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アンデットの恐怖

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アンデットの恐怖

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フェイズ3
「ファントムと接近。同時にゾンビも!? どういう事じゃ? 奴らの移動速度の違いで各個撃破できるはずではなかったか?」
 信長が慌てると、ルカルカが諭した。
「おちついて。敵に知能ある指揮官が現れる可能性はゼロではなかったわ」
「なぜ戦場の跡地とはいえいきなりアンデッドが大量発生したのか気になっていましたが……だれかネクロマンサーでもいるのかもしれませんね」
 赤嶺 霜月(あかみね・そうげつ)がそう言うと、通信を切ってレッサーワイバーンの櫟から飛び降り、敵の中心部に降り立つ。
 が、その櫟がファントムの集中攻撃を受けて支配下におかれる。
「おのれ!」
 霜月は叫んで狐月と暁月二つの剣で2体のファントムを叩き切る。
 が、櫟が炎を吐いて地上のゾンビも巻き込んで攻撃を仕掛けてくるので、妹の赤嶺 卯月(あかみね・うき)が空飛ぶ箒スパロウに乗って櫟にサンダーストームを放つ。
 そして気絶した櫟が墜落するとローザマリアのパートナー上杉 菊(うえすぎ・きく)がグレーターヒールで回復させる。
 霜月は戦場から離れるように櫟に指示を出すと、櫟は高度をとって戦場を駆け抜けていった。
 同じくローザマリアのパートナーエシク・ジョーザ・ボルチェ(えしくじょーざ・ぼるちぇ)はバニッシュで戦場全体に聖なる光を降らせる。
 さすがに一撃で敵を倒すほどではないが、それなりのダメージは与えたようだ。
「頃合いね……起動(イグニッション)」
 リネンは騎乗していたペガサスの背からハイランダーズ・ブーツとバーストダッシュで跳ぶと、則天去私を発動させる。
 戦場全体に光輝属性の攻撃を放ちファントムやゾンビにダメージを与える。霜月の攻撃を受けていたファントム2体が浄化された。
「うーん。ファントムもゾンビも運動性が低いですねえ……これでは攻撃を加える前に全滅もあり得るのでは……」
 アザトースがそうぼやくと、異形の翼で空を飛び、詠唱を始める。
「奈落よりも深きモノ、冥府の闇より暗きモノ、大いなる海原に封じられしモノ……古き深淵の盟主よ!!」
 そして魔石『古き深淵の盟主』が発動する。
 まず、イコンたちは一撃で破壊されることはなかったが、関節部が凍りつき機動性が落ちた状態になった。そして、生身で戦場に出ていた者たちだが……
 リネンは1/4を削られる。
 霜月は高い魔法防御力が幸いしてそれなりのダメージで済んだ。
 卯月はHPが2割を切って気絶し、箒から落下した。
 カルキノスは強大な魔法防御力でかすり傷といった程度である。
 月島 悠(つきしま・ゆう)は2割を切って気絶。
 そのパートナーで弱点が心霊現象の麻上 翼(まがみ・つばさ)は半分ほど削られ、狂乱してラスターガトリングを乱れ撃ちしていた。
「幽霊なんて、お化けなんて……全て滅んでしまえーーー!!! 来るな来るな来るなーーー!!!」
 敵味方の区別ない狂乱ぶりに彼女の周囲には人影がない。
「真っ当に生きているなら、味方へ向ける刃は最後の最後にした方がいいですよ」
 アルコリアが孤影のカーマインで翼を狙い打つ。
 急所は外れているがショックで気絶してしまった。
 ちなみにアルコリアとナコトは1割にも満たないダメージである。
 葉月 可憐(はづき・かれん)も1割にも満たないダメージを受け、ホーリーシンボルを握り締めつつイナンナの力を借りて【我は射す光の閃刃】をはなつ。
「――光あれ」
 その光は不浄なる者共を浄化し、ゾンビはボロボロになり始めた。
「あやつが親玉か……」
 カルキノスも【我は射す光の閃刃】を放つ。
 その圧倒的な魔力から放たれた一撃で、ファントムもゾンビも全て浄化されてしまう。
 アリス・テスタイン(ありす・てすたいん)も古き深淵の盟主でダメージを受けるが、それほど傷ついたわけではない。
 障害がいなくなった戦場でアザトースとレッドに攻撃が集中することになる。
 エリスはアザトースに狙いを付けると、曙光銃エルドリッジを放つ。
 しかしその攻撃はアザトースの貼った障壁により弾かれてしまう。
 菊も6割ほど削られるが先ほどグレーターヒールを使っているので行動できない。
 エシクも半分ほど削られたが先ほどバニッシュを使っているので同じく行動できない。
 高嶋 梓(たかしま・あずさ)はぎりぎり3割残り、グレーターヒールで自分を回復させる。
