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神楽崎春のパン…まつり

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神楽崎春のパン…まつり
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リアクション

 少女達が続々と服を持って、試着室へと入ってくる。
「ねぇ、これなんかどうだろ……?」
 ミルディア・ディスティン(みるでぃあ・でぃすてぃん)は、ダミー用に用意されていた下着を試着してみた。
「悪くはないけど、せっかくだからもう少し派手なのにしたら? これとかこれとか」
 ルプス・アウレリア(るぷす・あうれりあ)が、スーツケースの中から取出した下着を、ミルディアにぽんぽん渡していく。
「こ、これって……ネットオークションで売られてたものだよね? ちょっと気味が悪いかも……」
「タグもついている新品だから平気よ」
「うーん、元々観賞用みたいだし……ヘンな薬とか塗られてないよね?」
 不安に思いながらも、ミルディアは渡された下着を着てみることにする。
「ってこれって、何!?」
 着てみて、鏡に映った自分の姿を見てミルディアは唖然とする。
 薄いとは思っていたけれど、肝心なところが丸見えの下着だった。
「こんな身体が見えちゃう下着なんて、なんか見られてるみたいで恥ずかしいじゃない……!」
「お似合いだし、可愛いのに〜」
 真っ赤になって脱ぎ始めるミルディアに、微笑みを向けているのは高島 恵美(たかしま・えみ)だ。
 スタイルの良い恵美を見て、ミルディアはちょっと頬を膨らませる。
「そりゃ、恵美さんならホントに似合うだろうけど……」
 ミルディアは胸パットで胸の大きさを偽っている。
 だから、胸がすけてしまう下着はもってのほか!
 ブラが透けてしまう服も絶対ダメなのだ。
「どんな服が好みなのかな〜?」
 恵美はひらひらの服を広げていく。
「ん……」
 ミルディアは首を左右に振る。
「あんまりヒラヒラしたのは、ちょっと恥ずかしいかな……? 機能重視なものが着易いかも」
「じゃ、これがいいんじゃない? シンプルで動きやすそう」
 ルプスがまた、スーツケースの中から取り出した下着を、ミルディアに渡す。
「こ、こ……これもダメーっ」
「でも、穿いてみたらフィットして使いやすいかもよ」
 ミーナ・リンドバーグ(みーな・りんどばーぐ)が服を選びながら、赤くなっているミルディアに言った。
 ……ルプスに渡された下着は、紐パンだった。
「確かに、余計な布がなくて、機能重視……なのかもしれないけどっ。万が一、万が一動いた時にとか、ちらりと見えたらおしまいじゃないっ」
「下着が見えても、何も終わりはしないわよ〜」
 ミルディアの慌てっぷりに、恵美はくすくす笑みを浮かべている。
「ミーナも、色々試してみるよ! このフリフリの服とか、着てみたいですよ」
 豪快に服を脱ぐと、ミルディアが遠慮した服を、ミーナは喜んで着ていく。
 だけれど、サイズが全く合わない……。胸のあたりがガバガバなのだ。
「み、ミーナもコレつければかわいい下着つけて、女の子らしい服着れるんだもん!」
 そう言って、取り出したのは胸パット。
「あ……」
 ミルディアはミーナのまっ平らな胸を見て(勝った!?)と、心の中で思ってしまう。
「う、うんそうだね! 選り好みばかりしてちゃダメだよね。あたしも色々着てみよっと」
 ミルディアは自分の胸にそっと触れて、大きさを確認してちょっと安心し、えへへっと微笑みを見せた。
「そうだよね! サイズ色々あるから、色々な服を試せるんだよ。お得なんだから!」
 ミーナがババッとパットを複数取り出して見せる。
 なぜか涙を誘う光景だった。
「優子さんの服は、上品な服が多いわね。アレナさんの服は大人なしめ……」
 ルプスは皆の様子に小さな笑みを見せた後、自分の金色の髪と目に合う服を探していく。
