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なし

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猛女の恋

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猛女の恋

リアクション

 侵入したシャーロットが見たものは、静香を守る多くの生徒たち。急に入ってきたシャーロットに一斉に視線を注ぐ。
とにかく不審者とか襲われたりしそうな所を警戒していたロザリンドは、入り口近くに待機して、様子を伺っていた。神経質すぎるぐらいの今までの警備がやっと報われる。
隠し持っておるシャーロットの武器に気が付いた、ロザリンド、
「侵入者ですっ、お逃げ下さい」
 自分の身を盾にして静香を守る。
「ぅ・・・わたしには無理ですぅ、五条様、ごめんなさいっ」
 そのまま、後ずさりして部屋から出てくるシャーロット。外に待機していた白百合乙女剣士団に囲まれる。
「・・・本当は武力行使は嫌いなのですが・・・桜井様を守ろうとおもって・・・ちょっと強引だったかもっ。ごめんなさいっ」
 こんな状況でもふわふわおっとりとした口調である。

 同時刻、五条武とイビー・ニューロも白百合乙女剣士団に囲まれている。
「俺たちは戦いを望んだわけじゃない。静香姫の危険を目の前にすれば、カノンが真実に気が付くと思ったんだ。カノンの自慢は鍛え抜かれた体と、誰かを守れる力じゃなかったのか?見せかけの美しさは訳に立たないとカノンに知らせたかったんだ!」
 そのまま連行されていく五条。

 さて、占拠未遂騒動は、静香の放送が突然に中断されたことで生徒たちに伝わり、実際よりも大きな騒動として、百合園を駆け巡った。当然、亜津子とその世話をしている野乃や津波も気が気ではない。皆の視線が亜津子から離れた、その一瞬の好きに亜津子が走り出した。
 二日間で亜津子は、百合園の内部を熟知していた。眼が見えなくても逃走できるのは、教導団の厳しい訓練のたまものだろう。

「亜津子が消えた?」
「亜津子が静香を襲うのでは?」
そんな空気のなか、お茶会で亜津子(カノン)と話した多くの生徒は、亜津子の身を案じている。もしかして、死ぬ気なんじゃ・・・



13・マルハレータと戦う

 そのころ。
 オウムと行動する一行は、回り道をしながらも、やっとマルハレータの住む廃坑付近までにたどり着いた。
 メンバーには、泉 椿(いずみ・つばき)が加わっている。バイクで百合園を目指していた泉は、オウムの姿を見つけ、追ってきたのだ。
 廃坑の裏側にラルク・クローディスが立っている。先にマルハレータの居宅を見つけたラルクは1人で乗り込んで魔女をボコボコにしてやるつもりだったが、桐生円に止められた。なかに人質がいるというのだ。
「で、俺は、円とオリヴィアが人質を助け出すのを待ってるわけだ」


 途中からオウムと共にやってきた翠葉は、がっかりしている。
「ここにカノンはいないのね、わたくし、カノンと会いたかったわ。・・・カノンの想いは強く美しい。わたくし、羨ましいくらいよ?だけど、今の恋はこの世に唯一つ、他人の手を借り、剰え己を偽るなど言語道断だわ。そのこと、魔女を退治するまえにいいたかったわ」
 黒羽に左腕に体を寄せた翠葉に、
「刹那の向こうに、幸福など無い。己を大切にできてこそ、他人を想いやり、幸福にすることが出来る。カノンもきっと分るはずだ、さあ戦いだ!」
 黒羽は武器を手にし、翠葉を守るように立った。

 泉は、仲間のグループ「白魔女の使い」に集合を掛ける。他の一行も仲間に連絡を入れた。
 マルハレータ発見のニュースは瞬く間に広まる。
ただし、同時刻に百合園では校長室占拠や亜津子失踪があったため、合流できなかったものも多い。また、魔女と戦う気力はみんなにあるが、オウムを追いかけていたものや百合園から駆けつけたものには疲労の色が激しい。またクロスはこの2日、大魔女を探して奔走していた。会うことが出来なかったが教導団に所属している彼女は、戦う余力を残している。

「白魔女の使い」のメンバーは。
 百合園から駆けつけたウィング・ヴォルフリートとミルディア・ディスティンと和泉 真奈、クロス・クロノスと泉 椿。

 菅野 葉月(すがの・はづき)ミーナ・コーミア(みーな・こーみあ)も共闘する。皆川 ユインは、魔女の居場所が判明するまで、蒼空学園で待機していた。体力の消耗も少ない。
 ルーシー・トランブルも、駆けつけた。
「これはまた随分と面白いことになりましたねぇ」
 ルーシーは多くの人の集まる非現実的な環境と、これから始まる魔女退治にわくわくしている。

 ミルディアは、意気があがる。
「あたしも静香校長が好き。だけど、不幸にかこつけてじゃかっこ悪いじゃない!こうなったらマルハレータをやっつけて、カノンくんに元に戻ってもらって、それからフェアな勝負で仕切り直させてもらうよっ!」
 ルーシが頷く。
「そうだねぇ。まずはマルハレータを成敗!そのあとでカノンさんとの静香さんファンとの恋の駆け引き、面白そうですねぇ」
 ミルディアのパートナー、真奈は、そんな状況を楽しめない。
「ふぅ。しかし、魔女をこのままにしていると皆不幸になりかねませんから、このタイミングで退治するのが得策かもしれませんねぇ」
 真奈の思いは、皆が思っていることだ。魔女を退治して、不幸の元を断ちたい!

 戦いは突然始まった。泉が廃坑のなかに走り込んだのだ。