校長室
地に眠るは忘れし艦 ~大界征くは幻の艦(第2回/全3回)
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★ ★ ★ 「そこっ! 順番が違う! 1〜3番区画は後ろに倒して、7〜13番が斜め上で、25番から順繰りに前方へズラして……ああ、もう、まだるっこしい!」 シュヴァルツガイストの変形指示を飛ばしているサツキ・シャルフリヒター(さつき・しゃるふりひたー)だが、だんだんとキレてきたので、見守る新風 燕馬(にいかぜ・えんま)とザーフィア・ノイヴィント(ざーふぃあ・のいぶぃんと)もはらはらしている。 シュヴァルツガイストがブロックごとに独立している構造だから可能なわけだが、こうもでたらめに移動させるとブロックごとの回線の接続の方が心配だ。動力などが、うまく伝達できていればいいのだが。 「仕方ない、後は、移動中にロイヒテン・フェアレーターでチェックしよう」 見かねて、新風燕馬がザーフィア・ノイヴィントに言った。 スフィーダタイプのロイヒテン・フェアレーターは、シュヴァルツガイストの格納庫にしまってあったものだ。ブラウヴィント・ブリッツは小破してしまっているので、こちらに乗り換えるというわけである。 「そうだな」 それしかないなあと、ザーフィア・ノイヴィントがうなずいた。 ★ ★ ★ 「お姉さま〜。御注文のビヤーキーちゃん持ってきたですよー。偉いでしょ〜。褒めて褒めて♪」 Night−gauntsの調整で手こずっているフォン・ユンツト著 『無銘祭祀書』(ゆんつとちょ・むめいさいししょ)の近くに、スフィーダタイプのLord−Byakheeが着陸した。中から、フォン・ユンツト著 『無名祭祀書』(ゆんつとちょ・むめいさいししょ)が元気よく降りてくる。 「やれやれ、どうやら間にあったようじゃな……」 ぞんざいに妹分のフォン・ユンツト著『無名祭祀書』の頭をなでてやりながら、フォン・ユンツト著『無銘祭祀書』がLord−Byakheeを見やった。 「どうも、拗ねてしまったようだな。あやつは後にして、今はこやつを使えるようにするしかないか。ニルヴァーナに着くまでに終わればいいが」 先の戦いでNight−gauntsを酷使しすぎたせいか、イコンが起動しなくなっている。どうにも、最近小生意気にも逆らって扱いづらいとフォン・ユンツト著『無銘祭祀書』がぼやいた。 「そういえばぁー。まいますたーは、どこにいるですか?」 フォン・ユンツト著『無名祭祀書』が、秋月 葵(あきづき・あおい)の姿を探して、キョロキョロと周りを見回した。 「主なら、すでにフリングホルニに乗っているぞ。今頃は、好奇心の赴くままに、あっちこっちを見学していよう。さあ、我らも乗り遅れるように、イコンを搭載してもらうぞ」 「はーい、分かりましたあー」 タイミングよく、フリングホルニへのイコンの搭載を急ぐようにとリカイン・フェルマータ(りかいん・ふぇるまーた)のアナウンスが響いた。出港はじきらしい。二人は、あわててLord−Byakheeに乗り込むと、Night−gauntsをかかえてフリングホルニへとむかった。 ★ ★ ★ 「フリングホルニの状況はどうか」 エステル・シャンフロウを先導してフリングホルニのブリッジにやってきたデュランドール・ロンバスが、グレン・ドミトリーに質した。 「修理、物資の搬入共に完了。いつでも発進できます」 グレン・ドミトリーが即答する。 「思いの外時間がかかってしまいました。急いでニルヴァーナへとむかいましょう」 「御意」 エステル・シャンフロウの言葉に、グレン・ドミトリーが一礼する。 「機関始動! 繋留アーム外せ!」 「機関始動、繋留アーム外します」 グレン・ドミトリーの命令に、リカイン・フェルマータが復唱した。 