 ただ、気にいった色の服があっても、サイズが合わないものが多かった。
 優子の服は、丈は大体合うのだが、号数が合わない。ウエストもゆるいけど、胸もゆるい。
 アレナの服は丈がちょっと小さめだけれど、胸がゆるい。
「……………………」
 何か複雑な気持ちになりながら、アレナのワンピースを諦めた。
 でも、ちらりと胸にいっぱい詰め物をしているミーナを見て……ちょっと安心するルプスだった。
「……ほうほう……これはこれは……」
 ルア・イルプラッセル(るあ・いるぷらっせる)が、ルプスが選んだ服の中から、大人用のセクシーな下着を見つけ出して、取り上げた。
 ルプスは次の服の試着に集中している。
「……そういえば、男の子は女の子の下着を頭や顔に被ったりするそうですが……」
 赤いシースルーのそのパンツを、ルアは試しに被ってみた。
「うーん、これはどうなんでしょう。でも確かに、こんなに素敵な服なのに、見えない部分に穿くより、こうして被った方が良いとも……」
「何してるの」
 ルプスの冷たい声が響き、ひょいっとパンツが奪い取られる。
「……チッ」
 ルアは舌打ちすると、乱れた髪の毛を整える。
「そうそう、以前も、ルプスの下着を被ってみましたが……」
 ルアの言葉に、ルプスが驚いて目を見開く。
「あのときと同じで、やはり、何の感慨も浮かびませんでしたね……」
 ルアが残念そうにそう言うと、ルプスの顔が真っ赤に染まる。
「な、何やってんの!? そんなこと、いつの間に……っ。あんたねぇ、そんなの誰かに見られたら……見られなくたって!」
 ルプスはルアを叱りつけるが、ルアはしらんぷり。したり顔で、この部屋に運ばれている服をあれこれ見て回る。
 でもやっぱり、8歳のハーフフェアリーのルアに着れそうな服はない。被れそうなパンツなら沢山あるのに!
「このダミーの下着、百合園の購買で売っているものですね〜。これは結構たか……いえいえ、なんでもないです」
 隠れ白百合商会会員として、こっそり持ち帰るパンツの目星をつけていくのだった。
「次はこの下着と、服!」
 ミーナは試着を終えた服をバッと脱いで、下着も外して次の服に突撃。
「こら、ミーナちゃん。女の子なんだからもうちょっとおしとやかにしないと〜」
「はーい。おおっ、このワンピいいな、いいなー♪」
 恵美の声はミーナに届いてはいたけれど、ミーナは半裸のままワンピースの試着に夢中だった。
「フランカもお洋服着替えるの」
 フランカ・マキャフリー(ふらんか・まきゃふりー)も真似してしゅぱっと服を脱いだ。
「んーと、んーと」
 フランカは服を見て回るけれど、サイズが合うものは当然ない。フランカは外見6歳の少女の姿をした魔道書だから。
 大人用の下着は全部ふりふりリボンに見えてしまう。どう使うかもわからないし、着られるものも何もなくて下着姿のまま、うろうろうろうろしだす。
「ほら、フランカちゃんもまねをしないの」
 恵美がフランカを捕まえて、とりあえず近くにあったアレナの薄紫色のシャツを着せた。
「着れた着れた! フランカも服着れたの!」
「はいはいそうですね。可愛いですよ〜」
 喜ぶフランカの頭を、恵美はなでてあげた。
「……カメラ持ってくればよかったです」
 ルアはだぼだぼのシャツを纏ったフランカの姿に、ぽつりと呟いた。
 ロリコンにすっごく喜ばれそうな姿だ。
 ミーナはアレナのワンピースを(ただし、着用にはパットが必要)。
 フランカと恵美は薄紫色のシャツを貰って帰ることにする。
「あたしはこれかなー。足を開いても、きつくないし」
 ミルディアが選んだのは、茶色のフレアースカートだった。 
「私はこれを貰っていくわ」
 ルプスが選んだのは、薄手のカーディガン。サイズも丁度よかった。
「あとで、着ている姿をケイに見せましょう。こちらの帽子も被って」
「それ帽子じゃないからッ」
 かぼちゃパンツを持っているルアを睨みながら、ルプスはまた赤くなった。