リアクション
6)神崎 輝(かんざき・ひかる) ★☆★ 「こんにちは、ようこそおいでくださいました」 「今日は、よろしくお願いします!」 「よろしくね」 トッドさんに、輝とシエルは挨拶する。 846プロのアイドルコスチューム姿だ。 「とてもかわいらしいお洋服ですね」 「ありがとうございます」 トッドさんはにっこり微笑むと、画面に映された写真を示した。 「さっそくですが、こちらをご覧になって」 【蒼空】イベントカット【ジャンボリー】 「846プロの男の娘アイドルの輝さんが、 秋葉原四十八星華リーダー騎沙良 詩穂(きさら・しほ)さんと共演されているところですね。 輝さんのアイドルとしてのポリシーなど語っていただけないかしら?」 「ポリシー……うーん、そうですね……」 ちょっと考えてから、輝は言葉を続ける。 「自分自身でもアイドル活動をしっかり楽しむ、ということかなって思ってます。 ファンの皆さんに歌とか演奏とか楽しんでもらいたいのは勿論ですが、 まずはボク自身が楽しめるようにしないと、 皆に楽しさがしっかり伝わらないんじゃないかな……って思うんです。 アイドルもファンも一体となって楽しめるのが一番ですからね」 「なるほど、私も、この番組を楽しんでやろうと思っているわ。 出演者の方のためにも、視聴者の皆様のためにも」 「そうですよね。それが、とても大事なことだと思います」 トッドさんに、輝が深くうなずいた。 「それでは、次の質問です。 あなたの大切な方はどなたですか? その方について、そして、どう思っていらっしゃるか、 なるべく具体的に教えてくださらない?」 「大切な人はたくさんいますが…… 一番大切な人は……シエルですかね。 本人の前で言うのはちょっと恥ずかしいですが」 ふふ、と輝が笑う。 「ボクにとっての初めての友達であり、パートナーであり、今では恋人です。 アイドルになる前からずっと一緒で、 たくさん助けてもらって……今のボクがあるのも、彼女のおかげだと思ってます。 だから……シエルには、本当に感謝してます」 「ありがとう、輝」 シエルは、輝と顔を見合わせ、笑みを交わした。 「では、シエルさんは?」 「大切な人かぁ……ちょっと言うの恥ずかしいけど……やっぱり輝かな」 シエルは照れくさそうに笑った。 「契約してからずっと一緒に生活してて、数えきれないくらいの思い出があって。 輝からプロポーズされたときは本当に嬉しかったなー。 だから、これからもずっと、 守護天使として輝を護り続けていきたいな、って思ってるの」 シエルもまた、トッドさんの問いに答えた、 「まあ、お二人は相思相愛なのね?」 「そ、相思相愛って……。 たしかにそうですけど」 「改めて言われると恥ずかしいなあ」 輝とシエルは顔を赤らめた。 「うふふ。お若い方が幸せそうなのはいいわね。 では、次の質問です。 あなたの将来の目標はなんですか? それに向けて、今、どのような努力をされていらっしゃいますか? まだはっきりしない、漠然としたことでもかまいません」 「将来の目標……はっきりとはしてないですが…… まず一つはアイドルとして、さらに上を目指していきたい、ということですね そのために、846プロで様々な活動をしながら、歌や演奏の練習をして力をつけています」 輝は、力強く、決意するように言った。 「もう一つは……一言で言えば「楽しく生きる」ってことでしょうか。 パートナーや、たくさんの仲間や、ファンの皆と一緒に、 パラミタでの人生をこのままずっと楽しんでいきたいです」 輝が、ふと隣を見ると、 シエルが、輝の手をやさしく握っていた。 「輝さんの目標、きっとかなうと思うわ。 パラミタでの生活、どうぞ楽しんでね」 「はい!」 トッドさんのはなむけの言葉に、輝は、シエルと手をつないで、力強くうなずいた。 この手を決して離さない。 そう、思いながら。 |
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