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リアクション
プロローグ
蒼空学園に設置されたパラミタにおけるインターネットの基幹を支えるXルートサーバに介入するコンピュータ―――ハッキングに成功した男は口端を上げてサーバに罠を仕掛けた。
「オンラインゲームね……ソフトウェアに仕掛けたのではすぐに発見されてしまうだろうし、データ通信には必ずこのサーバを経由するはずだ。ならば……ここに仕掛け、データの送受信時に発動するようにすれば特定にも時間がかかるだろう。架空の世界で試すには少々遊びが過ぎるだろうが……」
端末のキーボードから手を離し、ふと感じた気配に椅子ごと身体の向きを変える。
「やあ……お互い無事だったようだね、また君達に護衛を頼もうと思う。よろしく頼むよ」
モニターの明かりだけが暗い部屋を照らしている。その明かりから僅かに覗く姿を見た男は歓迎の意を表すと辿楼院 刹那(てんろういん・せつな)とファンドラ・ヴァンデス(ふぁんどら・う゛ぁんです)が進み出る。
「少しだけ、お久しぶりです。……ああ、そうだ……以前頂いたデータで私も人口生物の研究を進めさせていただいています」
「役に立っているようで、何よりだ……今回、君達に護衛を頼んだのは蒼空学園でちょっとしたイベントが行われる。その場で私も見届けたい事があるのだが、もしものために逃げる手助けをしてほしい」
研究者の申し出に刹那とファンドラは静かに頷いた。勿論、先日の事件で逃げ延びた分追手となった契約者達は更に警戒しているだろう事を予想の内に入れての護衛となるのでした。
◇ ◇ ◇
蒼空学園では、オンラインゲームのデモンストレーションを翌日に控えて馬場 正子(ばんば・しょうこ)が端末設置の技術者と色々と打ち合わせを進める。
「端末の数もひとまず間に合ったか、講堂も急ごしらえではあったがこれで見学者達も楽しめるであろう、イベント後にはおぬしらにもぜひわしの料理を堪能していってもらいたい」
技術者達も曖昧に頷きながら最後の調整に入っていたが、端末1つ1つを調整に入る技術者の中に佐野 和輝(さの・かずき)の姿があった。
「俺の担当は……後はこの端末だけだな、それじゃあちょっと探らせてもらうとするか。俺達の情報流出の痕跡……まずはそこからだ、準備はいいか? アニス・パラス(あにす・ぱらす)」
「いつでもおっけ〜い♪ にひひ、アニスの目に引っ掛かったら逃げられないもんね♪」
――鬼ごっこか、と和輝も軽くツッコミしてみるがアニスが電子の世界へ入り込んでの情報処理を進めていくと気になるハッキング情報を拾ってきた。
「……Xルートサーバに? アニス、ハッキングした端末情報を拾ってこれそうなら頼めるか?」
イコンに装備されている補助システムが無いため、ハード的に無理がかかるかもしれないがアニスはどうにか端末情報を拾って和輝に送る。
「ありがとう、アニス。……少し難しいかもしれないが、ここから端末のハッキングを試すだけ試してみよう」
和輝がハッキングを試みた端末から研究者が判明すると、ひとまずコンタクトを取り様子を見た彼でしたが研究者は「面白い事をしてくれる」と和輝とアニスのコンタクトに応え、ゲームに仕掛けた罠を明かしたのでした。
「【時間魔法】の発動条件を試せるかもしれないからね」
オンラインゲームのデモンストレーション当日。
デモンストレーションに参加した契約者達が生身のまま、突如ゲームの世界に入り込んでしまい、講堂から姿を消した。
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