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輝く夜と鍋とあなたと

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輝く夜と鍋とあなたと
輝く夜と鍋とあなたと 輝く夜と鍋とあなたと

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 自分の部屋で本を読みながらくつろいでいたエッツェル・アザトース(えっつぇる・あざとーす)が携帯が鳴ったのを確認すると、本を閉じ、携帯の画面に月代 由唯(つきしろ・ゆい)の名前を見るとすぐに耳に当てた。
「どうしたんですか? 由唯さん」
『え、えっちぇる、一緒に鍋しない?』
「鍋……ですか?」
『そう。昨日雪がすごく降ったじゃない? それで、空京自然公園の広場でカマクラの中で鍋をやるっていうイベントのチラシをさっき手に入れたの』
 エッツェルは、そういえば降っていたと、思いだし、納得した。
『えっちぇるとじゃなくても他にも誘っても良かったんだけど皆都合がつかないっていうから仕方なく2人きりでなんだけどね』
(うぅ……エッツェルと2人っきりで行きたいのに私の口のバカー!)
「そうですね……良いですよ、由唯さんのお誘いなら喜んで」
 その後、待ち合わせ場所と時間を確定させ、携帯を切る。
「……」
 切った後、本を見つめ何かを考えているふうだったが、待ち合わせまであと1時間しかないことを思い出し、すぐに出かける準備を始めたのだった。

「カマクラの中で鍋って初めてです」
 由唯の作ったモツ鍋に舌鼓を打ちながら、エッツェルが言う。
「私も初めてだよ」
 モツ鍋を美味しそうに頬張り、由唯が相槌を打つ。
「由唯さん、料理お上手なんですね」
「ふ、普通だと思う」
「いえいえ、ちゃんとモツを下ゆでしたりして手間暇かけてたじゃないですか。そういう手間が、こういう優しい味になるんですね。まるで由唯さんの中身を食べてるみたいです」
「そんなに優しくなんかないわよ」
 エッツェルの言葉に心の中ではガッツポーズを取る由唯。
「せっかく2人なんだし……はい、あーん」
「良いんですか!?」
「他に誰か見てるわけじゃないしね」
 エッツェルは顔を赤くしながらモツを差し出してくる由唯を可愛く思いながら、口を開け、食べさせてもらう。
「食べさせてもらうと余計に美味しく感じますね」
「味は変わらないわよ」
「いいえ、変わりますよ? はい、あーん」
「う……っと……あ、あーん」
 とっさに出されたモツを由唯は思わず食べていた。
「ね? 美味しいでしょう?」
 笑顔で言われ、由唯は顔を赤くしてコクリと1つ頷いた。
 鍋が食べ終わると、エッツェルはコタツから出た。
「それじゃあ、帰りましょうか」
「えっ!?」
「どうかしました?」
「べつに……」
(今日こそ……進展と思っていたのに……うぅ)
 由唯は鍋を片付けるからとエッツェルに先にカマクラの外に出ているように言い、ちょっとだけ落ち込みながら片付けをした。
 片付けを手早く済ませ、外に出ると、エッツェルの姿が見当たらない。
「どこに……いた!」
 少し離れたカマクラの中を覗きこんでいるエッツェルの姿があった。
「何をして……」
 近寄ると何をしているのかすぐにわかってしまった。
「素敵なお嬢さん達、そんなに暗い顔してたら勿体ないですよ? 一緒に星を――」
「えっちぇるーーーっ!!」
 最後まで口説くことが出来ずに、由唯に蹴り飛ばされ、吹っ飛んだ。
 カマクラの中では来栖とフィアナが『やっぱりろくなのがいない』と溜息を吐いていた。
(由唯さんほどの女性なら、私なんぞより 遥かに良い男性を……未来を見つけられるでしょうに……)
 ふっ飛ばされた後、由唯に回収されながら、エッツェルはちらりと由唯の顔を見て思っていた。