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リアクション
ついで、師王 アスカ(しおう・あすか)のパートナー、プラチナブロンドの髪の、見るからに貴族全としたルーツ・アトマイス(るーつ・あとまいす)がすっと壇上に立った。
「ええ、あ一、番感動した事を話そうかな……それは、だな……
お恥ずかしい話しなのだが、卵がちゃんと割れるようになった事だ。
実は我も貴族で料理の経験が皆無でな……最初は簡単に割れなくて、よく殻を入れてしまってなあ。
だから割らないゆで卵に挑戦したのだが……」
そこまで言ってルーツは顔を赤らめた。
「その……なんだ。生卵をだな。電子レンジに入れて、取り出した瞬間爆発させてしまってな……アスカにものすごく怒られた。
あれは……周囲全てにタマゴが満遍なく飛び散ってあとの掃除が大変なのだな。
が、しかし、だ。今はちゃんと簡単な料理はれるようになったのだ!
それで仲間に褒めてもらえるというのは、嬉しいものだな、うん」
令嬢は楽しそうに聞いていたが、
「まあ、電子レンジで生卵の加熱って大変なことになるのですね」
「……うむ」
「でも、今はお料理が出来るようになられたとのこと、よかったですわねえ」
令嬢はニコニコと微笑みかけた。
「私がトリねぇ〜」
師王 アスカが進み出る。きれいな黒髪をサラリと振って、演目の当初から先ほどまですばやい動作で何かを描き続けていた、大きなスケッチブックを差し上げる。
「さあ、私のマジックアートの始まりよ〜♪
よーく見ててねぇ! そ〜れ、パラパラ〜っと!」
スケッチブックのページがめくられると、そこに描かれたエレーナ嬢の似顔絵が、驚きや喜び、微笑といった表情に、次々と変化してゆく。
「こんなに色々な表情をしてたのよ〜?」
何度かスケッチブックの最初からページをぱらぱらとめくって見せる。
「皆を見ていた見エレーナ嬢の表情を、ずうっと描き留めてきたものよ。いかが?」
エレーナは感心した様子でそれを見入っていた。
「ああ、私はこんなにいろんな表情をしていたのですねえ」
「そうよ〜」
アスカは艶然と微笑んでみせた。
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