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リアクション
「ちーびちーびちーび!」
「こえだなんてこわくないぞー!」
悪ガキ達が、雪を丸めて黒髪ポニーテールの女の子にぶっつけていく。
「うぐっ。ひきょうものめ! てんにかわって、せいばいしてくれる〜っ!」
小枝をぶんぶん振り回して、雪の玉を払いながら外見3歳の女の子――ゆうこちゃん(神楽崎 優子(かぐらざき・ゆうこ))は、悪ガキ達の方へ走ろうとするが、雪をすべて払い落とすことが出来ず、悪ガチ達も素早く移動をしてしまうため、追いつくことはできなかった。
「てめぇらー、よってたかっておんなのこイジメてんじゃねぇぞー」
たくさん雪を浴びせられて、真っ白になっていっくゆうこちゃんの前に、壁として現れたのは、外見5歳のりゅうじくん(吉永 竜司(よしなが・りゅうじ))だ。手には、プラスチック製の野球のバットを持っている。
「こんなにまっ白になっちゃって……。ぬれないうちに、おとさないと」
わたげうさぎと一緒に駆け付けた外見5歳の黒髪縦ロールのありすちゃん(崩城 亜璃珠(くずしろ・ありす))が、ゆうこちゃんの体の雪を払い落としていく。
「おてんとさまにかわって、せいば……くしゅん、くしゅん」
ゆうこちゃんが、連続でくしゃみをした。
「あぶないことしないの」
ありすちゃんが、ゆうこちゃんの手から木の枝を取り上げる。
「きょうから、ここはオレのしまだーオレにさからうやつは、ぎったんぎったんにしてやるー」
仁王立ちしてりゅうじくんは、悪ガキ達にそう言う。
「なんだとー。オレより小さいくせに! きょうはオレがばんちょーやるんだっ!」
外見6歳のブラヌ・ラスダーくんが、りゅうじくんに対抗意識を燃やす。
「よぉし、まとめて池につきとばしてやるぜー」
ブラヌくんがそう言うと、「おー!」という声が上がっていく。
そして木の陰から、ばたばた悪ガキ達が現れ、わーっと掛け声を発して、全員で突進してくる。
「ありす、けんかえして、かえしてーっ!」
ゆうこちゃんがありすちゃんに手を伸ばすが、ありすちゃんは木の枝をぽーんと遠くに投げてしまう。
「あぶないからつかっちゃダメ。あいてはすでなんだし……」
だけど、相手の方が人数も多いし、年齢も高そうに見える。
ゆうこちゃんはとても小さいから、1対1でもすぐに負けてしまうだろう。
(私のほうがおねえさんなんだからしっかりしなきゃ)
ありすちゃんは、ゆうこちゃんを庇うように立つ。
「これいじょうさきには、いかせねぇぜー!」
りゅうじくんがブラヌくんと、もう一人の悪ガキの行く手を阻む。
だけれど、残りの3人がありすちゃんとゆうこちゃんの方へと突進していく。
「わるいことする子にはようしゃしませんっ」
えいっと、ありすちゃんが悪ガキの股間を蹴り上げた! 金的蹴りだ。
「う……う……っ」
悲鳴を上げることも出来ず、蹴られた悪ガキがうずくまった。
「ありす、それはやっちゃいけないんだよ。にぃさまが、ぼうでなぐられるよりいたいからダメなんだっていってた」
「手かげんしたからだいじょうぶ」
「う……うう……、うえーん……」
その割にはすごく苦しそうだった。
「あ、あしはこっちの方がながいぞー。ゆだんしなきゃ、へいきだ! やりかえせ」
怯んでいた悪ガキ2人がありすちゃんとゆうこちゃんに体当たり。
「きゃっ」
「あう」
突き飛ばされた2人は、池の上に落っこちてしまう。
池は完全に凍っているので冷たい水の中に落ちたりはしなかったけれど、つるつる滑って岸から離れていってしまう。
「ふたりとも、だいじょうぶ?」
雪だるまを作っていた外見5歳のこゆきくん(早川 呼雪(はやかわ・こゆき))が、池に飛び降りて、滑る2人のところに回り込んでわざとぶつかって止めた。
3人とも転んでしまったけれど、怪我はなかった。
「へいきです」
ありすは服の中に入れておいた、わたげうさぎの無事も確認してほっとする。
「なんともない……くしゅんっ」
「ひとりであの子たちに立ち向かったんだ。ちっちゃいのにえらいね」
くしゃみをするゆうこちゃんに、こゆきくんは優しい笑みを向けて、優子ちゃんの頭に手を伸ばし、なでなでいいこいいこする。
「でも、ひとりじゃ出来ないこともあるから、ムリしちゃだめだよ」
「ゆうこ、あくを、ばったばったたおしたい!」
「でもできることと、できないことがあるんだよ。ゆうこちゃんがケガをしたり、つらいきもちになるのはみんなイヤだからね」
こゆきくんの言葉の意味が、幼いゆうこちゃんにはよくわからなかったようだ。
眉をぎゅっと寄せて、口をへの字に曲げている。
「ばたばたたおさないで、いっしょにあそんだ方がきっと楽しいわ」
ありすちゃんが、わたげうさぎをなでなでしながらゆうこちゃんにそう言うと、ゆうこちゃんも手を伸ばして、わたげうさぎをいいこいいこする。
「どうしたらいい?」
そして、こゆきくんの方に目を向ける。
「それじゃ、さくせんかいぎをひらこうか。ゆうこちゃんたちのためにがんばってる、あの子たちも呼んでね」
こゆきくんがりゅうじくんの方に目を向ける。
「イケメンは、おんなのこにやさしくするもんだって、かあちゃんがいってたんだぞ」
りゅうじくんはありすちゃんとゆうこちゃんを守るために、悪ガキ達を一人で押さえようとしていた。
「どうしてもいくっていうんなら、オレがあいてだ」
正義のヒーロー気取りで、仁王立ちだ。
たくさんたくさん雪をぶつけられても、りゅうじくんは動かなかった。
「くそーっ、こいつ重いぜ!」
「よぉし、もういちどさくせんかいぎだ! ひみつきちにしゅうごー!」
ブラヌくんが大声で言うと、悪ガキ達は一斉にりゅうじくんから離れて、森の中へ駆け込んでいった。
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