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【おとこのこうちょう!】しずかのじゅせいらん! 後編

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【おとこのこうちょう!】しずかのじゅせいらん! 後編

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■□■4■□■ 静香の決意

そのころ、
百合園の校長室では。

光学迷彩で姿を消した七瀬 歩(ななせ・あゆむ)が、
静香と2人だけで話をしようと、ドアの前で気配を確認していた。
「すみません、静香さん。七瀬歩です。……ちょっとお話いいですか?」
「どうぞ」
静香がドアを開けてくれる。
(あ……)
心なしか、静香の顔色がよくないように、歩は感じた。

「個人的な考えなんですけど……」
歩は、少子化の解決策が他にも見つかるかもしれないこと、
静香とラズィーヤに子どもができるかどうかは、パラレルな未来のことであろうということなどを挙げて、
魔導受精をあまり行ってほしくないことを告げた。

「子どもって好きな人との間に作るものだと思うし、
こういうのってあんまりいい方法って思えない。
それに他に何か別の解決方法あるかもしれないし」
(それに、リンさんも……)
歩が気がかりなのは、ロザリンド・セリナ(ろざりんど・せりな)のこともあった。
ロザリンドという恋人がいるのに、
別の人たちやラズィーヤとの子どもを、というのには、歩には抵抗があった。

「だから、あたしが皆と話してみますので、
静香さんはどこかに隠れていてもらえないでしょうか。
多分、皆、話したらわかってくれると思うんですけど、
静香さんのこと好きすぎる人とか、
いないところで話した方が落ち着いてくれるんじゃないかなって。
あたしはここで静香さんに変装して、身を隠すまでの時間を稼ぎますので」
歩が、意を決して言う。
親友に服を借りて見た時のこととかも思い出す。きっとうまくやれる。
(もしかしたら、多少もみくちゃにされるかもだけど)
アルバ・フレスカなど、なんだか物騒なことを言ってる人もいるけど、
偽物だとわかればたぶん大丈夫なはず……と思った。
「ありがとう」
静香の声に、普段とは違うものを感じて、歩は息を飲む。
「心配かけちゃってごめんね。
でも、小ラズィーヤさんは僕の娘だし、
僕は自分にできることがあるのに逃げたくないんだ。
遺伝子提供を皆にお願いしなきゃいけなくて、
そのことは本当にいいのかなって思ってたけど……。
集まってくれた皆も、未来のことを考えてくれてる。
だから、それにも答えなきゃって」
静香の口調は、いつもどおりの優しいものだったけれど。
それは、決意を秘めたものだったから。

歩は、深くため息をついた。
「後でちゃんとリンさんに謝ってくださいね」
わざと、怒ったような表情を作って言う。
でも、歩は、この後、静香があまりひどい目にあわないよう、気を使うつもりだった。

「うん、ごめんね」
ロザリンドのことを言われて、静香は、神妙にうなずいた。