリエッタが『サイコキネシス』で鉄骨を発射させ刺し倒す。
「助かったわ(さすが自分同士。これほど頼りになる人はいないわね)」
マリエッタは手を止めずに感謝。胸中で阿吽の呼吸で上手く行く連携に感心していた。
ここでの戦闘が終了すれば、次の場所へと装輪装甲通信車を走らせ、魔物に遭遇する度に自分同士である故の阿吽の呼吸で連携し次々と撃破していた。
First Previous |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
Next Last