 大洞 剛太郎(おおほら・ごうたろう)は対ゾンビようにつくっていた防御陣地に守られて3割ほど残った。陣地がなければ瀕死の重傷を負っていたであろう。
 そのパートナーコーディリア・ブラウン(こーでぃりあ・ぶらうん)も防御陣地に守られて何とか立っていた。そしてヒールで剛太郎を回復させる。
 バニーガール風のパイロットスーツに身を包んだ葦原 めい(あしわら・めい)は4割程度削られる。が、リジェネレーションで少しずつ回復するのでこの程度のダメージは気にせず攻撃を加えることにした。
 そのパートナー八薙 かりん(やなぎ・かりん)は6割削られるが何とか持ちこたえる。そして、すべての傷ついたものを回復させるために、リカバリを発動させるべく待機状態に入る。
 透乃は1割削られた程度。陽子も似たような物。泰宏は4割程度削られる。3人は協力して攻撃を放つ。
 その攻撃は一度攻撃を終えたアザトースではなく厄介なイコンであるレッドの【アームドベース・デウスマキナ】に集中する。
 彼らの攻撃はゴーストイコンをあっさり撃破した。しかしゴーストイコンよりも能力が高くパイロットのランクも高い【アームドベース・デウスマキナ】には1割を削る程度のダメージしか与えられない。
 伏見 明子(ふしみ・めいこ)は1割程度削られただけで、即座にライトブリンガーで反撃する。
「私の前でこれ以上やんちゃできるとおもうな!」
 しかしそれもアザトースの防御に弾かれる。
 リリィ・クロウ(りりぃ・くろう)は5割程度削られて、即座に自分にグレーターヒールをかけるべきか迷ったが、リカバリも持っていたためリカバリ発動のために待機状態に入る。綺麗な黒いロングヘアを風に揺らし、茶色の瞳に戦う意志をみなぎらせる。
 紫月 睡蓮(しづき・すいれん)は3割まで減らされたがなんとか意識は保っていたので、自分にヒールをかける。
 大久保 泰輔(おおくぼ・たいすけ)は3割ほど削られそうだったところを歴戦の防御術で防いでなんとか5割程度のダメージに抑えると、アザトースに話かけた。
「あんさん、なんのためにアンデッドを操っとったんや?」
 大してアザトースはこう答える。
「戦死して未練が残ってるのだから、せめて戦って成仏させようと思ってですね」
「説破! 必ずしも、自分が戦いたいからでもなく、戦いに駆り出されてそれで死んでんやったら、未練も残ろうわな。全員が戦闘狂かいな!?」
「ふん。いずれにしろすでに全滅してしまったのです。坊主ですか? ならば私も成仏させて見せなさい」
「そうさせてもらうわ」
 泰輔は般若心経をとなえながらバニッシュを繰り出す。しかしアザトースの魔力の前には馬の耳に念仏であった。
「あかんな。しぶといわこいつ」
「これは一度態勢を建てなおさないとダメみたいですね」
 レイチェル・ロートランド(れいちぇる・ろーとらんと)がそう言う。彼女も歴戦の防御術を使って5割近くで耐え、健在であった。
「……くっ。厳しいですね。でも!」
 火村 加夜(ひむら・かや)は2割近く削られたが、態勢を立て直すために命のうねりの待機状態に入る。
 エメリヤンは4割近く削られるが果敢にも【アームドベース・デウスマキナ】に攻めかかる。
 二丁の拳銃を格闘技のカタのように素早く動かしながら最適な状態での射撃を繰り広げ、パンチのために伸ばされた腕をかわしてその腕を駆け上り、頭部に何発もの銃弾を喰らわせる。それでこの小型イコンのメインカメラは失われたが、まだサブカメラで稼働できる状態であった。それを確認するとエメリヤンはイコンから飛び降りる。
 御剣 紫音(みつるぎ・しおん)は歴戦の防御術と超人的な肉体によってダメージをゼロに抑えると、宮殿用飛行翼で宙に飛び、両手に持ったブレード・オブ・リコでアザトースに攻めかかる。
「風花、行けるか?」
「ギリギリですけど、なんとか行けますぅ」
 綾小路 風花(あやのこうじ・ふうか)はなんとかぎりぎり4割程度でこらえて、小型飛空艇で紫音と共に攻撃行動に入った。
「アルス……まっとってやぁ、今助けたるさかい」
 気絶したアルス・ノトリア(あるす・のとりあ)を横目に見ながら、風花は駆ける。
「主よ油断するでないぞ」
「了解!」
 魔鎧のアストレイア・ロストチャイルド(あすとれいあ・ろすとちゃいるど)がそう言って、アルスにヒールをかける。
「土は土に、灰は灰に、塵は塵に……お前達の居場所は此処に無い! 無に還れ!!」
 二人の攻撃でアザトースは気絶してしまう。
 パートナーのレッドはアザトースを担ぐと空中に浮かび上がった。
 4割ほどに削られた水鏡 和葉(みかがみ・かずは)と同じくらい削られたルアーク・ライアー(るあーく・らいあー)は、光る箒に乗って空中に躍り出ると和葉はティアマトの鱗、ルアークは二丁拳銃の曙光銃エルドリッジで攻撃を仕掛けた。
