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【戦国マホロバ】弐の巻 風雲!葦原城攻め

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【戦国マホロバ】弐の巻 風雲!葦原城攻め
【戦国マホロバ】弐の巻 風雲!葦原城攻め 【戦国マホロバ】弐の巻 風雲!葦原城攻め

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}第七章 講和の条件2


【西暦2022年 7月19日 11時25分】
 葦原島 葦原城――


 現代――
 葦原島を訪れた七瀬 歩(ななせ・あゆむ)は、葦原明倫館総奉行ハイナ・ウィルソン(はいな・うぃるそん)に面会を求めた。
 葦原 房姫(あしはらの・ふさひめ)の容態と御筆先(おふでさき)について聞くためである。
「あの、ハイナさん。房姫様のご様子は?」
「表面上は落ちついてるでありんす。葦原のお姫様でありんすからね。みっともない姿はみせまいとしてやす」
「そっか。もし知ってたら教えてほしいんですけど、葦原家に伝わる御筆先ってどこまでさかのぼれるのかなあ? 昔からあったんでしょうか? 祈姫様が『時空の月』を描けるのに、どうして今には伝わってないんでしょう?」
「わっちもききかじりでありんすが、御筆先は5000年前の神子からの指令ときいてやす。葦原の神子は代々それを受け継いできたと。その葦原祈姫(あしはらの・おりひめ)のことは分かりやせんが、祈姫が1500年前の葦原の神子であることが間違いないなら、その後に『時空の月』の力が失われたか、隠されたかしたんでありんしょう。房姫はまったくこのことは聞いたこともなかったそうであるんすからね」
「歴史に干渉できるすごく危険な力だから、禁忌になったとか?」
「ありえなくはないでやすね」
「ううーん。やっぱり祈姫様に直接聞いたほうがいいのかなあ。どう思います、白姫様?」
 樹龍院 白姫(きりゅうりん・しろひめ)も、鬼城貞康(きじょう・さだやす)、そして依然として行方知れずの将軍鬼城白継(きじょう・しろつぐ)に心を痛めていた。
「房姫様の書かれた御筆先を読むと、どうしても最後は鬼が暴れてマホロバが滅亡するとございます。もしや鬼城家とは違う筋の鬼の者が、天下を狙っているのでしょうか」
 白姫にふと思いもよらぬ考えが浮かんだ。
 しかし、これだと理由が思い当たらない。
「もしや……1500年前の鬼、鬼子母帝(きしもてい)様が歴史の改変を狙っている? 分かりません……」
 白姫は混乱する頭を抑える。
鬼城貞康(きじょう・さだやす)様が初代将軍にならなければ、天子様より力を授けられない。1500年前の扶桑の噴花が止められる……それを狙ってのことなのでしょうか」
 表面上いくら歴史を変えても、天子との結びつきがなければ、マホロバは救われないのではないかと白姫は考えた。
「その積み重ねの証が白継様なのです。その姿が消えたということは……」
 突然、奥の間で休んでいた房姫が起き上がった。
 御筆先である。
 歩はハイナと共に駆け寄り、白姫は御筆先に合わせて『御神託』に祈った。
「どうか……どうか。次の時代へとつなげていくことができますように……!」
 房姫は筆を取ると紙に向かう。



マホロバ暦一一八五年 鬼城貞康 四方ヶ原にて武菱軍を退ける。翌年、武菱氏滅亡
 マホロバ暦一一八七年 本之右寺の変 瑞穂大返し
  マホロバ暦一一八八年 葦原城攻め 葦原総勝切腹
   マホロバ暦一一九0年 鬼崎ヶ原の合戦にて__



「……え」
 房姫の筆が止まった。
 歩が心配して覗き込む。
「房姫様!?」
 白姫が気がついたのとほぼ同時に、房姫は気を失った。


 あなにくし


 続きには恨みの言葉ひとつと桜の花びらが一枚、添えられていた。



【????年 ?月??日 ??時??分】
 トキノ ハザマ ――



 地もない、天もない。
 光も影もない。
 前後左右、上下もわからない。
 昼か夜かわからない。
 ――時間が分からない。

「ここは……どこだ」
 織由 信那(おだ・のぶなが)はさまよう。
 どこからか声が聞こえた。
 見たことのあるような、ないような面立ちである。

「時の流れに逆らうから、弾き飛ばされたのですよ。お可哀相に」
 信那はようやく思い出した。
「……そなたは鬼城の母上……か? ……すると、ここは鬼州国か?」
「お久しゅうございます。織由上総丞信那(おだ・かずさのすけ・のぶなが)様。いいえ、ここは鬼州国ではござりません。あのときはまだわららも確かに鬼州国におりましたが……ここにきてからというもの、久しぶりという感覚も忘れてしまいました」
「一体どこなのだ。俺は……」
「ここは、トキノ ハザマ。どこでもあり、どこでもありません」
「なぜこんな?」


 信那には理解できなかった。
 未来人によって先の世に連れてこられたはずなのに、彼だけがここに取り残されていた。

「わらわも信那様も『月の輪』をくぐるものになれない、それだけのことでございます。あら、もうお一人、ここへ迷い込まれた方がいらっしゃいますね」

鬼子母帝(きしもてい)……そなた、どうして! そちらは……まさか織由殿か!?」

 葦原総勝(あしはら・そうかつ)は呆然と立ち尽くしていた。

「お可哀相に。観測者が貴方様を未来へ連れて行こうとしたのでしょう。因果律に逆らえば、時の流れから弾き飛ばされるというのに。でも、自業自得かもしれませんわ。貴方様は何度もわらわの邪魔をしてくださいました。いいえ、あなたの孫娘たちがね!」

