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リアクション
6月のとある日。とある結婚式場で、仁科 姫月(にしな・ひめき)と成田 樹彦(なりた・たつひこ)は結婚式を挙げた。
姫月はまだ、日本では結婚ができない年だ。だから、今は婚約しかできないと思っていた。しかし、パラミタなら今年でも結婚できるのだ、ということに気付き、急遽式を挙げることにしたのだった。
姫月と樹彦は、結婚式には両親だけしか呼ばないことにした。その両親にも、樹彦が姫月の実の兄だということは秘密にしたままだ。
本当のことを話せば、実の兄弟で結婚なんて、と反対するだろう。そう思って、二人は秘密を貫くことと決めたのだ。
姫月が「樹彦と結婚したい」と両親に話した時、両親はともすんなりと、と言うよりも大喜びで結婚の承諾を出した。姫月も樹彦も、「まだ早すぎる」と反対されるのではないか、と思っていたため、それがどうしても不思議でならなかった。
その理由は、結婚のことを話した日に、樹彦だけが両親から理由を聞いていた。姫月の兄である成田樹彦--仁科誠が行方不明になってから、姫月は生きた屍のようになっていたのだと言う。だが、姫月が樹彦と契約してからというものの、姫月は昔の通り元気を取り戻したのだという。だから、ずっと樹彦には姫月のそばにいてほしいのだと、両親は打ち明けた。
こうして両親二人から懇願され、樹彦は姫月とこれからも共にいる決意を強めたのだった。
「私、仁科姫月は、成田樹彦を生涯愛することを誓います」
姫月は誓いの言葉を口にしていると、遂に大好きな兄と戸籍上でも夫婦になれるのだという感慨が湧いてきた。
「私、成田樹彦は、仁科姫月を生涯愛することを誓います」
樹彦の誓いの言葉を聞きながら、姫月は心の奥底から幸福感で満たされて行き、少しずつ涙腺が緩んで行くのを感じた。
姫月たちは指輪を交換して、そして夫婦となった証にキスをした。
結婚式は家族だけのプライベートな式だったが、温かく幸せに満ちた式だった。こうして両親に見守られる中、式を滞りなく無事に終えた姫月と樹彦は夫婦となった。
これからは樹彦が姫月の籍に入り、仁科樹彦に変わる。いや、仁科家に戻る、といったほうが正しいだろう。
「これからは、ずっと一緒だよ兄貴。私を幸せにしてね」
「俺は、仁科樹彦は姫月と共にいる。これからも」
そう言って、二人はこれからの幸せな日々を共に過ごして行くことを誓い合ったのだった。
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