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リアクション
――ロー蛇たちが連れ出され、インターバルが終わって花道から一人の選手が姿を現す。
その選手はマスクマン。パンツのシルエットらしき模様が入った奇っ怪なマスクを被ったパンツマシンこと国頭 武尊(くにがみ・たける)。
リングへと上がり涼介と対峙する。マスクこそ奇怪であるが、その身体から滲ませる闘気は本物。己の――パンツマシンの強さを世に知らしめるべく、王座奪取を狙っていた。
気力体力共に充実しているパンツマシンはこの団体の試合に於いて今現在フォール負けを喫した事がない。それに対し、3試合を終えた涼介も体力的には劣っている物の、暫定王者としての勢いを持っている。
互いに退かずに視線を交わし合う中、ゴングは鳴り響く。
序盤、互いに自分のペースへと引き込むべく打撃の応酬が始まる。
涼介は右ジャブ、パンツマシンは逆水平をそれぞれ相手に交互に叩きこむ。
やがて涼介が右ジャブ連続からの大ぶりパンチを叩きこもうと振りかぶる。
だがパンツマシンはこの最後の一撃をガードすると、涼介をボディスラムで叩きつけた。
そのままフォールへと持ち込むが、カウントを取られる前に返しダメージを感じさせずすぐに起き上がる涼介とパンツマシンが改めて向き合い、互いに身構えると観客席から拍手が起こった。
試合の展開としては一見涼介がペースを握っていると見られるが、それをパンツマシンが最後にひっくり返す、という場面が多く見られた。
パンツマシンは技をあえて受けてはいるが、大きなダメージにつながるような物は防いでおり、そこから生じた隙を攻め立てるという戦い方であった。
また細かい所でダウンした所をすぐさまフォールに持ち込んでいる。大きなダメージが無い涼介は直ぐに返す事ができるが、狙いはフォールではなく相手のスタミナを削る事。相手を押し返すという行為を繰り返し行うのは想像以上にスタミナを要する。
最初こそカウントを取られる前に返せていた涼介であったが、連戦という毒は確実に体を蝕んでいた。徐々にカウントを取られるようになり、危うさは無いが2で返すという場面が多くなっていった。
流れを取り戻すべく打点の高いジャンピングニーを放つが、パンツマシンはこれもガード。着地を狙いSTOで叩きつけ、STFを仕掛ける。こちらは苦しめられるがロープに救われた。
更に引き起こした涼介をコーナーに振り、パンツマシンが追いかけるように走る。だがコーナーに叩きつけられた涼介は即座に走りだしカウンターのジャンピングニーで迎撃。これは流石のパンツマシンもガードしきれずにダウンを奪われる。
攻守が目まぐるしく入れ替わり、観客のボルテージも高まっていく。
(……あまり時間をかけるとまずいか)
その中で、涼介は考えていた。パンツマシンの戦法は自身にとって後々蝕む毒になる。現に削られたスタミナがはっきりとではないが、影響が出始めている。
仕掛けるべきだと判断した涼介は、DDTでパンツマシンをリングに叩きつけた。
パンツマシンが頭を抑えて蹲ると、好機と見た涼介が仕掛ける。必殺ペディグリーへの布石となるフェイスバスター・ニー・スマッシュを仕掛けるべく起こしたパンツマシンの顔面に膝を当てる。
だがパンツマシンはその足を掴み抱えると、空いた軸足を刈り取る。
「回すぞぉッ!」
パンツマシンが叫ぶと、そのままパンツマシンスイング、所謂ジャイアントスイングで涼介の身体を振り回す。
2桁に突入した所で手放すと、少しふらつきながら起き上がる涼介に今度はパンツマシンラリアットを叩きこんだ。
更に引き起こすと素早く涼介の頭を脇で抱え、もう片方の手で腕を固めると気合と共にブリッジを決める。必殺の魔神風車固めである。
流れるような連続攻撃に加え、スタミナを削る作戦が功を為したのか、涼介が中々フォールを返せない。漸くブリッジを返す事が出来たのは、レフェリーが3カウントを取った直後である。
息を切らしながら起き上がった涼介は、鳴り響くゴングに唖然とした表情となり頭を抱える。
対してパンツマシンはマスクで表情は解らないが、嬉しそうに天を仰いでいた。
こうして、暫定王者は入れ替わった。勝者となったパンツマシンが現在の暫定王者となったのである。
●涼介・H・フォレスト(9分37秒 魔神風車固め)パンツマシン○
※暫定王者が防衛に失敗。
パンツマシンが新たな暫定王者となる。
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