 鬼子母帝の顔が般若のように変わる。

 にくし……にくし

 母が子に殺されようとは

 絆を絶つとは

 あなにくし



 桜の花びらが一枚、ひらりと舞っていた。

卍卍卍



 マホロバの上空に月が浮かぶ。
 少女によって描かれた月が時を越える。
 人々は時の濁流にのみこまれ、さらなる時代へと押し流されようとしていた。


担当マスターより

▼担当マスター

かの

▼マスターコメント

 こんにちは、ゲームマスターのかのです。
 遅れて申し訳ありませんでした。

※織由上総丞信那と葦原総勝は、アクション結果を受けてゲームから除外(アクション対象から除外)されました。

 また、アクション結果を受けて、葦原房姫の御筆先が変化しています。
 後日、今回のリアクションのまとめマップをマスターページにアップする予定です。

 余裕がなく個別のコメントがあまりかけなくてすみません。
 私信コメントありがとうございます。
 励みになってます。

 次回以降のスケジュールは決まり次第、マスターページにて告知させていただきます。
 それではまたお会いいたしましょう。


 この【戦国マホロバ】シリーズは、一話完結の数話構成となっています。
 (※予定は変更される場合もあります)

【戦国マホロバ】第壱巻 マホロバ暦1185年頃のシナリオ
【戦国マホロバ】第弐巻 マホロバ暦1187年と1188年頃のシナリオ
【戦国マホロバ】第参巻 マホロバ暦1190年頃のシナリオ
【戦国マホロバ】第四巻 マホロバ暦1192年頃のシナリオ


【NPC一覧】

(マホロバ暦1187年、1188年)
鬼城貞康(きじょう・さだやす)……鬼城家当主。鬼の血脈を受け継ぐもの。正史ではマホロバ幕府の初代将軍となったが……?

葦原の戦神子(あしはらの・いくさみこ)……本名:葦原祈姫(あしはらの・おりひめ) 西暦2022年のマホロバに突如現れた少女

葦原総勝(あしはら・そうかつ)……葦原国国主。祈姫の祖父 ※ゲームから除外
葦原鉄生(あしはら・てっしょう)……からくりオタク。祈姫の父


瑞穂魁正(みずほ・かいせい)……別称:瑞穂の軍神。瑞穂国国主
日数谷現示(ひかずや・げんじ)……瑞穂藩士。瑞穂藩の侍大将


鬼子母帝(きしもてい)……鬼城家の母

朱天童子(しゅてんどうじ)……金品を奪うなどして都を荒らしている鬼一族の棟梁


織由上総丞信那(おだ・かずさのすけ・のぶなが)……於張国の豪傑 ※ゲームから除外
羽紫(日輪)秀古(はむら・ひのわ・ひでこ)……信那の腹心

雪うさ……貞康が合戦場で助けた童女


(西暦2022年)
鬼城貞継(きじょう・さだつぐ)……マホロバ前将軍

鬼城白継(きじょう・しろつぐ)……マホロバ将軍。貞継と(SFM0033439) 樹龍院 白姫の子。行方不明

葦原房姫(あしはらの・ふさひめ)……葦原藩姫。『御筆先』が復活
ハイナ・ウィルソン……葦原明倫館総奉行(=校長)。房姫のパートナー


■戦国時代の主なマホロバ勢力

【鬼州国(きしゅうのくに)】(鬼城家)
マホロバの東地方を勢力にもつ

【葦原国(あしはらのくに)】
マホロバの北東地方を勢力にもつ

【瑞穂国(みずほのくに)】
マホロバの西地方を勢力に持つ

【於張国(おわりのくに)】
扶桑の都近郊に勢力にもつ



【付記】
マホロバ暦1187年 6月 『本之右寺の変』
於張国の織由信那は、扶桑の都への上洛を前にして本之右寺にて謀反にあい自刃。
同時期、境にて豪商らの歓待を受けていた鬼城貞康は、信那討死の変報を聞き、少数の供を連れて山路越えを決行する。
西方にて主君の横死を知った羽紫秀古は、瑞穂国・瑞穂魁正と講和を結び、急ぎ扶桑の都に向けて前代未聞の軍団大移動を行った。
これをもとに天下への足がかりをつけたといわれる。

(出典『まほろば史記』「新紀」巻97 著者不明)


マホロバ暦1188年 6月 『葦原城攻め』
北東にて大勢力を誇る葦原国は、日輪秀古率いる鬼城貞康、瑞穂魁正ら諸大名によって葦原城を包囲された。
葦原城内では、臣下に付くか徹底交戦するかでなかなか決着せず、鬼城が味方についてくれるのでないかという公算もあった。
葦原城攻めは、葦原国主・葦原総勝が自らの命と講和を引きかえに終結し、東・北東地方が平定された。
魁正は武功を挙げ西方軍の重臣となり、また貞康は新領を鬼州国からさらに東へ移した。

(出典『まほろば史記』「新紀」巻99 著者不明)