なし

リアクション

■□■９■□■　これから

「まさか、ボクまで遺伝子提供させられるとは……」
うなだれるアルバ・フレスカに、静香は言う。
「アルバ・フレスカさんも、
自分の信じた正しいことをしようとしたから、
こういう行動に出たんだよね。
やり方は間違ってたかもしれない。
でも、僕のことやシャンバラのことを考えてくれてたのは本当だと思う」

「静香校長……」
「十嬢侍をやってくれて、
遺伝子提供してくれて、どうもありがとう」
静香は、アルバ・フレスカにぺこりと頭を下げた。

静香は、振り返って皆にも言う。
「皆も、どうもありがとう！」

しかし、ラズィーヤが進み出て言った。

「静香さん、
アルバ・フレスカさんにはなんらかの責任を取っていただく必要がありますわ」
「え……」
困る静香だが、
少し考えて、提案した。

「じゃあ、百合園とヴァイシャリーの町の清掃をするってことで……」
「ありがとうございます！
静香校長！
ボクと花子ちゃん、無期限でやらせてもらいます！」
アルバ・フレスカが、すごい勢いで言う。
花子がつぶれてる隙に勝手に決めている。

「そ、そんなにずっとやらなくても……」
「本人がやると言ってるのですもの、
やらせればいいではありませんか、静香さん？」
ラズィーヤが、静香にだけ見えるようにニヤニヤしてみせる。

★☆★

「ポシブルちゃんはどこ行っちゃったですか？」
「さあ……でも、きっと近くで見ててくれる気もするよね」
ヴァーナーに静香は苦笑した。

★☆★

こうして、じゅせいらん計画は成功。
皆にお礼を言ってまわる小ラズィーヤだが。

小ラズィーヤは、静香に近づき、小さな声で言う。

「ありがとう、お父さん」
「え？」
「……ッ！　一回しか言わないぞ！　桜井静香ッ！」

クリスティー・モーガン（くりすてぃー・もーがん）の想いを受け継いだせいか、
【性格：ファザコン】（正確には静香が好き）を発現させる、
小ラズィーヤであった。

★☆★

「未来にもどっても、
たまにはこっちに来てボクと遊ぶべきだ。
そうしないとぺちんぺちんするよ、ボクの子分でもあるしね」
桐生　円（きりゅう・まどか）が言いながら、こんにゃくを振り回す。
「いつ私がおまえの子分になったのだ！？
って、ぺちんぺちんするのはやめろ！」
「誰のおかげで巨大化できたのかなあー、小ラズィーヤくーん？」
「やめろって言ってるだろう！」
しばらく騒いだのち。
「だが、たしかに、
この激動の時代には学ぶべきことが多いからな」
小ラズィーヤは、そう言って、
「また会おう」
と約束した。

小ラズィーヤは、
現代の世界の百合園に留学してくることになった。

それぞれの世界でも、
クリーチャーにはクリーチャーなりの、平穏が訪れているのだろう。

こうして、百合園に平和が戻るのであった。