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2024年ジューンブライド

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2024年ジューンブライド
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リアクション

 ふらふらと、嘉神 春(かこう・はる)神宮司 浚(じんぐうじ・ざら)神和住 瞬(かみわずみ・またたき)が出歩いている。
「ジューンブライドねぇ」
「なんだか世間がふわふわしてると思えばそういえばそういう時期でしたね」
 瞬が呟くと、浚も頷いた。浚はあまり興味なさそうに歩いている。
「おやあんな所に教会が。これは何とかのお告げってやつだよ。春、結婚しよう」
 教会を見た途端、浚が春にプロポーズした。あまりにも唐突すぎる強引な展開である。
「……結婚?」
 訝しげな声を上げる春。
「確かに結婚できる歳になったけど、ボクも大人と呼ばれる歳だとは思うけど、まだ運命の人ってのには会ってないんじゃないかなー。ざっくんだってもっと素敵な」
 春の言葉を遮らんばかりに、浚は春を睨みつける。
「春以外の奴とどうこうなる気なんてないってわかってるだろ」
「それになんか準備とかあるんじゃないの? ざっくんはいつもスーツみたいなの着てるけどボクは……」
 春の言葉を予期していたように、瞬がささっと何かを取り出した。
「瞬、もしかしてそれはウェディングドレスってやつ?」
「それ以外、何に見えるのかしらん」
「ボクが着る……んだねそうだろうねどっから出したの……」
 春はドレスを見て、溜め息をつく。
「これってもしかして指輪とか」
「こんな時のために指輪もちゃんと用意してあるよ」
「……やっぱりあるんだね何これ罠だった?」
「俺は春さえ決心してくれたらいつでももらってあげるつもりだったから。もちろん幸せにする」
 一見超展開で結婚することになった春と浚だが、春が見抜いた通り、全て瞬の計画だった。
 結婚できる年になった春と浚をくっつけたいと考えた瞬は、とりあえず教会の近くに春と浚を連れて行けば浚がプロポーズするだろうと見越していたのだ。
「最初から用意してたな……まんまとやられた」
「春のウェディングドレス……おっと涎が」
 瞬にイラッとした表情を向ける浚。
「おい節操なし、てめぇは春に近付くなよ」
「あーあ、折角おねえさん用意したのに。ざっくんばっかりずるいなぁ。どっかの招待客とかに可愛い子落ちてないかねぇ」
 奔放な二人の様子に、盛大に溜め息をつく春。
「多分今後もこんなな気がするからいいよ。結婚したげる。幸せにしてね?」
 と、そんなわけで浚が目につけた教会で、すぐに式が挙げられることとなった。


 浚と春の二人きりの結婚式。
 腕を組んで……というよりは、ベタベタして、と言った方が近いようにくっついて、浚と春は神父の元へ向かう。
「こんな簡単に結婚まで持っていかれるとは思ってなかったよ」
 浚に抱きついて歩きながら、春が呟く。
「いつでも結婚できるように準備していたからな」
 浚は春を撫で回しながら、やや自慢げだ。
「さ、誓うぞ」
 そのまま常時スキンシップをしながら、浚と春は結婚式を行った。
 瞬はその場にはいなかったが、浚と春の証人となって二人の結婚を認めた。
 そんなこんなで、無事に春は浚の元に落ち着いたのだった。