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猛女の恋

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猛女の恋

リアクション

 蒼空学園では。
 ベア・ヘルロット(べあ・へるろっと)とパートナーのマナ・ファクトリ(まな・ふぁくとり)が頭上を旋回するオウムの歌を聴いている。


「恋の期限はたった3日・・・
3日で動く心があるものか、
カノンは愚か、カノンは傲慢・・・」



「愚かで傲慢か・・・」
 それでもベアは、カノンの行動を愚かだからと切り捨てることは出来ない。マナもそんなベアの優しい心を知っている。
「おれ、カノンを助けてやりたい!マナ、俺に出来ること、・・・えぃ!百合園に行くぜ」
「ん?男子禁制だよ、どうする?」
「え?どうにかなるさ、バカヤロウ!やらず後悔よりやって後悔だ!」
「そうだね、ベア!悩んだってしかたないよね!いつも通りでいくよ〜」
 とりあえずと、オウムを追って走り出す2人だった。


 そして。
 葛葉 翔(くずのは・しょう)もこのオウムの歌を聴いていた。「愛する人」が「桜井校長」と知り、桜井静香ファンの翔はじっとしていられない。静香を守るために百合園へと向かう。 

 皆川 ユイン(みながわ・ゆいん)は、考えた。カノンさんに聞くことは出来ないだろうし、ここは魔女が来るまで学園で待つ!カノンさんと静香さんの両方を欲しがってるなら、絶対どこかに現れるはずだ。それにしても、
「カノンさんの気持ちを分かるけど、偽りの体を得てまで、魔女にまで騙されてまで、会いたいの?恋ってそんなもの?」
 とにかく魔女を退治してから、カノンさんに言いたいことがある。そのためにも魔女には絶対に魔法を解いてもらわなくちゃ。

 ルーシー・トランブル(るーしー・とらんぶる)は、以前のカノンを知っていた。実は、昔のいかついが純朴なカノンが好きだった。カノンを助けてあげたい!とにかく魔女を退治して、カノンに眼を覚ましてもらいたい。ルーシーは魔女を探しに外に飛び出す。


 カノンのために静香のために、多くの行動が生まれている。

 御剣 恭哉(みつるぎ・きょうや)宮本 明日菜(みやもと・あすな)は図書館に向かった。魔女の詳細が分れば力になれるかもしれない。蒼空学園の図書館で魔女マルハレータに関する内容をパートナーの明日菜と一緒に調べている恭哉。
 しかし、
「・・・・・・ぷは、ダメだ、活字に慣れてないから集中力がもたねぇ。」
 ノートにいたずら書きをして遊び始める恭哉を明日菜が本で叩く。
「こら、サボるな。」
 しぶしぶ本に眼をやる恭哉、次から次へと現れる魔女の記述に頭を抱える。
「って、魔女多すぎっ!どれがマルハレータだよっ」

 同じように百合園女学院でも。
 プレナ・アップルトン(ぷれな・あっぷるとん)マグ・アップルトン(まぐ・あっぷるとん)が図書館で、魔女と人との契約とはどのようなものなのか、契約を破った場合のペナルティはあるのか、契約を解除する方法等などを調べていた。
「契約だからねぇ、絶対にぃ、解除する方法があると思うんだぁ」
「うん、じゃないと魔女さんも困っちゃうよねぇ。魔女さんから、やっぱり契約やめたって時だってあるもんねぇ」
 高く積まれた本を片っ端から探してゆく二人。お掃除と同じでその作業に無駄はない。

 そして、イルミンスール学園では。
 緋桜 ケイ(ひおう・けい)とパートナーの悠久ノ カナタ(とわの・かなた)が、カノンの恋を嘆いている。

「誰か相談する友達がいればなあ。カノンは臆病なんだよ。ありのままの自分を相手に伝える勇気が持てず、そこを魔女に付け込まれてしまった。助けてやりたいよ」
ケイの言葉にカナタが答える。
「一度交わされた契約がそう簡単に破棄されるとは思えぬ。何よりも重要なのは本人に、その意思があるかどうかであろうな」
 もしカノンが契約を破棄してもとの自分を取り戻したいと思うのなら、助けてやりたい。カノンなら魔女の居場所を知っているかもしれない。魔女と会い契約を破棄させれば、カノンと静香の身が助かるだろう。ケイとカナタも百合園を目指す。

 名のある魔女の助けを借りて、カノンを助けようと尽力する生徒たちもいる。

 リリ・スノーウォーカー(りり・すのーうぉーかー)とパートナーのユリ・アンジートレイニー(ゆり・あんじーとれいにー)はオウムが歌う意味を知り、イルミンスール学園長のエリザベートに掛け合って、「真実を映す手鏡」を借りようとしている。リリは静香に「真実を映す手鏡」を渡し、そこに写るカノン本来の姿を見せることで魔法の期限が来る前に静香を説得しようと考えている。
「カノンは愚か者だ。そのような偽りの姿で想い人の歓心を得たとして、カノンはそれで嬉しいのか?(傍らにあった剣を持ち)
 カノンの本領はこれであろう。なぜ本来の自分で愛を語らぬのだ」
「リリ、ワタシ、静香さんを説得してみます。カノンさんのひたむきな愛を知れば、カノンさんにキスすると思うのです」
「ユリ、それも偽りだ・・・」

ジュリエット・デスリンク(じゅりえっと・ですりんく)とパートナーのジュスティーヌ・デスリンク(じゅすてぃーぬ・ですりんく)は名のある魔法使いへ礼を尽くして、マルハレータの秘密を探ろうとしていた。
「だいたい、この学校で、『魔女』と呼ばれていいのは、わたくしとラズィーヤお姉様だけですわ!変な偽魔女に振り回されるのは、勘弁できませんわ!」
まくし立てるジュリエットの怒りは少し外れているが。ジュスティーヌにも「お姉様自身はともかく、ラズィーヤ様を魔女呼ばわりするのは・・・」と呆れられている。

 それぞれがそれぞれの方法でカノンを助けようと動き始めたころ、百合園では亜津子がやっと目を覚ます。