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秋のシャンバラ文化祭

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秋のシャンバラ文化祭

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    ★    ★    ★
 
「なんだか、むこうは騒がしいですねえ」
「いつものことですら」
 三姉妹の出張カフェ・ディオニウスでお茶を飲んでいた大神 御嶽(おおがみ・うたき)に、キネコ・マネー(きねこ・まねー)が素知らぬ顔で言いました。
「ああっ、こんな所にいたいた」
「捜しましたよ」
 くつろぐ大神御嶽をやっと見つけた天城 紗理華(あまぎ・さりか)アリアス・ジェイリル(ありあす・じぇいりる)が、やれやれという感じで同じテーブルに座りました。
「いらっしゃいませ。御注文は?」
「紅茶を二つ」
 注文をとりにきたパフューム・ディオニウス(ぱふゅーむ・でぃおにうす)に、天城紗理華が頼みました。
「ツー・ティー・プリーズ!」
「はあーい」
 元気よく注文を繰り返すパフューム・ディオニウスに、屋台の流しからトレーネ・ディオニウス(とれーね・でぃおにうす)が答えました。
「それで、メイちゃんたちはどこですか?」
「彼女たちなら、すぐ横に……」
 アリアス・ジェイリルに聞かれた大神御嶽が、すぐ隣のテーブルを指し示しましたが、そこには誰もいません。
「お連れの子たちでしたら、さっき、遊びに行きましたけれど……」
 シェリエ・ディオニウス(しぇりえ・でぃおにうす)が、気づかなかったのですかという顔で言いました。
「えっ!」
「逃げられましたら」
 驚く大神御嶽が、キネコ・マネーと顔を見合わせます。
「何やってるのよ。ちゃんと引率してなかったの。すぐに捜しに行きなさい!」
 天城紗理華に大声で叱られて、大神御嶽たちはあわててメイちゃんたちを捜しに行きました。
 
    ★    ★    ★
 
「むむ、あっちのたこ焼き屋は繁盛しているでありますね」
 食堂番長たちの屋台を横目で見ながら、葛城 吹雪(かつらぎ・ふぶき)が言いました。彼女たちも、同じたこ焼き屋の屋台を出していたのでした。これは、負けてはいられません。ですが……。
「うん、任せてよね。多分……頑張る」
 セイレム・ホーネット(せいれむ・ほーねっと)が、チラリとそばにいるイングラハム・カニンガム(いんぐらはむ・かにんがむ)の方を見てから答えました。自信があるのかないのか、ちょっと分かりません。
 セイレム・ホーネットとしては、たこ焼きに関しては葛城吹雪から変な物は加えないようにと言われているので、ちゃんと管理しています。もし問題があるとすれば、それは……。
「マスコットがちょっとねえ……」
 セイレム・ホーネットが、再びイングラハム・カニンガムの方を見て、ほうっと小さく溜め息をつきました。うねうねしています。果たして、ちゃんと売れるのでしょうか。
「いっそ、カニンガム焼きとして売れば……。いけない、いけないよね」
 危ない考えにとらわれかけて、セイレム・ホーネットがあわててそれを振り払いました。
「あんな、でかいだけのたこ焼き屋に負けなどはしないのだよ。見よ、この我を。食欲が増すであろうが!」
 うねうねと触手を動かしながら、イングラハム・カニンガムが言いました。タコのような外観のイングラハム・カニンガムは、たこ焼き屋台のアイドルとしてぴったりです。ぴったりですが、まさか、このたこ焼きの中に入っている具は、彼の触手なのでは……。疑惑は尽きません。