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リアクション
ある日、桐生 理知(きりゅう・りち)は「大切な話があるの」と言って、恋人の辻永 翔(つじなが・しょう)を呼び出した。理知は、翔にプロポーズをするつもりで呼び出したのだった。
「理知。俺、どうしても言いたい、大切な話があるんだ」
理知が話を切り出そうとすると、真剣な表情で翔がそう言った。
「なあに?」
「--あのさ、俺、今イコン教官職へ進んでて、将来のことも、少しずつ見えてきたからさ--」
そこまで言って、翔は小さな箱を取り出した。
「俺と、結婚してほしい」
翔が差し出した箱に入っていたのは、婚約指輪だった。
「私も……今日、翔くんに結婚して下さいって、言うつもりだったんだ」
理知は照れて赤くなりながら、指輪を受け取った。
理知と翔の結婚式は、チャペルでの結婚式だった。理知の両親や地球の友達、パラミタの友達を呼んで、式場は賑やかな雰囲気になっていた。
嬉しさと緊張で心臓のドキドキが収まらず、ウェディングドレスを身に纏い、理知は何度も深呼吸を繰り返した。けれど、式が始まれば緊張を上回るほどの嬉しさが理知の胸の中を埋め尽くした。
結婚式場を包む雰囲気も、翔と夫婦になれるのだ、という事実も、皆に祝福されていることも。全てが、幸せだ。
「では、ベールをあげて下さい。誓いのキスを」
神父の言葉に、翔が理知のベールをあげる。急に緊張してきた理知の様子を見て悟ったのか、翔は優しく微笑んだ。
理知は、ゆっくりと目を瞑る。軽く、唇と唇が触れあった。
式場から出て、理知は翔と腕を組みライスシャワーの中を一緒に進んだ。これからも、翔とこうして一緒に幸せな時間を過ごしていきたい。幸せをかみしめながら、理知は満面の笑みを見せた。
今日、二人は夫婦になった。今度は、親として子供たちと過ごす温かい家庭を築く準備が始まるのだろう。そんな幸福な将来を思い浮かべながら、理知はどこまでも続いている青空を見上げたのだった。
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