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リアクション
プロローグ「始まる前の話」
雪が校舎の内外関係なく蒼空学園に降り始めたのは、授業中のことだった。
あまりの寒さに暖房は意味を成さず、結局授業は中止となり、大勢の生徒を喜ばせた。
そうして余った時間を、芦原 郁乃(あはら・いくの)は大事なパートナーである秋月 桃花(あきづき・とうか)と過ごすことにした。桃花の用意してくれた温かい紅茶を楽しみながら、郁乃は微笑む。
雪景色の中の紅茶と言うものもまたいいものだ。
「ッて、あれ?」
「郁乃さま、どうされましたか?」
5歳ぐらいの子供を発見し、郁乃は駆け寄る。性別はどちらだろう。まだ幼く判然としない。子供は郁乃(いくの)を見て少し怯えたように一歩下がった。
「やぁ、こんにちわ。キミは一人でどうしたの?」
「……お母さんいない、の」
勤めて優しい声を出した郁乃に、子供は不安げに声を出した。郁乃はそっかと頷いて、周囲をうかがう。子供の母親らしき気配はない。
「よかったらお姉ちゃんたちとお茶してお母さんを待とうか」
「お茶?」
子供が首をかしげると、桃花が微笑んで子供の分のお茶を用意した。郁乃が子供を抱き上げて椅子に座らせる。
「どうぞ。温まりますよ」
子供は渡されたカップを見て、郁乃と桃花を見て、一気にお茶を飲み干す。
「! そんなに一気に飲んだら」
「あついっあつい、お母さん!」
子供が叫んで突然駆け出す。慌てて郁乃たちは子供を追いかけ、角を曲がったところで
「はーはっはっはっは! 私と遊ぶのだ」
「はい?」
突如聞こえた高笑いの後、2人は顔面に雪玉を受けた。
「いくぞー! 我が僕よ!」
「はい」
そしてセレスティアーナ・アジュア(せれすてぃあーな・あじゅあ)の配下となったのだった。
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