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【ニルヴァーナへの道】決戦! 月の港!

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【ニルヴァーナへの道】決戦! 月の港!

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chapter.34 パラミタとニルヴァーナとを繋ぐ架け橋 


 空京 たいむちゃん(くうきょう・たいむちゃん)の手によって、最後のブライドオブシリーズであるブライドオブブレイドが台座に格納された。
 すると、オクタゴン全体が微かに振動し、今まで薄暗かった内部に灯りが点っていった。
 熾天使の居た場所が、このオクタゴンの管制室のような場所らしい。
 彼は最低限の生命維持機能のみ動かしていたようだが、ブライドオブシリーズが戻った事により、月の港の機能そのものが回復したようだった。

『月の港へようこそ。ここはパラミタとニルヴァーナを繋ぐ架け橋です。皆様にとって良い旅になりますよう、旅の安全をお祈りいたします』
ファーストクィーン様……私、もうすぐ帰れるんだね……」

 オクタゴンの中心にあるニルヴァーナへの回廊の前には、今で言う大型の映像装置が備え付けられていた。
 その機能も回復したようで、そこにはヴェールの上に王冠を頂いた、清楚で優しい容貌の女性が映し出された。
 その額に宿す赤い宝石が印象的だ。
 その姿を見たたいむちゃんは、思わず「ファーストクィーン」と呟いていた。ニルヴァーナの国家神だろう。
 ファーストクィーンはここでニルヴァーナへ向かう者や、パラミタへ向かう者を映像ではあるが出迎えていた。
 その姿を見る限り、そのアナウンスを聞く限り、ファーストクィーンはニルヴァーナとパラミタとの平和を願っていたように思える。
 ならば何故、2つの国は袂を分かつ事になったのか?
 全ては回廊の先にある、ニルヴァーナに答えがあるのだろうか?


△▼△▼△▼△▼


 ――帝都ユグドラシル

『ニルヴァーナへの回廊が開いた事で、パラミタの崩壊が加速したようだ。良雄と融合しても、運命には抗えきれなかったか……』
「アスコルドさん!? しっかりするっス!!」
『良雄を分離するまでは朽ちはせん。だが、残された時間はそうない……』

 御人 良雄(おひと・よしお)の中で眠るアスコルド大帝は崩御の時を迎えようとしていた。


△▼△▼△▼△▼


 ――シャンバラ宮殿

「アイシャ! たった今アスコルド大帝の使いが!!」
「ええ。用件はおおよそ分かっています。パラミタの崩壊が加速した、ですね」

 高根沢 理子(たかねざわ・りこ)は、エリュシオンから速龍騎士で届けられたアスコルド大帝の書状を片手に、シャンバラ女王アイシャ・シュヴァーラ(あいしゃ・しゅう゛ぁーら)の執務室へ駆け込んだ。
 しかし、アイシャはベランダに出て、胸の前で手を組んで祈っており、書状の内容を読まずに言い当てていた。

「理子、私はこのシャンバラ宮殿の地下に籠もってパラミタの崩壊を少しでも遅らせられるよう祈ります。半年掛かるか、1年掛かるかは分かりませんが……その間一切外に出る事は出来ません。後のシャンバラの政はセレスティアーナと2人でお願いします」
「アイシャ……分かったわ。シャンバラの事はあたしとセレスティアーナに任せて。パラミタをお願いね」

 以降、女王アイシャはシャンバラ宮殿の地下に籠もり、パラミタのために祈り続ける事となった。