フリングホルニを固定していたアームが外れ、フリングホルニがゆっくりと上昇を始める。 「やっと出発だね」 「ええ」 イコンデッキでは、フレロビー・マイトナーとニルス・マイトナーがヴァラヌス・フライヤーとヤクート・ヴァラヌス・ストライカーの整備をしながら言った。周囲には、搭載されたイコンがハンガーにずらりとならんでいる。 御凪 真人(みなぎ・まこと)、名も無き 白き詩篇(なもなき・しろきしへん)のパラスアテナ・セカンド。 小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)、ベアトリーチェ・アイブリンガー(べあとりーちぇ・あいぶりんがー)のグラディウス。 清泉 北都(いずみ・ほくと)、クナイ・アヤシ(くない・あやし)のアシュラム。 エヴァルト・マルトリッツ(えう゛ぁると・まるとりっつ)、ロートラウト・エッカート(ろーとらうと・えっかーと)のヴェルトラウム・ツヴァイス。 毒島 大佐(ぶすじま・たいさ)、ライラック・ヴォルテール(らいらっく・う゛ぉるてーる)の流星。 紫月 唯斗(しづき・ゆいと)、エクス・シュペルティア(えくす・しゅぺるてぃあ)の魂剛。 山葉 加夜(やまは・かや)、ノア・サフィルス(のあ・さふぃるす)のアクア・スノー。 無限 大吾(むげん・だいご)、西表 アリカ(いりおもて・ありか)のアペイリアー・ヘーリオス。 シフ・リンクスクロウ(しふ・りんくすくろう)、ミネシア・スィンセラフィ(みねしあ・すぃんせらふぃ)、四瑞 霊亀(しずい・れいき)のアイオーン。 十七夜 リオ(かなき・りお)、フェルクレールト・フリューゲル(ふぇるくれーると・ふりゅーげる)のメイクリヒカイト‐Bst。 笠置 生駒(かさぎ・いこま)、シーニー・ポータートル(しーにー・ぽーたーとる)のジェファルコン特務仕様。 リリ・スノーウォーカー(りり・すのーうぉーかー)、ララ・サーズデイ(らら・さーずでい)のラルクデラローズ。 秋月葵、フォン・ユンツト著『無銘祭祀書』、フォン・ユンツト著『無名祭祀書』らの、Lord−ByakheeとNight−gauntsなど。他にも、何機かのイコンが予備機として搭載されている。そのすべてを使用することがあるかは分からないが、戦力としてはかなりなものとなっていた。 イコンの他にも、ララ・サーズデイのヴァンドールのような巨大生物の姿も散見できる。 それらの艦載物を用意していなくとも、コハク・ソーロッド(こはく・そーろっど)、酒杜 陽一(さかもり・よういち)、天城一輝、ローザ・セントレス、コレット・パームラズ、ユリウス・プッロ、天貴 彩羽(あまむち・あやは)、スベシア・エリシクス(すべしあ・えりしくす)、アキラ・セイルーン、桐ヶ谷煉、エヴァ・ヴォルテール(えう゛ぁ・う゛ぉるてーる)、エリス・クロフォード(えりす・くろふぉーど)、鵜飼 衛(うかい・まもる)、メイスン・ドットハック(めいすん・どっとはっく)、ルドウィク・プリン著 『妖蛆の秘密』(るどうぃくぷりんちょ・ようしゅのひみつ)らは、独自にフリングホルニに搭乗していた。 「わたくしたちも続きますわよ」 「いこーっ!!」 エリシア・ボックとノーン・クリスタリアも、オクスペタルム号を発進させる。 「遅れるなよ」 「アストロラーベ号、発進する」 フラン・ロレーヌ(ふらん・ろれーぬ)に力強く言われて、フルリオー・ド・ラングル(ふるりおー・どらんぐる)がアストロラーベ号を発進させた。 続いて、サツキ・シャルフリヒター、新風燕馬、ザーフィア・ノイヴィントらのシュヴァルツガイストが移動を始めた。 フリングホルニの出発に合わせて、続々と他の艦艇も動きだした。