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君を待ってる~封印の巫女~(第2回/全4回)

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君を待ってる~封印の巫女~(第2回/全4回)

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第12章 届かない声(夜の花壇)

「よみー?」
『そーた!』
 その夜。夜魅と接触した事のある者達は再び花壇を訪れていた。
「うおっ!?」
 瀬島壮太はびょこんと抱きついてきた夜魅を、危うく支えきれない所だった。
 だってビックリしたのだ。
 夜魅が抱きついてきたから。
 夜魅に、実体があったから。
『あたし頑張ったよ、頑張ったんだよ! だから、ね……こうしてそーたとも触れ合える』
 はしゃぐ夜魅とは対照的に、壮太の表情は冴えなかった。
 夜魅が実体を得たのは、喜んでいるのは嬉しい……だが。
「誰かを傷つけて自分だけ笑うより、誰も傷つけず皆で笑うほうがずっと気持ちが良いですよ」
 分かって欲しい、御凪真人は思いを込めて言葉を重ねた。
 真人も見た。
 ひび割れる空を。
 そして、この世界に現れ出でようとした、ものを。
 だけど繋がらない。あれとこの眼前の少女とは、どうしても。
「誰かを傷つけ笑うのは、心に暗いなにかが残ると思いますよ」
『まことの言う事、難しいよ』
 夜魅の顔が泣き出しそうに、歪んだ。
『まこともそーたも嬉しくないの? あたし、これでいっしょにいられるのに……』
「嬉しいよ! 嬉しいに決まってるよ!」
 アリア・セレスティは堪らず、叫んだ。
 明確な害意を持つ相手でなければきっと分かり合える、そう信じている。
 夜魅は害意を持っていない、ただ外に出たかっただけで。
 そして、花壇が……封印がある限り、自由に出てくる事が出来なくて。
 夜が明けていく。
 と共に、夜魅の姿が薄くなっていく。
『あたし、やっぱり一緒がいいよ……その為に、もっともっと力をつけなくちゃ』
「ダメです! これ以上誰かを傷つけては、いけないんです!」
 消えた寸前。夜魅の瞳が濡れていたように見えたのは、目の錯覚だろうか?
「……」
 傷つけてしまっただろうか?、真人は自問する。
 だがそれでも、間違っていたとは思えない。
 友達だから全てを賛成するのではない。間違っていたら正す事も必要なのだ……友達ならば。
「大丈夫?」
「俺は大丈夫ですよ。……諦めないことが成功の秘訣。と、ある人から教えられましたから」
 にこ、と笑まれセルファの頬が朱に染まった。
「うん。私も信じてる。きっと、何か良い方法があるはずだって」
 そうして、アリアはぎゅっと両手を組み合わせた。
 誓うように、祈るように。

担当マスターより

▼担当マスター

藤崎ゆう

▼マスターコメント

 参加いただきありがとうございました、藤崎です。
 ……展開、早っ!? というか、予想の斜め上を行くようなアクションをいただいたり、フラグが立ったり立たなかったりで、正直とてもドキドキしつつも楽しかったです。
 どういう風に展開していくのか、次回も気が抜けませんが、よろしければまたお付き合い下さいね。
 ではではまた、お会いできる事を願っています。