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リアクション
プロローグ
――パラミタは、混沌の上に浮かぶ、小さな1枚の葉にすぎない。
しかし、パラミタの民によってナラカと呼ばれるその混沌もまた、真の混沌の上に浮かぶ薄氷、薄い灰汁のようなものである。
その下、ナラカの底の更に底。
そこに、真のナラカの世界が広がっている――
全長100キロという、常識外の巨大な人間が、ゆっくりとジャンプを繰り返す。
それは、アスコルドと同化する前の、地球人である御人 良雄(おひと・よしお)の姿だった。
ジャンプによるその衝撃波は凄まじく、三隻の飛空艦と御座船スキーズブラズニルは、一旦、良雄の頭上より上空に逃れる。
周囲に集まり始めていた虚無霊や屍龍達も、その衝撃波にぼろぼろと落下して行くも、大半は空中で持ち直して再び群がって行った。
足元から近付くもの達は、ジャンプの度に、少なくない数が踏み潰されているが、それでも、別のもの達が続々と群がるのをやめない。
その様はさながら、人間の皮膚に吸い付く蛭、また数キロ単位の巨大な虚無霊に至っては
「何か……あんなおもちゃなかったか?
こう、腕に抱き付くような感じの」
「冗談を言ってる場合じゃないですよ、都築少佐……」
全然見えません、と源 鉄心(みなもと・てっしん)は答えた。
「待機中の奴等も全員叩き起こせ。全戦力で巨大良雄の防衛にあたる」
長曽禰少佐が指示を出す。
巨大良雄のジャンプによって、ナラカの底に繋がる地表が破壊されつつある。
完全なる破壊まで、1時間。
その間、食い尽くそうと群がるナラカの生き物達から、巨大良雄を護らなければならなかった。
「1時間。1時間か……」
長曽禰少佐は苦く呟く。
短いようで、長い、1時間。
それほどに、群がるものは多く、護らなくてはならないものは巨大だった。
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