リアクション
○ ○ ○ 「しずかさんにちかづくなーーーーー!」 ちっちゃくなったロザリンド・セリナ(ろざりんど・せりな)は、ぶんぶん木の枝を振り回して、悪ガキたちを追い払った。 「ちょっとめをはなしたすきに……こんなことになるなんて」 「ロザリンドさん、僕は大丈夫……というか、流石に自分で追い払えるから」 悪ガキに囲まれていた桜井 静香(さくらい・しずか)は大人……というより、普段の女性のような姿のままだった。 「お弁当、貰ってきてくれたんだよね?」 「はい、もらってきましたー」 一転、ロザリンドの顔が明るくなって、紙皿に沢山乗せてきた食べ物を静香に差し出す。 「しずかさん、はい、あんぜんなごはん!」 「ありがとう、ベンチに座って食べようか」 「うん」 景色のいい場所にあるベンチに、静香は腰かけた。 ロザリンドもその隣に、よじ登るように登って、腰かけた。 「おはなきれい、ちょうちょうさんもかわいいー」 幼児化したロザリンドはご飯を食べながらも、花や蝶、遊ぶ子供達に気を取られていた。 「近くで見てきていいよ。ここでみててあげるから」 サンドイッチを食べながら、静香が優しく言った。 「ううん! ここでいいの。ここがすきなの」 ロザリンドは強く首を振って、小さな手で静香の腕を掴んだ。 「あのね……わたし、しずかさんのことだーいすき」 だから、静香の側にいたいんだと、満面の笑顔で話していく。 「こまったことがあったら、わたしのやりでどーんとふん…ふん……ふんさい! ふんさいするからあんしんしてね」 そしてまた、木の棒を掴んでブンブンと振る。 「ふんさい……はははっ」 可愛らしいロザリンドの言葉に、静香が笑い声をあげた。 「なにかわたしにしてほしいことある? できてないことある? たりないこといっぱいあるかもしれないけど、なんでもできるようにがんばるからね」 「ロザリンドさんはいつも頑張ってて凄いよ。何もしてあげられてないのも、できてないのも僕の方で……」 「そんなことないよ。しずかさん、がんばってる、えらいえらい」 ベンチの上に立って、ロザリンドは静香の頭を撫でた。 「ありがとう」 ひょいっと、静香がロザリンドの身体を持ち上げて、自分の膝の上に乗せた。 ロザリンドは少しの間きょとんとしていて。 次の瞬間とっても嬉しそうな笑みを浮かべて。 「わたしもっとがんばる。そしてぜったいぜった、まもるから」 静香にぎゅっと抱きついた。 「ずーっとずーっといっしょにいようね!」 「……うん」 静香は愛しげに小さなロザリンドを抱きしめて。 彼女の頭に唇を寄せて、キスをした。 「ありがとう。 僕は1人じゃ何も出来ないから、皆が必要なんだ。 君が必要なんだ……」 ○ ○ ○ 「アレナちゃん、こっちこっち〜」 「あおいちゃん、まってください、あおいちゃーん」 「あたしは、あおい。まほーしょうじょなの♪」 葵は笑い声を上げながら駆けていた。 「えっと、わたしはサジ……ん? アレナ、ほしのおはなの、えっとようせいさんなの〜」 アレナも控え目にそう言いながら、葵を追いかける。 「アレナちゃんはようせいさんなんだ?」 「よーせいさん、かわいい、です。あおいちゃんも、まほうしょうじょよーせいなのです」 「うん、それじゃ、あたしはあおい、よーせーのまほーしょうじょなの♪」 お花畑で、くるくる回ったり走り回ったり。 2人は仲良く笑い合い、追いかけっこをしたり、木登りをしてみたり。 本当にお花の妖精のように。 笑顔で自然の中を飛び回るように、見ている人々の顔も笑顔にしながら走り回っていた。 |
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