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リアクション
千葉県某所、夢の国の城にて。
今日は、赤城 花音(あかぎ・かのん)とリュート・アコーディア(りゅーと・あこーでぃあ)の結婚式が執り行われる。
花音たちがここを選んだのは、花音の両親と親族の交通の便宜を考えてのことでもあった。
二十人規模の式は、城の儀式の間で行われることとなっている。
「いよいよですね。行きましょう」
城の正面で、リュートは花音を迎えた。
リュートは、シャンバラの騎士の正装として、銀の鎧に身を包んでいる。
一方の花音は、純白のプリンセスラインのドレス姿だ。そのドレスには、淡く白い向日葵が浮かんでいる。
「いよいよだねっ! 目一杯楽しもう!」
花音に微笑み返して、リュートは、一足先に儀式の間に入場した。
リュートに祝福の声がかけられていくのを見ていると、自然と花音の気持ちも明るくなっていく。
祭壇の前にリュートが立って、花音が入場する。
「おめでとうございます!」
リュートの親族代表として参加するウィンダム・プロミスリング(うぃんだむ・ぷろみすりんぐ)は、二人に祝福の言葉をかける。
ウィンダムの格好は、金を基調としたパラディンの格好だ。
「我、アレクサンドロス・マケドニアの名において、リュート・アコーディア改め、赤城リュートと花音の……婚礼の儀を執り行う!」
リュートと花音が儀式の間に並ぶと、式の代表者を務めるアレクサンドロス・マケドニア(あれくさんどろす・まけどにあ)が高らかに宣言した。
祝福の聖歌が歌われる。
「それでは、誓いの言葉に移る」
アレクサンドロスから、誓いの言葉を促された花音とリュート。
まずは、リュートからだ。
「汝、その健やかなる時も病める時も、喜びの時も、悲しみの時も、富める時も、貧しき時も、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、共に生きる事を誓うか?」
「もちろん、誓います!」
今度は、花音の番だ。
「汝、その健やかなる時も病める時も、喜びの時も、悲しみの時も、富める時も、貧しき時も、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、共に生きる事を誓うか?」
「誓うよ!」
「此処に……赤城リュート、花音の結婚が成された事を宣言する!」
祝福の拍手が部屋の中を埋め尽くした。
リュートと花音は、誓いの証として指輪を交換した。
そして、誓いのキスをする。
最後に、結婚証明書へサインをすれば、式は終わりだ。
だが、リュートたちはサプライズを用意していた。
最後にお城を背景にして記念撮影を行う際、リュートが口を開いた。
「こちらで暫しの時間を……花音が新曲を披露させて頂ければと思います」
広場には、グランドピアノが用意されていた。
リュートと花音は顔を見合わせると、笑顔で曲を奏で始めた。
『幸せは万華鏡』
柔らかな風に包まれ あなたの笑顔が優しくて
この胸の高鳴りは止まらない 感じられる確かな鼓動
私の心は共に寄り添い 芽生えた愛と永遠の誓い
迷える森を導く灯 暗闇を抜けた夜明けへ
アトリエを旅立ち 探し物はパンドラの箱?
叶えたい願いがある 出逢える希望……信じる場所
幸せの形は万華鏡 私たちは巡り合えた
護りたい煌めく命の瞬き 儚き宿命を塗り替える絆
白紙の未来地図 理屈と違う運命を切り開く力
今は小さな愛の輝き……教えて 忘れられた名
届いて……悲しみに暮れる世界へ
曲が終わると、城の前の広場に歓声が沸き上がった。
花音はリュートと顔を見合わせて、微笑み合う。
夫婦で幸せを共有できることが何よりも嬉しいことだと、改めて花音は思ったのだった。