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リアクション
子供っぽい姿にぼさぼさの赤毛の紅葉 椛(こうよう・もみじ)は、傷跡のある顔に手をやって、じっと考え込んでいた。
「早く助けてあげたいけどワタシにできるのは、今は薬草をさがすことだけ、ですね」
シルバースターの画像をじっと見つめる。小さなもみじ型の、銀白色の柔毛に覆われた葉。
「小さいものだなあ。でも、何とか見つけなきゃ。人魚さんのためにも」
今日も朝から晴れており、気温も上がる気配だ。
「がんばって、早く探してくるね」
フェリアのほうを振り返り、紅葉はそっとつぶやいた。
着ているもので少年とわかるが、顔立ちは女の子といっていいような神和 綺人(かんなぎ・あやと)は、宝石貝の資料画像を受信した。
貝殻はさながらエメラルドを薄く削って、貝殻を模したらこうなるのではないかという、美しい透明なものだ。大きさも3センチほどと大きい。
「これは……透明できれいな貝殻だなあ。でも、こんなにきれいなら、見落とす心配はなさそうだね。うまいことトレジャーセンスが反応してくれたらいいんだけどなあ……ねえ、クリス」
傍らにいたパートナーのクリス・ローゼン(くりす・ろーぜん)は、かわいらしい容姿の少女だ。金色の髪をツイン・テイルに結っている。クリスは神和の問いかけに答えていった。
「アヤ、フェリアさんを看護してくださってる方たちが、何とか毒の進行を抑えくださるとはいえ、早く治療薬を作らなくてはなりません。一緒に頑張りましょうね」
「うん、早く見つけて、フェリアさんを元気にしよう」
「うん、みなさんと協力してがんばろうね、アヤ」
クリスは輝くような笑みを浮かべた。
宝石貝の殻は、探すのもだけど一番手間が掛りそうだね。レキ・フォートアウフ(れき・ふぉーとあうふ)は携帯の画像を見ながら思った。ポニーテールの赤毛を、やんちゃな子馬のように揺すって、レキは携帯をしまった。
早く探しに行きたい。ポケットから乾いたハンカチを取り出し、脇につけたポーチにしまう。
「早く探しに行きたいなぁ。ねね、見つけたらこれに包んでポーチに入れればぬれないですみそうかな?」
隣に佇んでいた、実年齢はレキを凌駕するのだが、どう見ても子供といった外見のパートナー、ミア・マハ(みあ・まは)に声をかける。黒いビキニに白のタンクトップという、大人びた服装がちぐはぐに見える。背伸びした子供、といった案配だ。
「とりあえず満潮で水位が上がった際にも、海水がこない位置を探すのが良かろうて」
ミアはいったん言葉を切って、
「わらわの炎術で乾燥状態保存できるのじゃから、見つけ次第預かるのがええじゃろう。その旨、貝殻創作のメンバーに伝えておくのがよかろうぞ」
アシュレイ・ビジョルド(あしゅれい・びじょるど)はミアの言葉を聞きつけ、大きくうなずいて賛意を示した。
「炎術での乾燥保存とは、よいアイデアですね。私もそれには賛成です」
黒髪をツインテールに結わいた、少女めいたはかなげな外見とは裏腹に、激しい強さと意思を感じさせる瞳と、言葉つきだ。
「縁あってこうしてであったのでしょうし、早く楽にしてあげたいですね。万が一薬草の捜索中に不審者に出会ったときは、私のスキルも役に立つでしょうし」
アシュレイは痛ましげな表情でフェリアを見やった。年齢にそぐわない大人の表情を浮かべて。そんなアシュレイをミアがじっと見つめていた。
捜索班は三々五々に分かれ、目的の薬草探しに散って行った。いずれも皆、人魚のために早く探そうという思いを胸に。
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