 しかしもともとイコンと戦えるレベルでない二人の攻撃はかすり傷ほどしか与えられない。それでもアザトースを守るレッドを警戒させるには十分なようであった。
 月美 あゆみ(つきみ・あゆみ)は半分ほど削られたが反撃の手段がなく、臍を噛んだ。
「でも、ピンクレンズマンはこんなことじゃ負けないんだから」
 柳玄 氷藍(りゅうげん・ひょうらん)は半分ほど削られたが神職者として無様を見せるつもりはなかった。
 那須与一の弓でレッドを狙う。しかしイコンの装甲の前ではそれすらもおもちゃの如く弾かれるだけだった。
「はっ! 奴はネクロマンサー! ってことはリジェネレーションを持っているはず!! あのイコンはあいつの回復を待ってるの!?」
 あゆみが重大なことに気がつく。
「ということはあいつはイコンの装甲で時間稼ぎを狙ってるね」
 半分ほど削られたフィーア・四条(ふぃーあ・しじょう)があゆみの言葉に返す。
「まずいね。こうなったらリカバリと命のうねりでみんなを回復させて、一斉攻撃であいつを落とすしかないね!」
 あゆみがそう言うと皆が頷く。こう言うシーンはヒーローであるピンクレンズマンにお似合いだろう。
 残り1割ほどとなり気絶した逢坂 楓(おうさか・かえで)を見ながらあゆみは決意を固めた。
 刹那・アシュノッド(せつな・あしゅのっど)アレット・レオミュール(あれっと・れおみゅーる)も1割ほどに削られて気絶している。
 セファー・ラジエール(せふぁー・らじえーる)遊馬 澪(あすま・みお)などは生死の境を彷徨っている。
 スノー・クライム(すのー・くらいむ)は自らもダメージを受けつつも歴戦の回復術を使用するべく待機状態に入っている。
「こちら教導団装甲歩兵の東 朱鷺(あずま・とき)。軍事訓練を受けたものとして発言するがここは一度全員待機し、イコンによってケリを付けるべきだ。敵もイコンなら下手に生身の我らが立ち向かうより有効と考える」
「こちらルー中尉。採用します。味方の回復が終わり次第イコン部隊は一斉攻撃。敵性イコンとネクロマンサーを撃破します」
『了解!』
「待っていろルビー・フェルニアス(るびー・ふぇるにあす)。もうすぐ回復の術が来る。それまで、死ぬなよ!」
 生死の境を彷徨っているパートナーの手を握りながら呼びかける朱鷺。その目は怒りに燃えている。
「くっ……こりゃキツイな……って、ファントムの生き残り!?」
 高月 玄秀(たかつき・げんしゅう)がそう叫ぶと、どこに隠れていたのかファントムが彼のパートナーティアン・メイ(てぃあん・めい)に触れる。
「いやああああああああああああああ!」
 ティアンはファントムに操られてしまった。
「…………ねえ、玄秀なんで私の想いに気づいてくれないの?」
「ティアン……何を言っている?」
「ねえ、お姉さんとイイコトしましょう」
「……聞く耳もたん! 九曜召雷陣!!」
 空中に九曜の魔法陣を描いて円状に雷を撃ち下ろす。それがティアの残った生命力を奪い気絶させる。
「よし、ファントムは私に任せろ!」
 コア・ハーティオン(こあ・はーてぃおん)は胸のクリスタルから取り出した光の剣を水平に構える。
「私は蒼空戦士ハーティオン!ファントムよ、我が剣で眠りにつくが良い! 行くぞ! 勇心剣! 必殺! 流星一文字斬りーっ!!」
 一閃された剣がファントムを消滅させる。元からの攻撃で弱っていたのだろう。あっさりと消滅してしまった。
「くっ……エネルギー、切れか……」
 護国の聖域で魔法防御力を上げてアザトースの攻撃に耐えていたが、先程の行動で活動限界が来てしまったようだった。
「後を……頼む……」
 そう言うとハーティオンは沈黙した。
 さようなら勇者ハーティオン ありがとう勇者ハーティオン 君の活躍は忘れない!

「うう。わいはボケられんままおしまいでっか……ガク」
 蚕 サナギ(かいこ・さなぎ)はなにやら企んでいたようだが、アザトースの攻撃を受け瀕死の重傷を負ってしまった。
「そこまでダメージを受けてて軽口を叩けるとは……」
 アキュート・クリッパー(あきゅーと・くりっぱー)は感心の目でサナギを見る。
「アキュート、冗談を言っている場合ではありませんわ」
 パートナーのクリビア・ソウル(くりびあ・そうる)がそう言うと
「なに、素直に感心しただけだ」
 と答えた。
 フレイ・アスク(ふれい・あすく)と相棒のアポロン・サン(あぽろん・さん)も瀕死の重傷を負っている。
 そして、リカバリー、命のうねり、歴戦の回復術が飛んで全員のダメージが回復する。
 と同時にアザトースもリジェネレーションにより復活する。