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アリサ・イン・ゲート -Rest Despair

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アリサ・イン・ゲート -Rest Despair
アリサ・イン・ゲート -Rest Despair アリサ・イン・ゲート -Rest Despair

リアクション

 オリュンズの地下にはジオフロントがあり、更に都市を有している。
 そこにはかつてキョウマ博士が兵器開発及びロボット開発をしていた研究所が有り、今もまだ研究機材がそのままにされている。
 キョウマはそこでフィーニクスのサポート用アンドロイドをエルメリッヒ・セアヌビス博士とともに作った。
 アセトには自立思考の人工知能を搭載され、二人の博士のイタズラ的行為によってより人間に近い感情再現プログラムまでもが組み込まれていた。
 つまり、ここには人工知能を作り出す技術と設備がある。
 そして、物質の復元を可能とする装置がある。
 研究所に入るなりキョウマが歓喜の奇声を上げた。
「ただいまマイスウィーットホーム! おかえりオレッ!!」
 そんな天才なバカを彼らは踏みつけて研究所へ入ることにした。
「いつまでポージングしてんだ。邪魔だからどけよなー」
 と、一歩目はシリウス・バイナリスタ(しりうす・ばいなりすた)が、
「博士は相変わらずだね。でも邪魔」
 と、二歩目はサビク・オルタナティヴ(さびく・おるたなてぃぶ)が踏跡をつけ、後の面々もキョウマを足拭きマット代わりに研究室へと入った。
 研究室内は埃もなく清潔に保たれていた。そのことにルカルカ・ルー(るかるか・るー)が驚く。
「ほへー、結構長いこと放置していたのに綺麗ね」
 カルキノス・シュトロエンデ(かるきのす・しゅとろえんで)爪先で机をなぞっても埃がつかないのを確認する。
「空調が点きっぱなしだったのだな。都市の電気は止まっていないのだからここもずっと点いていたのだろう」
 電気使用状況確認パネルを確かめると、配電がされていることも、自動空調が動いていたことも確認できた。
「掃除の心配はないってことだな。で、どうするんだ博士?」
 シリウスがキョウマを呼ぶ。キョウマは紫月 唯斗(しづき・ゆいと)に肩を貸されてなんとかという感じだ。
「おのれ、人を踏み台に……まずは止まっている機械類の電源を入れてくれ。自動メンテナンスが始まるはずだ。指示する順番に頼む」
 彼らはキョウマの指示に従い機械のスイッチを押していく。静かだった室内に微弱な機械音が満ちていく。
 キョウマは専用のAirPADをデスクに繋ぎ、機械の状態をチェックする。
「意外とメンテが早く終わったな……どれも起動状態は安定しているから大丈夫だな」
 キョウマの机にベアトリーチェ・アイブリンガー(べあとりーちぇ・あいぶりんがー)が「はいどうぞ」缶ジュースを置く。ドクトルフェッファーだ。キョウマは「ありがとう」と返す。
「それでここからは何したらいいの?」
 小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)が次の指示を仰ぐ。
 キョウマはジュースを一服し、息を整えて言った。
「では、説明しよう。
 まずは確認だ。俺達はこのケースの中にある回路チップからアリス・アレンスキーという擬似人格の復元を行う。これはいいな?
 その前準備として、このチップを複製する。失敗した時の予備を作るためだ。
 複製したチップからプログラムデータを抽出し、量子プログラムに再変換した後に、アセトに使用した人格プログラムの基礎配列と同期化させる。
 このような処理をする理由は、このチップには主に記憶データと基礎思考系統、そしておまえたちの使う能力使用時の脳波再現パターンしか入っていないからだ。いわば脳幹に当たるプログラムが存在しない。だから、一旦そういう処理が必要になる。
 人格データが完成したら、今度はそれをOSとなる機晶石に書き込む。それにはおまえたちが何故か大量に持ってきた機晶姫のものを使う。機晶姫のデータ初期化には前にお前たちが持ってきたメンテナンスシステムがあるからそれを使うとしよう。
 初期化した機晶姫の機晶石にアリスの人格データを注入し、起動すればそいつが新しいアリスになる。
 ただ、この工程には全てお前たちが外世界から持ってきた素材を使うことになる。でなければ、復元が成功してもこいつは外世界には戻れない。ここでできるのはそれらの状態を変化させることだ。――と、材料が届いたようだな」
 外より「フハハハ!」とドクター・ハデス(どくたー・はです)の高笑いが聞こえてきた。
 ハデスは資材の搬入を任されていた。というより押し付けられていたために遅れての到着だ。
「貴様ら! 俺がちゃんと機晶回路キーも用意したぞ! これで超人機械兵アリスが我がものだ! ――ぐわヴッ!」
 美羽が缶ジュースを差し入れに投げつける。ハデスは搬入トラックの荷台から落ちた。
「はいおつかれ。で、さっさと入れてよね」
「冷たい! 非道!」
 そのやりとりに柊 真司(ひいらぎ・しんじ)がやれやれと頭を振った。
「三人とも荷降ろし手伝うぞ」
「やれやれじゃ……」
 柊 真司(ひいらぎ・しんじ)ヴェルリア・アルカトル(う゛ぇるりあ・あるかとる)アレーティア・クレイス(あれーてぃあ・くれいす)フレリア・アルカトル(ふれりあ・あるかとる)の手を促し、資材の搬入を始めた。他の彼らもしょうがないと続く。
 資材はハデスを踏み台にして荷台から下ろされていった。